トレード考察:バックス/キャブス/ウィザース

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12/7にバックス/キャブス/ウィザースのトレードが成立しました。
その内容をキャップをふくめ詳しく見ていきましょう。

バックスが得たアセット:

・ジョージ・ヒル(キャブスから)
・ジェイソン・スミス(ウィザースから)
・2ndラウンドピック

キャブスが得たアセット:
・ジョン・ヘンソン(バックスから)
・マシュー・デラヴェトーヴァ(バックスから)
・2021年の1stラウンドピック(バックスから)
・2022年の2ndラウンドピック(ウィザースから)

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Image: GETTY

ウィザースが得たアセット:
・サム・デッカー(キャブスから)
・2021年の2ndラウンドピック(バックスから)

ミルウォーキー・バックス

ミルウォーキーは、マシュー・デラヴェドーヴァ、ジョン・ヘンソン、1stラウンドピックと2ndラウンド・ピックをクリーブランドにへトレードしました。1stラウンダーは、2021年に15-30位、2022年に11-30位、2023年に11-24位、2024に9-30位/それ以外なら2ndラウンドピックの条件でキャブスへコンバートされます。

バックスがこのトレードで得た利益は2つあります:

ひとつ目はファイナンシャル的なもので2019-20年のセービングです。
2つ目はタレントのアップグレードです。

バックスが直面している問題

バックスはこのトレードにより、来シーズン約18.3億円を帳簿から約18.3億円を削ずる事ができます。デラヴェドーヴァとヘンソンの来シーズンのサラリーは合わせて約19.3億円ですが、この2人をトレードで出してスミスとヒルを得ました。今シーズンが終わればスミスはRFAのため、マッチしなければいいですし、ジョージ・ヒルの来シーズンの約18億円のサラリーはたった約1億円がギャランティーされているだけです。更に、ヒルの約1億円は、やろうと思えば3年間ストレッチが可能です。

なぜ、バックスはこのトレードでサラリーを削る必要があったのでしょうか。それは今シーズンMVP候補のヤニス・アンテトクンポをハッピーにするためです。ヤニスは2020年にも契約延長が可能になりますが、バックスはその時までにできるだけいい選手を揃えてヤニスを引き止めたいところです。バックスが優勝を狙えるポジジョンまでくれば、ヤニスが契約延長をしてバックスに残る確率は高くなります。もしヤニスが契約延長をしなければ、ヤニスがFAになってしまい、バックスから出て行く可能性も高くなります。

MVPレベルのプレーヤーは中々ミルウォーキーのようなスモールマーケットのチームをFAで選んでくれないので、ヤニスを失う事は球団にとっては何としても避けたい事だと思います。下手すれば、レブロンがいなくなったようなキャブスのようになってしまいます。
同じようなシチュエーションでスターをトレードしたチームには、ポール・ジョージからトレードリクエストをされたペイサーズ、カワイ・レナードからトレードリクエストされたスパーズがありました。来年のアンソニー・デイヴィスとペリカンズも同じ状況です。何気に次の夏はバックスにとって勝負のFAなのです。

バックスのキャップ

バックスはスターターの4人がこの夏にFA/RFAになります。
・ミドルトン(ミドルトンは約13億円のプレーヤーオプションを取り下げてFAになると仮定)
・ブログドン
・ブレッドソー
・ロペス

彼らの内せめて3人と契約するのであればこのキャップは重要な武器になります。

(MIKE ROEMER/ASSOCIATED PRESS)

このトレードにより、バックスの2019-20シーズンのサラリーは約65.38億円になり、キャップスペースは約43.6億円になります。これは、ミドルトン(マックスは5年で約190億円)とマルコム・ブログドンと再契約する前に、新しいFAとの契約に使う事ができます。また、ミニマムよりも高いエクセプションやキャップスペースを使って契約しなければいけないであろうロペスとの再契約分にまわす事もできます。

ブレッドソーとの再契約は50/50でしょうか。彼との再契約は今年のプレーオフでどれだけ使えるのかの判断が大きいと思います。仮にブレッドソーと再契約した場合、彼は今29歳なので契約年数は大きな金額ですが期間は短く2+1など少なくなるのではないでしょうか(ラプターズのカイル・ロウリーと同じ)。

