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KDとドレイモンドに何があったのか?

KDとドレイモンドの口論で帝国崩壊!? 

11月9日(US時間)、113対113でむかえたウォリアーズ対クリッパーズ戦のレギュレーションの最終ポゼッションでその事件はおこりました。残り8秒でルー・ウィリアムスが外したシュートのリバウンドを取ったドレイモンド・グリーンがそのままドリブルで走り出しました。現NBA最高スコアラーとの呼び声も高いケヴィン・デュラントはグリーンに叫んでパスを要求しましたが、グリーンはそのままプレーし続け、最後はドリブルをファンブルしTOで自爆。試合はOTへ。

このプレーがきっかけとなり、何万人もの視聴者が見ている中、KDとグリーンがベンチで大口論をはじめてしまいました。誰もがウォリアーズは仲が良く、それが強さに繋がっていると思っていたため、その後のKDの怒りはすぐにニュースになり、「帝国の内部崩壊」というようなテーマの記事がメディアを賑わしました。また、チームメイトに対しおおっぴらに怒りを表現する事自体が珍しいため、ふたりの口論はどのNBAメディアでも大きく取り上げられました。

KDが怒ったのは、グリーンから「誰に口を聞いてんだ?オレはずっとプレーメークしてきている。オレ達はお前が来る前から勝っていたんだ。お前がいなくても勝てる。出ていけ」的な暴言を吐かれたのが理由だそうです。

その後、ロッカールームでも言い合いがあり、KDは怒って記者会見をすっとばして先に帰ってしまいました。(実はバスの出発まで一人で考え事をしていたそうです)

グリーンがKDに言ったと言われている事は、次のようなものです。
・KDを何度も「Bitch」と呼んだ。
・それよりももっと汚い言葉を使ったとの証言もある
・ウォリアーズはデュラントが来る前から勝っていた、今まで同じようにプレーしてきた、だからディラントが自分をヘボ選手のように扱うのは耐えられない。
・グリーンは、KDが今シーズン後に去るにも関わらず、自分のFAの話題でシーズンを騒がしている事を責めた。
・そうする事でウォリアーズを疲弊させている。

もっと酷い事も言ったそうですが、これだけでも十分ひどい内容ですね。選手達の間ではFAの話は暗黙の了解のようなものがあり、お互い干渉しません。なぜなら、自分がその立場になったら、高額なオファーを提示してくれた他球団へ移籍し、球団やファンを裏切る可能性も十分ある訳です。でも、グリーンはタブーに触れてしまった。KDに関しては、昨シーズンも同じ状況でしたし、グリーンにとってかなり内心ひっかかっていたに違いありません。

あの、プレーへのよろこびであふれ、Strength in Numbers(チーム力の強さ)をモットーにしているウォリアーズに内紛が起きただけでも驚きでしたが、グリーンに対する球団の処罰も驚きの内容でした。(残り8秒なら、TOをとった方が勝つチャンスが大きかったと思いますし、こんな事件もおこらなかったと思いますが…)

1試合の出場停止処分(サラリーは支払われない)

これにより、グリーンは約1200万円を失う事になります。

これはカーが決めた事だそうですが、選手同士の口論でこのような重い処分はかつてないそうです。仮に相手が、審判、コーチ、ファン、球団関係者だったら理解できますが、よくある仲間同士の口論で、このような大きな課すような事はないようです。

では、なぜウォリアーズはグリーンにこのように重い処分を課したのでしょうか?

レポーター達の間では、「チームメイトに対してリスペクトがなく言い過ぎた」と言うよりも、「ウォリアーズはKDの味方をした、というメッセージをチームの内外(特にKD)に知らせた」、との見方でまとまっています。また、カーがシーズン中のチームの雰囲気をこのままドレイモンド色に染めたくないため、あえて出場停止という厳しい処分を課す事により、悪い雰囲気を断ち切りたかった、という見方もあります。

ウォリアーズはKDのFAにとても敏感になっているのは間違いないようです。オーナーのジョー・レイコブが何度も言っているように、NBAで彼のようなTOP5に入る選手をとれるチャンスはほとんどありません。特に、ウォリアーズはキャップを越えているため、マックスレベルの選手を取るにはトレードしかないので、ぜひKDと再契約したいところでしょう。

開幕戦でのリングセレモニーで、レイコブがKDにリングを渡す時、「今契約すればこれを渡すよ」とジョークを言ったといいます。他球団からは、ウォリアーズは昨シーズンと同様に今シーズンもKDをリクルーティングしている、と見られているでしょう。

しかし、ウォリアーズの選手の中にはそのリクルーティングに疲れてしまっている人もいるようです。KDは普段から何を考えているかわかりずらいところがあるそうで、昨シーズンの1月か2月には、カーがKDをランチに誘って状況を確認し合ったそうです。それでもKDの真意がわからず(本人もわかっていなかった説も)、チームメイト達が彼はチームに残ると確信できたのは、結局プレーオフに入ってからだったそうです。

この口論で皮肉だったのは、KDがつい前の日のインタビューでFAの事について聞かれ、「みんなは気にしていない、今は出来るだけ楽しんでプレーし優勝を狙う、このチームには他の人の契約に足を踏み込んでくるような人はいない」と答えていた事です。

KDのFAに関しては今シーズンも状況は同じで、優勝すればチームに残るし、出来なければFAを試すと言われています。ただ、今シーズンはKDはうまくカリーと共存でき、プレーの質が勝つためのプレーに昇華しつつあると思います。昨シーズンのプレーオフで、ケミストリーの何かを見つけたような事を言っていましたが、3シーズン目にしてやっとお互いを理解しあえて何をするべきかがわかるようになり、レベルがあがっていると思っています。しかし、この事件の後、その魔法も霧散してしまいましたが…

