トレード考察シリーズ エピソード1: ウォリアーズ&ウルブス

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今年は驚きに満ちたトレードがいくつかありました。
・ウォリアーズとウルブス
・ヒートとグリズリーズ
・ロケッツ、ホークス、ウルブス、ナゲッツ
・ピストンズとキャヴァリアーズ

これら多くの人を驚かせたトレードを4回にわたって考察してみようと思います。まずはウォリアーズとウルブスのトレードを見ていきましょう。

ゴールデンステート・ウォリアーズとミネソタ・ティンバーウルブス

ウォリアーズがトレードしたアセット:

・ディアンジェロ・ラッセル
・ジェイコブ・エヴァンス
・オマリ・スペルマン

ウォリアーズが得たアセット:

・アンドリュー・ウィギンス
・2021年1stラウンドピック(Top 3プロテクト、2022年にアンプロテクト)
・2021年の2ndラウンドピック

トレード後のキャップ:

ウォリアーズはリピータータックスをかわすため、ウルブス、マブス、シクサーズとのトレードで、できる限りのアセットをおろして、サラリーをタックス以下まで下ろしました。

これでキャップは約150億円→約132億円。

トレード後6人のスロットを埋めなければいけませんが、ミニマムで契約すれば問題ありません。


ウルブスがトレードしたアセット:

・アンドリュー・ウィギンス
・2021年1stラウンドピック(Top 3プロテクト、2022年にアンプロテクト)
・2021年の2ndラウンドピック

ウルブスが得たアセット:

・ディアンジェロ・ラッセル
・ジェイコブ・エヴァンス
・オマリ・スペルマン

ウルブスはNBA最悪の契約の内のひとつと言われているアンドリュー・ウィギンスの契約(3シーズンで約94.7億円/29.5億円、約31.5億円、約33.6億円)をディアンジェロ・ラッセルの3シーズンで約90億円の契約と交換。お荷物だったジェンの契約も下ろし、ロサス新体制の元、
新チームづくりをはじめました。

トレード考察:ウォリアーズ

ウォリアーズがディアンジェロ・ラッセルをドラフトではなくこのタイミングでトレードした事は、NBAメディア中で「なぜ?」という反応で迎えられました。

理由は、ドラフトまで待てばウィギンスよりもいい選手が取れる可能性が大きかったからです。

例えば、ウォリアーズの今年のドラフト順位が1位になったとします。
そうなると、相手チームの状況次第ですが、ラッセル+ドラフト1位でベン・シモンズ(またはジョエル・エンビード)、ブラッドリー・ビールあたりが狙えます。アーロン・ゴードンもいけるでしょう。

ウィギンスはまだ24歳と若いですが、カリーら主力のプライムが過ぎた後、ウォリアーズをひっぱって行くまでに成長が期待できないと思われています。

ウォリアーズはこれまでに、うまく活躍できていない選手をチームにフィットさせて復活の場として提供してきました。NBAから足が一歩出かかっていたジャヴェル・マギー、マーキーフ・クリスを成長させ、グレン・ロビンソン、アレック・バークスらを安く買って高く売りに出しています。でもそれは彼らがロールプレーヤーだから可能であり、スター級のマックス契約しているウィギンスには当てはまりません。

来シーズン、カリーやクレイが揃った時にウィギンスが活躍すると言う事は、ウィギンスは、守備、パスをする、スリーを決めると言った脇役の役割をきちっとこなす事を意味します。

このようにウィギンスをアセットとして見た場合、マックスの脇役になります。そんな選手を高く評価するチームがいるでしょうか?最低でもドラフト1stラウンドピックを2つつけないと引き取ってくれないのではないでしょうか?

なぜ、ウォリアーズはこのようなメークセンスしないトレードをしたのでしょうか?

理由は、ラッセルのマックス選手としてのチームへのフィット、ウィング問題、タックスがあげられます。

  • ラッセルのチームへのフィット

予想ですが、ラッセルの市場価値が思いの外低かったのではないでしょうか?他チームとの交渉で彼の相場を計った時に、彼の引きがあまりなかったと思われます。それならチームの構成にフィットするウィングのウィギンスをとった方が良いとの判断も一部あったと思います。

ラッセルが効果的なのはボールを持っている時ですが、それ以外ですと、1 on 1であまり抜けずにリムまで切り込む事が少ないので、ジャンパーが多い。そしてよく言われるのが、ディフェンスをしない。
オフザボールでは何もしない(する選手の方が珍しいですかね)。
特に守備はNBAスターターとしては最下位に近く、ESPNのReal Plus-Minusでは128人中126位でした(ドラフト時点)。
カリーとラッセルのバックコートは守備に疑問が残ります。

The Athleticによると、ウォリアーズの球団内ではラッセルの実験が終わった事にほっとしている人たちもいるそうです。

ラッセルの強みであるPNRは、カーはあまりやらないので、コーチとの相性も良くなかったのではないでしょうか。

カーのフィロソフィーの1つにパスがあり、PNRでボールが2人に集まるよりも、全員でボールをシェアした方がいいと思っているからです。ベンチ選手でもボールを触る事によりリズムがうまれ、チーム力があがると考えているようです。誰も止められないと考えられていたKDとカリーのPNRもあまりやらずに批判されていた事もあります。

