NBAシーズン再開の詳細

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NBAがコロナで中止となりましたが、コロナも落ち着いてきたところでシーズン再開へ向けて動き出しています。

CDCも専門家もヘルスアドバイザーも、検査がすべてだと意見が一致。ファウチさんも注意深くしている限り、毎週の検査でスポーツはできると言っています。

しかし、再開といってもこのタイミングで単にシーズン途中からはじめる訳にもいかず、どう再開するのか、コロナ感染者を出さずにシーズンを終える事ができるのか?等乗り越えなければいけない壁ばかりです。

その壁を突破するために、NBAが出した答えはこれです。

「バブル会場に22チームを一箇所にまとめて、コロナ感染でシーズン終了にならないようにコロナ対策を万全にし、限りある放映料とスケジュールの中、おもしろい試合を届けられるか」です。

そこで、このゴールを次の2つにブレークダウンしてシーズン再開が具体的にどうなるのか見ていきたいと思います。

・バブル会場とコロナ対策
・再開フォーマットとスケジュール

バブル会場とコロナ対策

バブル会場とは?

バブルとは、人の出入りを極限まで制限し、コロナウィルスがその領域内に入らないようにするという意味です。バブル会場とは、クリーンな人しか入れない会場のことです。

バブルは封じ込めるという特殊な響きがあるので、NBAは「キャンパス」と呼び始めました。
ディズニー・ワールド・キャンパスです。なんか行くのにワクワクしてきますね(笑)

(JOE BURBANK/TNS)

そうしたバブルはベガスのようなパブリックな場所で維持管理するのが難しいため、会場は、ディズニーが所有するプライベートな施設になりました。それは、ESPN ワイド・ワールド・スポーツ・コンプレックスと呼ばれ、フロリダ州のオーランドにあります。220エーカーあり、その敷地内にはアリーナが3つ、ホテルも3つあるそうです。

コロナ対策

もっとも重要なのはコロナ対策です。

アメリカでは、コロナは日本よりも死者数も感染者数も多く、かなりシビアに考えられているため、NBAは選手たちやスタッフたちの健康を最優先事項に位置付けています。

コロナ蔓延でプレーオフまで行けなかった、なんてなったら大失敗です。

無症状の人でも、症状が出る前に感染してしまうし(この感染確率は2%~5%なので、もし無病床の人が出れば、1600人中32人は無病床者が出てしまう)、偽陽性や偽陰性も問題になりますので、検査はできるだけ多くやる方針です。

バブル会場に入る最終的な人数にもよりますが、今のところ1.5万検査が必要になると予想されています。5.6万検査という専門家もいます。

また、NBAは検査するために、公共の医療物資を本当に必要としている一般人から横取りする事がないよう細心の注意を払っています。そうしないように球団にも通達しています。そのため、民間の検査機関と協力し、素早く行える検査方法を確立中です。

選手たちがフルの鼻腔スワブ検査を毎日するのは嫌がるので、軽い鼻腔スワブか唾液での検査になりそうです。

検査は、6/23から1日置き、オーランドのバブル会場に入ったら毎晩行うようです。

バブル会場のオペレーション

バブル会場の人の出入りが多くなれば、コロナ感染の確率も増えていくので、運営としては会場内の人数もできるだけ減らしたいところでしょう。これも全30チームではなく、プレーオフに出れない8チームを外した22チームでのシーズン再開に決まった由のひとつです。

そうなると、ここがいちばんのポイントですが、それでもコロナが入り混み、コロナ感染した人が出たらどうするのか?どこまでがシーズン続行の許容範囲なのでしょうか?
レブロンがコロナ感染したらどうするのでしょうか?ケガと同じように考えれば割り切れるのでしょうか?
レイカーズがコロナ感染していたら、レイカーズはプレーオフに行けないのでしょうか?