KDの選択肢

KDのFAが問題となっている訳ですが、なぜKDは1+1の契約をしたのでしょうか。
次のような可能性が考えられます。

1. 2019年にバードライトを得るため、5年の”マックス”契約を狙う。

KDは今年でウォリアーズで3年目なので、ウォリアーズとKDは、次の契約からバードライトを利用できるようになります。そうなるとKDは、5年で年率8%アップのマックス契約が得られるようになり、その合計は約223.8億円になります。
※2019年のキャップは約109億円になるとの見通し

ちなみに他チームとの契約になると、4年で約164.4億円になります。

もし、仮に2018年にKDがウォリアーズとマックスの4年契約を結んでいたら、約160億円になります。

(Getty Images)

このように、ファイナンシャル的に1+1は超合理的で、KDにとって将来的に得られる金額を最大限にアップさせる戦略でした。この差額なら彼が去年、今年とディスカウントした分は余裕で取り返せてしまいます。

また、今年に5年マックス契約をすれば、30歳というプライムを過ぎてからの35歳までのファイナンシャル的な安定をしっかり確保できる事もポイントになります。クリス・ポールが契約の5年目を得られなかった事を見れば、球団にとって30過ぎてからの長期大型契約はしずらいのは明らかですし、29歳の去年でマックスを得るよりも30歳の今年でマックスを得た方が、最終的には大きな金額が得られるはずです。そうであれば、今シーズンの1+1は、与えられた状況の中では最善で最高の一手ではないでしょうか。

KDは35歳までしっかりマックスを得て、生涯獲得サラリーを最大化していく計画を検討しているため、私は彼はウォリアーズに残ると思っています。

2. 他のFAを守る

自身のファイナンシャル的な未来を最大限に守ると同時に、1+1にすればFAのクレイとドレイモンドを守る事もできます。

ウォリアーズはオールスター4人をキープした場合、サラリーだけで約180億円は行くと予想されています。ですから、KDがウォリアーズと駆け引きをする事により、ウォリアーズがFAのクレイを値切って(しないと思いますが)、そのためにクレイがよりよい条件を提示した他チームへ移籍してしまったりしないようにプレッシャーをかける事ができます。「クレイがいないと自分もオプトアウトして他チームへ移籍しちゃうよ、だからコア選手をきちんと扱ってね」という感じですね。KDからしたら、せっかく残ってあと5年もあるのに、そのために競争力がないチームになってしまうのでは意味ありません。

グリーンも契約延長可能ですし、もし今年DPOYを得れば、スーパーマックスの権利を得る事もできます。はたしてウォリアーズはグリーンにスーパーマックスを払うのでしょうか?しかし、KDをキープしたいウォリアーズは、グリーンの条件を飲まざるをえなくなります。

3. 様子を見る

何かあった時、来シーズンは他チームに移籍できるように少しでも多くの選択肢を手元に置いておく、というプラスの側面もあります。

今回のドレイモンドとの口論は、ファイナンシャル的なメリットよりも、ここがあまりにも大きくフォーカスされている印象です。その方がストーリーになりますし、視聴率もPVも稼げますからね…

確かに、来年FAになるカイリー・アーヴィンは開幕前にセルティクスに残りたいと言って球団とファンを安心させました。もちろんどうなるかはわかりませんが。KDはこれをしていません。もし仮にそうしてしまったら、レバがなくなり交渉が不利になってしまうでしょう。だから、残りたいと思っていても口には出せない状況なのではないでしょうか。1+1をした後、すでにもう来シーズンの交渉は始まっているのです。

このように、KDの1+1は、レバをかけてチームを護ると同時に、自分のキャリアでの選択肢の自由も与えています。KDにしてみれば1石2鳥ですね。

その後とKDのFAについて

結局KDとグリーンは仲直りしたようです。

KDのビジネスパートナーのリッチ・クレイマンは口論の次の試合のマブス戦に顔を出し、グリーンとハグしたり話したりしていました。また彼はGMのマイヤーズとも話をして火消しをしていました。

KDは、「怒っていたが、それに怒り続けていく訳にはいかない、そしてそれがどう自分のバスケに影響するか見ている訳にはいかない、大人になって決断しなければいけない、何があろうと間違いなく毎日バスケに打ち込むのだから」的な事を言っていました。

チームメイトも前に進んでいるようです。

とはいえ、ブルズやレイカーズのように帝国の崩壊はほとんどが内部からですし、何がおこるかわからないのがNBAの面白いところです。このような問題が出てくるのは仕方がない事なのかもしれません。

また、KDはサンフランシスコに引っ越してていて、シリコンバレーと大都市のライフスタイルを楽しんでいるようです。ウォリアーズの新アリーナがサンフランシスコにオープンします。3連覇を達成すれば、ベイエリアで皆が伝説になり新アリーナの前に銅像が建つ、そしてそれは大きなレガシーだ、と発言しています。KD移籍の噂が今シーズン続くと思いますが、サラリーの条件などもあり、KDの移籍はないと考えています。

クレイ:
口論の後のロッカールームで、普段は物静かなクレイが声を出して仕切ったので、みんながびっくりしたそうです。

イギー:
チームのベテランでもあるアンドレ・イグォダラが、KDとドレイモンドの口論について聞かれ、人ごとのように、「コービーとシャックも仲悪かっただろ?」と言っていたのは笑いました。

参考サイト:Unpacking the Draymond Green-Kevin Durant rift and what the fall out could mean long term
サムネイル画像:Photo by Getty Images

One thought on “KDとドレイモンドに何があったのか?”

  1. 留守 says:

    わかりやすい文章

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