  • ウィング問題

優秀なウィングは供給が少なく需要が高い事も理由のひとつです。カーも言っていましたが、来年のFAとドラフトのウィングは弱いそうです。ウィギンスはウィングのトップ10には入りませんが、トップ20~25には入るのではないでしょうか。

同時にウィギンスをラッセルよりも高く評価した人たちもいる事を意味しています(スカウトのマイク・ダンレヴィー)。ウルブスのシステムよりも、役割がきちんときまっているウォリアーズの方がプレーしやすく、カーがつくったカルチャーでならまだ若いウィギンスは成長できる、と思っている人たちもいるようです。

  • リピータータックス

オーナーのジョー・レイコブにとってタックスから抜け出す事もかなり重要でした。

レイコブは、このチーム成績でタックスを払うのは意味がないと考えていたそうです。このトレードで今シーズンタックスから抜けれのであれば、やってしまおうとの判断でした、

トレード前は、リピータータックスが約60億円になるところでした。そして来シーズンは、カリー、クレイ、ドレイモンド、ウィギンスで約130億円になり、10人で約140億いってしまいます。それに約17億円のTE、MLEの約9.7億円(しかし、フルMLEを使うとハードキャップになるので、ノンタックスペイヤーのMLEを使うと予想されている)を加えると、かつてない高額サラリーの領域に入ります。今年リピータータックスを抜け出さないと、来シーズンのタックスもリピータータックスになってしまうので、莫大な金額がオーナーのサイフにのし掛かってきます。

金擦り機と呼ばれるチェイス・センターを持ってしても、この莫大な金額になると節約しようとの判断もわかります。

そんな中、サラリーが安くトレードアセットとしても使える1stラウンドピックも得られ、課題だったウィングも補強でき、お金も節約できると考えると、このトレードはメイクセンスなのではないでしょうか。

また、なぜハイドラフトピックが確実な今年のドラウトピックではなく、来シーズンのドラフトピックを得たのかですが、理由は3つあります。

ひとつめは、優勝を狙いながら2人の1stラウンドピックを育てるのは厳しい。

ふたつめは、2020年のドラフトはワンアンドダン時代最低という人もいるくらいレベルが低い。今年は去年2位だったモラントレベルの選手はいないとの事です。それに比べれば、2021年のドラフトは2020年よりもかなり良いそうです。

3つめは、ウルブスは来年もロッタリーは間違いないのではないか?との判断がはたらいた事。

ウェストには、まだレイカーズ、クリッパーズ、ナゲッツ、ジャズ、マブス、ロケッツがいて、来シーズン中心選手が揃うウォリアーズとブレイザース、成長著しいグリズリーズとペリカンズ… 今シーズンよりも競争が激しくなります。

来年も守備がかなり疑問なKATとラッセル、ビーズリーでどこまで勝てるかを考えると、ロッタリーは確実のような気がします。

最後に、アンドリュー・ウィギンスはハリソン・バーンズの上位互換にはならないそうです。バーンズは4も5も守れましたが、ウィギンスは細いので4にはならなさそうです。来シーズン試合をクロージングするラインアップは、カリー、クレイ、ウィギンス、ドレイモンド、ルーニーでしょうか。

トレード考察:ウルブス

ウルブスは夏からディアンジェロ・ラッセルを狙っていて、シーズンに入ってもそれを隠そうとはしませんでした。

ウソでも狙っていないと言っておかないと、トレード交渉を足元を見られるため、あまり交渉で足元を見られる事は言いません。(レイカーズがどれほどアセットをペリカンズへ渡したか…)それでも、ラッセルを狙い続けたウルブスからすれば、うれしいトレードになったでしょう。

しかも、ドラフトアセットや若い選手をつけないとトレードできないと言われていたウィギンスもトレードできたので、万々歳ではないでしょうか。

また、KATも11月から1勝もしておらず(トレード時点)、チームにかなりフラストレーションがたまっていたようです。トレード要求もあるかもしれない、との声まで聞こえてきていました。親友のディアンジェロ・ラッセルと組む事により、そのような不満もなくなるでしょうし、新しいチームでの希望も見えてきます。

オフェンスではチームのアイデンティティーが見えてきたと思います。
ラッセルとKATのPnRは破壊力が大きいですし、外にもビーズリーとヘルナンゴメスでスペースをつくれて、モダンバスケの形ができてきました。

KATとラッセル、ビーズリーはディフェンスをしないので、そこは微妙ですが、再建への一歩はうまく踏み出せたのではないでしょうか。

参考サイト:Does Joe Lacob deserve heat for ducking the Warriors under the luxury tax? Bob Myers explains why he doesn’t

サムネイル画像:Photo by David Berding / USA TODAY Sports