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カワイ・レナードとスパーズに何があったのか?

カワイ・レナードとスパーズに何があったのか?

今シーズン、スパーズからトレードされてラプターズでオールスター級の活躍しているカワイ・レナード。一体彼に何があったのか。今更ですが詳しく見て行きましょう。
カワイとスパーズの関係をおさらいする事で、この夏にFAになるカワイの動向がわかりやすくなると思います。

2017-18シーズン、ケガから復帰したレナードは12月中旬から1月中旬の間の9試合だけスパーズに戻りました。スパーズのカワイのケガへのアプローチはかなり慎重で、出場した後の試合はどれだけ日があこうが休ませるようにしていました。しかし、1/13のナゲッツ戦で28分出場し19得点した後、カワイはケガした場所と同じ箇所に痛みを感じたためにそれ以降は試合を欠場。ケガが治らなかったようで、スパーズの試合には出ないままシーズンを終了しトレードされる事になりました。

シーズン中に、カワイがトレードを要求しているとの噂がでたり、オフシーズンにはラプターズとのトレードが成立したりと、いろいろありましたが、カワイも自分から話す事がないため+スパーズの高度な情報管理のため、現地でもいろいろな憶測や情報が出てきました。

カワイとスパーズの間に何かあったのでしょうか。

(Rick Madonik / Toronto Star)

 

スパーズがまさかのカワイの大腿四頭筋のケガの誤診!?

カワイは、2017年の2/6に大腿四頭筋の打撲を受けてケガ人リストに入っています。スパーズの診断は、大腿四頭筋の腱障害でした。腱障害は、絶え間ない疲労によって筋肉を退化させていく腱の病気です。

カワイは、スパーズの医者の指示通り、2017年の夏にサンアントニオとサンディエゴでトレーニングをしていました。しかし、8月になるとカワイはケガの不快を訴えるようになりました。

しかも、ケガがなかなか治らないにも関わらず、スパーズは自分たちの意見を変える事はありませんでした。「カワイはプレーできる」とまで言っていました。ケガが治っていないと主張するカワイと、ケガは完治したと主張するスパーズ。意見が食い違い、双方の間に溝ができはじめたのはこの頃だと言われています。

カワイが誤診された上にそれを認めない球団の姿勢に疑問を持ったのも仕方ないと思います。なにしろケガの当事者のカワイ自身が、ケガが治っていないと感じている訳ですから。

時がたち、スパーズがブルックリンまで遠征した時、ポポヴィッチがカワイの無期欠場を発表しました。「彼はケガをしたとかではなく、痛みを感じている、試合直後ではなく翌日の昼とかに症状が出た。痛みは消えていない」ポポヴィッチはその時、「これは正しい方向へは行っていない」と語っていました。

そんなニューヨーク滞在中に、カワイはスパーズが必要ないと言っていたセカンド・オピニオンを求め動きました。なかなかよくならないケガに苦しんでいるカワイを見た彼のエージェントのミッチ・フランケルと叔父のデニス・ロバートソンが、外部からのセカンド・オピニオンを得ようと動いた結果でした。カワイは、整形外科手術医でニューヨーク市マウントサイナイ・メディカルセンターのスポーツ・メディシンのトップで、ニュージャージー・デヴィルスとフィラデルフィア・シクサーズと提携しているDr.ジョナサン・グラショー医師に診断してもらいました。

そうしてカワイサイドは、カワイのケガはスパーズが診断したものとは違うと確信を得ました。カワイのケガは、何度も痣になった筋肉が萎縮し、そのエリアが硬直化する事によって骨と筋肉をつなぐ腱に影響を及ぼしているものだそうです。これが正しいかどうかはさておき、少なくともカワイたちがそう信じた事が大事です。なにしろカワイには思い当たるケガがありました。大腿四頭筋の打撲が続き、2016年の3月に3試合欠場していたのです。

カワイサイドは、リハビリのプログラムをグラショーから導入する事にし、マンハッタンのミッドタウンニアルNBPAの本部にある練習場でリハビリをはじめました。スパーズは、フランケルとロバーソンからその医者の件を知らされ、スタッフを現地に送り練習のサポートをしながら様子を見ていたそうです。カワイはシーズン中ずっとNYに残り、リハビリを続けました。

このように、ケガの診断をきっかけにして、カワイとスパーズは別行動をするようになりました。

 

確執

外部の医者のリハビリプランを採用する時点で、カワイ達はスパーズを信用していないのがわかります。また、スパーズも、ケガは治っているはずだと言っていたり、ポップもケガについては「カワイサイドの人間に聞いてくれ」とインタビューで発言するなど「通常では考えられない」状態が続きました。