もしバックスが、病気で引退したミーザ・テレトヴィッチのストレッチしたサラリーに長期負傷エクスクルージョンを適用する事ができれば、タックスまで約68.6億円になります(適用申請に許可がおりました)。スターターの4人とマーケットバリューで契約するとしたら、それでも足りないくらいです。更に最低2人のローテーション・プレーヤー(ミニマム)が必要です。

タックスを越えるかどうかはフロントとオーナー次第です。バックスはオーナーが持ち回り制になっていて、来年オーナーが変わるので、そのあたりの判断もなかなか読めません。また、今年は2017年にキャップが爆上げした時の契約が切れる選手が多く、FA市場の活性化も予想されています。そのため、いい選手のサラリーがあがる可能性も高くなります。ストレッチ5として生まれ変わったロペスのサラリーもMLEの9億よりもあがるのではないでしょうか(もしくは3+1の長期契約で年約12億あたりで手をうつか。そうすればまたその価値でトレードする事ができます)。

バックスのロースター

しかも、ロースターの観点からもバックスは恩恵を受けます。バックスにとって重要である2019-20シーズンのキャップをフレキシブルにするために手放したコストは1stラウンドピックと2ndラウンドピックだけです(この1stラウンドピックは少々ややこしいので、詳しく後述します)。出したプレーヤーもヘンソンとデリーの使っていない選手です。もともとヘンソンは左手首の腱のケガで数ヶ月欠場中ですし、バックアップセンターで1試合13.4分プレーしただけでした。デラヴェドーヴァは今シーズン97分しかプレーしていません。

このトレードは才能面でもバックスに恩恵をもたらします。ボールを必要とせず、ディフェンスのリーチもあり、スポットアップスリーがあるヒルがいる事により、コート場に出す選手の組み合わせもクリエイティブになれます。ブレッドソーかミドルトンと組ませても良いですし、特に小さくしたい時にも重宝するでしょう。また、ガードの誰かががケガしたりファールトラブルになった時の保険としても機能します。使っていなかったデリーよりも実用性は高いです。ヘンソンに限っては復帰がシーズン終盤になるとの事なので”あきらめた感”は薄いです。センターは供給が多く、あまり需要も高くないので、もしスミスが使えなくても他のオプションは出てきそうです。

また、このトレードの重要なポイントは、ディールされた日にあります。この日までに得た選手はトレードデットラインに再びトレードできるます。バックスはまたいいトレードのチャンスがあれば、ヒルやスミスを2019年の2/7にトレードする事が可能です。

元々なかったものからキャップの自由と使える選手を得る事ができたので、バックスにとってこのトレードは大成功だったと思います。また、将来のプランのためにバックスはたんたんと計画を遂行していっているように見えます。ヤニスというMVP級のプレーヤーとバドの5アウトオフェンスで現在リーグ2位についています。カンファレンス・ファイナルに進出すると言われても驚きません。

※バックスが出した1stラウンドピック

バックスはブレッドソーのトレードで1stラウンドピックをサンズへ送る事になっています。そのため、このトレードで出した1stラウンダーは数年後のコンバートになります。もし今年の1stラウンドピックが4-16位になれば、そのままサンズへ行きます。その後は2020年には8-20位で、2021年はプロテクションがかかっていません。

NBAにはいわゆるステピェン・ルールという規定があり、チームに2年連続で1stラウンドピックがない状態を禁止しています。このため、キャブスに送る1stラウンドピックは、テクニカル的には2021年が最速になります。しかし、バックスは調子がいいので、サンズへの1stラウンドピックは今年はコンバートしないでしょう。そうなると、キャブスへの1stラウンドピックは2022年になる可能性が高いと思われます。(1stラウンダーのプロテクションは、2021年に15-30位、2022年に11-30位、2023年に11-24位、2024に9-30位/それ以外は2ndラウンドピック)

クリーヴランド・キャヴァリアーズ

(USATSI/AP )