そのようなレギュレーションも最初から決めていないとモメるため、
今シーズン再開のためのコロナ特別運営オペレーションを作成中だそうです。

(NBAのオペレーションブックは、大きな街の電話帳くらいの厚さで、今回は100ページくらいになるそうです)

バブルの内部ブレークダウン

シーズン再開のために必要な人数は、最低でも1600人になるとの事。その内訳を見ていきましょう。

(ESPN Wide World of Sports ©Disney)

NBAチーム:
通常の40~50人体制を28人までに減らす。
プレーオフでは75人になる時もあるそうです。

28人にするためには、17人の選手(NBA契約は15人)は変わらず。
ヘッドコーチと3人のアシスタントコーチ、3人のトレーナー/フィジカルセラピスト/ストレングスコーチ、イクイップメント・マネージャー、ロジスティクス・コーディネーター、フロントオフィスの代表、PR、警備員等。

*現在NBAは35人まで絞るように球団に通達しているそうです。

審判:
レギュラーシーズンとプレーオフで36~38人必要になるとの事。
3人の審判が平均8試合のレギュラーシーズンをこなす計算。
この数字の中には怪我や休養のための予備人員も入ります。

現場にいる感染専門家、救急隊員:
救急車も必要になります。
アメリカはイベントをやる時は、救急車や消防車が現場にいなければいけない時があります。

バスケ運営者:
ショットクロック、クロックオペレーター、スコアボード、リアルタイム・スタッツ、審判とのコミュニケーター、会場アナウンサー等。

リアルタイム・スタッツ要員はスポーツ賭博のために必要だそうです。

TV放映:
TVプロデューサー/ディレクター/スタッフ
5つのカメラで逆算すると、放映するために20~25人必要になるそうです。

ホテル従業員:
NBA選手は通常ですと、遠征先では5つ星のホテルに泊まり、24時間サービスを得られます。
このように1100~1200人のNBA関係者を相手にすると、レストラン従業員は300~350人必要になるそうです。

部屋の掃除を毎日ではなく毎週に減らせば、その人数は20%減らせるそうです。
特別なカスタマイズな料理ではなく、スタンダードの料理にすれば更に10%減らせるそうです。

このホテル従業員は地元の人たちで、
家に帰れば家族がいるし、休日などの行動を制限できません。バブル内にとどまるNBA関係者と違い、コロナへの露出は高くなります。しかし、NBAのプロトコルは従業員には適用されないようです。マスクや手袋、NBA関係者との距離を保つ、体温検査などの対策がされるそうです。

フォーマット

(Image by ESPN)

結局、プレーオフに出れる確率がない(勝つモチベーションがない)チームを除く22チームでのシーズン再開となりました。

サンズとウィザースがプレーオフに出れる確率はとても低く、20チームでの再開になるのではないかと言われていましたが、最終的に22チームになりました。

そのメリットは:

・プレーオフの順位をかけて戦うので、おもしろいゲームになる
・レギュラーシーズンの試合が多くなるので、収益が多くなる
・選手たちはその分のサラリーを受け取れる。

2つ目のの収益の件ですが、チームはそれぞれローカルテレビ局との契約があり、ほとんどは1シーズン70試合をしなければいけないものになっているようです。

レイカーズは例外で、ローカル放送契約は1試合1.5億円になりますので、今回の8試合のレギュラーシーズンだけでも12億円の売上になります。

また、3つ目の選手のサラリーは、レギュラーシーズンのみでカウントされるので、レギュラーシーズンが増える=サラリーが増えます。

プレーオフになると、テニスやチャンピオンズリーグのように成績に準じた賞金がチームに支払われます。それを選手たちやスタッフたちと分け合っています。

今回、レギュラーシーズンをやるだけで選手たちに約300億円入ってくる(戻ってくる)そうです。もしシーズンがなければ約640億円失われていたとのこと。

プレーオフのシードも、一箇所でプレーするため移動がないので、ウェストとイーストをまぜてしまう案も出ていましたが、イーストのチームが賛成せずに通常のフォーマットになったようです。

イーストの1位のバックスも下位のネッツもマジックも弱いイーストで戦う方が楽ですし。

サッカーのような、グループステージ案も出ていましたが、人気がなかったようです。各グループの上位2チームがプレーオフの2回戦に進めるといったフォーマットです。試合数が多くなるのは助かりますが、多すぎてもスケジュールが長くなりますし、スケジュールが長くなればコロナの感染のリスクもあがります。地方のテレビ局との契約も70試合してしまえば、あとは問題ないので、馴染みのないグループステージの案はボツになったようです。