カワイに近い関係者によると、スパーズは、「ベストな医者を雇い、誰よりもうまくやっていると考えていた。医師達はその名声に値するし、スパーズはそのエゴも持っている。その上、彼らは決してオープンマインドではない。だから、彼らは他の人間が選手達をいじる事を嫌う」そうです。

(最近、スパーズのメディカルは不名誉な出来事が多いです。ダニー・グリーンが、この夏に昨シーズン中実はケガしていた事を告白し、スパーズのメディカルチームに疑問をなげかけました。また、今シーズン、パウ・ガソルがセカンド・オピニオンにより足の骨折を見つけたそうです)

実際に、2014年にカワイが手首のケガをして思ったように治らなかった時に、彼のエージェントのフランケルとブライアン・エルフスはセカンドオピニオンを頼みましたが、スパーズの抵抗にあったそうです。その後、スパーズはセカンド・オピニオンに合意し、カワイはエージェントが安心できるスペシャリストに診てもらったそうです。その時、カワイは15試合欠場しましたが、その後問題は出ませんでした。

このように、スパーズはケガが完治していると発表しているに関わらず、カワイの欠場が続きます。その事についてカワイは、「私はここに長い間いるわけではなく6年しかいない。スパーズは自分よりももっと長く存在している。みんなはスパーズの説明の方を信じる」と語っています。カワイが、スパーズに否定的な事を発言したのは大きな驚きでした。筋肉のケガと腱のケガではそれぞれの治療方法がかわってきますし、ケガがなかなか治らない事実もあり、カワイがスパーズに不満を持つのは仕方ないのかもしれません。

スパーズの立場も理解できます。なにしろダンカンやジノビリのキャリアを長くした実績もありますし、スポーツサイエンスやドクターの質には自信を持っているはずです。しかし、内部の情報も滅多に噂として外部に漏れないスパーズですが、このカワイの状況に対しては、そのスパーズをスパーズたらしめる理由が真逆に作用したと言ってもいいでしょう。

カワイの単独行動のリハビリはチームメイトとの関係にも影響してきます。チームメイトとの溝は、トレードには直接的には関係ないかもしれませんが、スパーズとの関係性にも影響してくるので、かんたんに触っておきますね。

シーズン終了前、トニー・パーカーとマヌ・ジノビリが選手だけのミーティングをして、久しぶりに戻って来たカワイに、リハビリやケガがどうなっているのか、プレーオフには出れるのか聞いたそうです。カワイには、トレードの噂もありチーメメイトたちは距離を感じていたのでしょう。プレーオフで戦う上で彼がいるのといないのでは大違いなので、カワイなしで戦う心の準備をする必要もあったのかもしれません。

パーカーに限っては、カワイと自分の怪我は同じだが、自分の怪我の方が100倍ひどかった、なぜカワイの方が治りが遅いのかわからない、などと言っていて、チームがカワイの事情を知らされていなかった事がわかります。また、プレーヤーがケガをした、と言っているのに他人はどうこう言う事(判断)はできないので、TPのカワイのケガへの発言はこれもまた珍しい出来事でした。

結局、カワイとスパーズの関係は修復する事なくプレーオフを迎えます。1stラウンドはウォリアーズ戦でしたが、カワイがチームに合流する事はなく、NYでリハビリを続けていました。GMのRCブフォードに近い関係者によると、ブフォードはなぜレナードとの関係が崩れてしまったのかと悩んで眠れない夜を過ごした事もあったそうです。

そのシリーズ中に、ポップの嫁が亡くなったため、カワイはポップをサポートをしにチームへ合流しようと思っていたそうですが、ポップがチームを離れてサンアントニオへ帰ったためチームへの合流は見送ったそうです。このような事件がなければ、プレーオフでチームのベンチに座ってチームメイトを応援したりサポートしたりと言った普通の事をやろうとしなかった… この時点でカワイのトレードは確実だと見られていました。

しかし、カワイとスパーズとの関係悪化した原因はどうやらケガの誤診だけではないようです。

 

もう1つの理由:アンクル・デニス

スパーズとカワイの関係悪化が噂されて来た時に、急に注目を浴びたのが
アンクル・デニスです。

LinkedIn/Dennis Robertson

アンクル・デニスは、カワイの母方の叔父で2008年にカワイの父親が殺されてから、父の代わりにカワイに支えてきた人物です。カワイもアンクル・デニスをリスペクトしており、忠誠を誓っているそうです。このアンクル・デニスがカワイサイドの現場を仕切っているとの情報が出てきました。

アンクル・デニスの目的はいろいろ言われており、カワイの価値を高めようとして、カワイをもっと大きなマーケットのチームにトレードさせようとしている、とか自分のマーケティング会社を大きくするためにカワイを利用している、とも言われていました。