コビー・アルトマンは、このトレードで得られるバックスの1stラウンドは、マシュー・デラヴェドーヴァとジョン・ヘンソンの約18.3億円のサラリーを受け入る事よりも高い価値があると判断しました。

バックスは、現時点でリーグトップ5に入るチームのひとつですが、今2022年か2023年までバックスと契約している選手はいないため、このトレードで得た1stラウンダーがコンバートされるであろう2022年になれば、バックスの戦力が大幅ダウンする可能性もあります。ひょっとするとロッテリーピックになるかもしれません。最悪ドラフト後半になっても、その時点でのデリーやヘンソンよりも使えるプレーヤーを得る事ができると判断しているでしょう。

ジャスとのカイル・コーヴァーのトレードと今回の3角トレードにより、キャブスは2019-20シーズンに約14.9億円をキャップに追加した結果となりました。これにはJR・スミスのギャランティーされている約3.9億円が入っています。来年の夏のキャブスには、タックスを越えずにドラフトピックと再契約と追加契約で使えるサラリーが約23億円ほどあります。オーナーのダン・ギルバートが今の再建中のチームの状況を見てアルトマンにどれくらい金を使わせるのかはわかりませんが、レブロン時代にタックスを払いまくってきたので、タックスだけは避けたいでしょう。

キャブスのこの2つのトレードから言える事は、来年ギャランティーが少ないサラリーの2人の選手を出す代わりに、将来のアセットを集めている事です。この動きは再建チームのものです。前CBAの規定に入っているスミスは、来年のオフシーズンにサラリーダンプに使えます。アルトマンはスミスをまだトレードできますが、サラリーダンプができるスミスには一定な需要が望めるため、ヒルやコーヴァーの時のような時間的なプレッシャーはまだないと思われます。また、バックスの状況でも説明しましたが、今回得た2人はデットラインでまたトレードできます。ちなみにデラヴェドーヴァを含めるトレードをバックスとしたのは2016年の7月以来二度目になります。

ちなみに、ケヴィン・ラヴとの契約延長(4年で約120億円、マックスよりも約8億円低い)ですが、これは彼をチームの顔として交わした訳ではなく、彼をトレードしてより良いアセットを得るためにしたものです。もしキャブスが本当にラヴをレブロンの次のスターとして迎えるなら、5年のマックス契約をオファーしたはずです。この契約はキャブスとラヴにとって「ヘッジ」でしょう。

(Banana Republic)

もしキャブスが去年ラヴと契約延長しなければ、今年FAの彼は他チームへ行ってしまう事になります(ラヴがキャブスに残ればいいのですが、そう考えるのは賭けです)。契約延長せずに彼をトレードする場合は、今シーズンが契約のラストの年なので、彼を得るチームにとっては1シーズンのレンタルになってしまいます。そうなると、相手チームは大きなアセットを出してラヴを得たにも関わらず、FAですっと出ていかれてしまう悲惨な状況になってしまいます(クリス・ポールとロケッツのように裏で握っているなら別ですが)ので、トレードもできません。

ポール・ジョージやクワイ・レナードのようにリーグ10位に入るようなプレーヤーなら、そのような賭けをする球団がありそうですが(サンダーやラプターズのように)、今のラヴ(30)の実力からはそれも見込めないでしょう。そういう状況になる前に、将来の選択肢を増やすためのヘッジとして、ラヴに見合う大きな金額で契約し、将来獲得できるアセットをできるだけ大きくするという思惑が働いたのではないでしょうか。

ワシントン・ウィザース

ウィザースは、今シーズン、バックスとタックスを減らすためのトレードするのは2回目です。今回はスミスの約5.5億円をデッカーの約2.8億円に変えました。ウィザースはまだタックスラインを約5億円越えていますが、これによりタックスをなくす事には近づきました。2ndラウンドピックの値段は安いですし。また、ウィザースはデッカーをトレードデットラインでまたトレードする事もできます。

参考サイト:Salary cap analysis: George Hill acquisition gives Bucks options, while Cavs and Wizards will hope for the best
サムネイル画像:Photo by Maddie Meyer/Getty Images

 

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