スケジュール

まだNBAとNBPAが交渉中ですので、すべて流動的ではありますが、あまりずれないと思います。

6/15: 海外にいる選手がチームがある街へ戻ってくる
6/22: 国内にいる選手がチームに戻る
6/23: コロナ検査が開始。1日おき
6/30: トレーニングキャンプ開始
7/6~9: オーランドにあるキャンパス入り。36時間部屋に隔離される。

7/31: シーズン開幕2.0 *今シーズンを7/30開始で調整中

8/16~17: プレーイン・トーナメント
8/18: プレーオフ 1stラウンド
9/1: プレーオフ 2ndラウンド
9/15: カンファレンス・ファイナル
9/30: ファイナル ゲーム1
10/12: ファイナル ゲーム7

10/15: ドラフト(仮、コロナ感染が出た場合プッシュバック)
10/18: FA (仮、コロナ感染が出た場合プッシュバック)

11/10: トレーニング・キャンプ (仮、NBPAは拒否する模様)
12/1: 2020-21シーズン開幕 (仮、NBPAは拒否する模様)

*陽性になった選手が復帰するには、10日隔離&検査2回の陰性が必要。
*キャンパスから出て戻ってきた選手/スタッフらは10日隔離&検査2回の陰性が必要。

*ウォリアーズの約17.2億円のTEが切れるのが10/24に変更。ドラフトでのトレードに使う大きなアセットになるので注目。

NBPAとNBAは以下のことも議論しているそうです。

・レギュラーシーズン前に2~3つのエキシビションゲームを計画
・選手とその家族はバブル内に留まらなくてはいけない; 家族とは1stラウンドの後合流できる
・もし選手がコロナに感染したら、NBAはプレーし続ける
・NBPAは選手たちに2020-21シーズンの12/1開幕は「ありそうにない」と伝えた。日程は交渉するつもりだ。
・NBPAはコロナ検査を毎晩行う。口内か鼻腔の入り口のスワブで、フルの鼻腔スワブではない。
・NBA 2Kの音を観客の声援にするかもしれないが、NBAとNBPAはクリエイティブな解決策を考え中だ
・この夏に選手たちは満額のチェックをもらえるようになる。5月から25%減らされていた。
・オーランドに入れる家族の人吸う制限:3人。例外あり
・1チーム35人の上限が提案されている
・2つのコートとコンベンションセンター内のウェイトルームで、チームは3時間の練習時間がとれる
・PED検査はするが、リクリエーション・ドラッグ検査はしない(実質マリワナは可)
・ロースターの15人はNBA契約で、2人は2way
・6月後半の1週間の間に、ウェーブ&サインできる期間を設ける。この期間に2wayをNBA契約に変えられる
・FAは今年と昨年にNBA契約をしていた選手との契約が可能
・海外の選手は契約不可。今空いているミロティッチらはアウト

現在、ナゲッツ、グリズリーズ、クリッパーズ、サンダー、サンズ、ブレイザース、キングス、スパーズにロースターが空いています。このチームの中にカゥズンズやアイゼィア・トーマス、ジャマル・クロフォード、JR・スミスと契約するチームが出てくるのでしょうか。

個人的に気になるのは2wayと10day契約の変更内容です。2wayは練習を含めて45日間しかNBAチームと一緒にいれません。今回のトレーニングキャンプで今までの日数がチャラになるのか、またはもう日数制限はしないのか?また、クリッパーズと10day契約をしたノアですが、実質もう10日はとっくに過ぎてしまっています。これがどういう扱いになるのか楽しみです。

最後に。選手たちやコーチたち、スタッフたちがバブル会場に行くのは強制ではないそうです。長い隔離期間(外へは出れない)、コロナ感染の恐怖、数ヶ月バスケをしていないためのケガの懸念、いま全米で沸き起こっている社会的差別/警察暴力に対する運動、など、行くのが微妙だと思っている選手も数10人はいるそうで、シーズンに参加しない選手には罰則をしない事も検討されているそうです。

また何か重要な決定が発表されたら
ご報告していこうと思います。

参考サイト:The NBA in a bubble: The blueprint for how the league could finish the 2019-20 season
サムネイル画像:Image by NBA