カワイは父の殺人事件から無口になったと言われています。それほどショックだったのでしょう。そんな状況から今NBAのTOP5選手に上り詰めたのは、デニスの貢献もあっての事だと思います。2人の絆が深いのは理解できます。

「カワイは彼を本当に信じている」

カワイに近い人物は言っています。

アンクル・デニスがカワイを操っていると疑われたのは、あの大人しいカワイがそんな決断をするのか?だってあのスパーズだよ、カワイはローメンテナンスだし、あのダンカンの正統な後継者じゃないか、的な事が理由にあげられます。カワイはアンクル・デニスに騙されているんじゃないか?と思う人もいたのではないでしょうか。なので、みなさんカワイのトレード要求は半信半疑だったと思います。

カワイの意思決定に大きな影響を与えていると言われているアンクル・デニスとは一体何者なのか?球団との関係を取り持つエージェントはどうなっているのか?詳しく見ていきたいと思います。

アンクル・デニス&エージェント

デニスはの経歴は、チェイス関連の銀行で22年間バイス・プレジデントとして働き、カーヴァー・フェデラル・セービングという金融系の会社で5年働いています。今は、妻が代取をしているプロトコル・インターナショナルという会社(ビジネス・エチケットやプロ養成業務)で、エリート・アスリート・ディヴィジョンという部門のプレジデント職に就いています。

カワイのエージェントのフランケルは、インパクト・スポーツの創業者&30年間フットボールのエージェントとして知られてきました。この10年で、インパクトはフットボールだけではなく、カワイを中心にバスケットボールにも進出しましたが、うまくいかなかったようです。ホークスのタゥリーン・プリンス、ナゲッツのウィル・バートンもインパクトと契約していましたが、プリンスは今はCAAにおり、バートンはゴッドウィンスポーツ・マネージメントに移っています。

元インパクト・スポーツの従業員によると、会社は以前から財務状況が悪く、それがバスケットボールへと進出するきっかけになったそうです。記録によると、フランケルはコバルトスポーツ・キャピタルやJSスポーツ・ファンディングなどの会社からお金を借りていました。

実際、インパクトスポーツが機能しているのかさえわからないそうです。会社のウェブサイトはアンダーコンストラクションになっていますし、インパクトに出資したJSスポーツ・ファンディングが会社を支配しているようにみえるそうです。

2017年の2月のフォーブスの記事には、ジョセフ・サットンという人物がインパクト・スポーツのセニア・マネジメント・パートナーになっています。彼と父のジェフ・サットンはニューヨークにあるワートン不動産の創業者でビリオネラーです。彼らは約10億円をインパクトに投資しました。ショセフ・サットンによると、現在インパクト・スポーツはブランド再建中で、不動産をリバレッジにしたファイナンシャルプランでクライアント(選手)に新しい富を与えて行くというヴィジョンを掲げています。

サットンによると、すでにカワイも不動産投資をしているそうです。サットンが紹介したハーレムの不動産投資で、レナードとデニスは億単位の金を稼いでいるそうです。デニスは、ハーレムのマジソン通りにあるアパートメントを所有している記録があるそうです。

フランケルは、NBPAにカワイのエージェントとして登録されていますが、すでにインパクトには所属していないそうです。デニスはフランケルとは彼がインパクトを去るまで契約していたと認めました。今ではデニスはフランケルと直でやりとりし、コンサルとして雇っているそうです。

その他の要素:スター・トリートメント

カワイはスターになりたかったのではないか、との噂も出ました。スパーズはカワイを特別扱いをしないので、スターのような待遇を望んでいたのではないかという内容です。あのカワイがそんな事は気にする訳がない、と思うかもしれませんが、こんな話があります。

カワイが2016年に初のオールスターに選ばれたとき、開催地はトロントでした。カワイがホテルを出る時、偶然ウェストブルックが専用の高級車両をあてがわれて移動していたのを見て、他球団がどうやってスター選手を扱っているのかを理解したそうです。特定の選手を特別扱いしないスパーズから見たら考えれない事だったのではないでしょうか。

カワイは何も言いませんので、これが問題だったのかはわかりませんが、これを誰かに言って世の中に出てきて話題にあるくらいは問題だったと思います。

その他の要素:2016年後のカワイとスパーズ

スパーズの関係者によると、カワイとスパーズの関係が変わったのは実はずっと前で、2016年にエルファスが去ってからだそうです。

エルファスはスパーズのフロントオフィスとコーチングスタッフと良い関係を築いていました。そのエルファスがいなくなった後、フランケルとロバーソンがエージェントとして、スパーズとの毎日のコミュニケーションをとるようになりましたが、それ以来両者の関係は以前ほど良好ではなくなったそうです。ちなみに、2015年の約90億円の契約も彼らが交渉をしたそうです。

スパーズは、カワイサイドがカワイをLA(レナードの故郷)やニューヨーク、フィラデルフィア(ロバーソンはニュージャージーに住んでいる)のような大きなマーケットがある街へトレードさせようとしているのではないかと心配していたそうです。

その他の要素:ビック・マーケット、ビック・エンドースメント

デニスは、自分のマーケティング会社を大きく広げていきたいという考えがあるようです。そのため、カワイにもっと大きなマーケットに移籍するように勧めているとも言われています。

確かに、カワイは、NBAトップ5に入る選手(異論は認める)にしては露出が少なく、マーケティング価値も高くはありません。カワイがSNSをやっていないのと、インタビュー等で自分の意見を発信しないのも影響し、プラットフォームとしてレブロンやカリーに比べると格段に劣ってしまっています。

しかし、無口のカワイでも大きなマーケットへ移籍すればトップ選手として扱われ、少なくとも今よりは大きなエンドースメントが期待できます。ジョーダンの4年で約22億円の契約を蹴ったのももっと高い契約を得られると信じての事ではないでしょうか。このようにマーケティング的に大きなシューズやスポーツ飲料、フランチャイズ等のエンドースメントを狙っているのは間違いないでしょう。(最近ニューバランスと契約。契約内容は不明ですが、ナイキのオファーよりも高いとみられています)

カワイは来年FAになりますが、カワイが選ぶ最有力チームはクリッパーズだと言われている理由はこのような背景もあります。(個人的にはシクサーズにフィットすると思っていましたが、バトラーのトレードでなくなっちゃいました…)

ちまたでは、カワイがFAで優先するのは、マーケットサイズとライフスタイルだと言われています。冬に雪が多いトロントは不利なんだそうです。

スーパーマックスの視点

サラリーも重要な要素です。スパーズで得られるスーパーマックスと他球団に移籍した時の数字を検証していきましょう。

カワイがスパーズとスーパーマックス契約をした場合。
5年で約221億円。

カワイがラプターズと再契約する場合。
5年で約190億円。
または、トレードから6ヶ月後の契約延長で4年で約108億円(2019-20からはじまる)。

カワイがキャップがある他チームと契約する場合。
4年で約141億円。

このように見ると、スパーズに残った場合のサラリーとFAで他チームへ移籍した場合は約80億円の損になります。税金を考えたとしても約40億円を逃す事になりますね。

トロントに残った場合は、約30億円の差です。これくらならエンドースメントでリクープできそうですね。エンドースメントもラプターズならカナダ全土がバックにつきますし、新チームへの移籍よりも精神的にも良さそうですが… 人間、稼ぎが100億円を越えてしまい将来の不安がなくなると、精神的な幸せを優先するのかもしれませんね。

カワイノミライ

これまで見てきたようにいろいろな要素が複合的にからまってトレード要求の決断になったと考えるのが自然ではないでしょうか。

現在ラプターズは優勝候補のひとつで、538によるとイースト制覇の可能性は40%だそうです。そんなラプターズの中心選手で活躍するカワイは来年のFAをどうするのでしょうか。

ラプターズは、サンダーがポール・ジョージ(当時レイカーズへのトレードを希望)に対して成功させたような1シーズン・リクルートでカワイを繫ぎ止める事ができるのでしょうか。サンダーにはウェストブルックというスターがジョージを繋ぎ止める大きな役割をしましたが、ラプターズでその役割はカイル・ロウリーになります。内向的でデマーと親友のカイルはカワイに対して心を開く事ができるでしょうか?

それともWojの言うように、ライフスタイルが意思決定の中心でロス(クリッパーズ)へ移籍するのでしょうか。なぜレイカーズではないかと言うと、アンクル・デニスはカイリー・アーヴィンの父と友人でレブロンの事をいろいろと聞いているからだそうです。トロントは、選手たちやNBA関係者の間では人気があるそうで、素晴らしい都市だそうですね。ドウェイン・ケィシーが言っていたように子供を育てる環境はアメリカよりも良さそうですね。

優勝後にFAで優勝チームを出て行った選手はいないそうなので、ラプターズが優勝すればカワイがトロントに残る可能性も充分あると思います。(別の話になってきますが、カワイ、OG、シアカムの破壊力はすごいと思うので、トロントに残って欲しいです)

最後に、カワイがサンディエゴで娘の誕生日を祝っているムービーです。これを見るとロスとライフスタイルにこだわる理由がわかる気がします。

カワイは2019年FA組でもKDと同じく、契約した球団の未来を変える事ができる選手なので、カワイの動向はこの夏の大きなストーリーのひとつです。カワイはどのような決断をするのでしょうか。今からラプターズのナレティブをチェックしていってみてください。

参考サイト:Inside the tension between Kawhi Leonard and the Spurs
サムネイル画像:Photo by Chris Young / THE CANADIAN PRESS