セルティクス vs ヒート
両チームともディフェンスが良く、プレーオフのディフェンスはリーグ5位以内にはいります。
セルティクスのDefRtgは101.9で1位。
ヒートのDefRtgは105.4で3位。
NetRtgはセルティクスが2位の8.3でヒートが3位の7.4です。
数字だけみれば実力はほぼ同じ。このシリーズもまた接戦になりそうです。
このシリーズのキモとなる選手やポイントを両チームのオフェンスを通して確認していきたいと思います。
セルティクスのオフェンス
鍵となる選手はケンバ・ウォーカー。
セルティクスの選手の中ではケンバが活躍しそうです。ヒートはラプターズのようにケンバ封じのボックス&1はやってこないでしょうから、ケンバにとってはラプターズよりもやり安くなります。また、ヒートにはケンバのスピードを守れるガードがいませんし、ケンバにはヒートのスウィッチに対して守備がまだまだのロビンソンやヒィーロを狙わせたいところです。オリニクが出ていたら、オリニクも狙い目です。ただ、ヒートもウィークポイントを隠すためにオールスウィッチはせずに、ケンバにはスウィッチしないかもしれません。
テイタムはきびしいマッチアップが待っています。テイタムはラプターズシリーズでは主にラウリーに守られていましたが、このシリーズではヒートのクラウダー、イグォダラ、バトラー、アデバヨ、ジョーンズを相手にしなければならず、見る景色がちょっと違うものになりそうです。テイタムがエルボーや右サイドで1-on-1を仕掛けるのはちょっと見られないかもしれません。彼をどうプレーさせるのかは興味深い課題です。
また、ヒートはゾーンもずっとやっているので、セルティクスのセカンドユニットの時などマッチアップ次第でゾーンも敷いてくるでしょう。休みがかなりあったので、新しいゾーンも導入してくるかもしれません。ラプターズのようにずっとゾーンはやらないでしょうが、守備は織り交ぜてくると思います。
ヒートにはかならずどこかウィークポイント(ロビンソン、ヒィーロ、オリニク)が存在するので、セルティクスがそこをどこまで突けるか or ヒートがどこまで彼らを隠せるか、は勝敗をわける大切なポイントになっていくと思います。要はマッチアップをどうするかですね。
ブラッド・スティーヴンスが、ゴードン・ヘイワードはヒートのシリーズのどこかのタイミングで復帰できそうだと言っていました。グレード3の右足首捻挫から4週間は欠場すると見られていましたので、うまくいけば9/17のゲーム2には戻ってこれそうです。ただグレード3の捻挫は最低でも1ヶ月はかかり、それから試合のコンディションを整えなければならないので、復帰は遅れるかもしれません。
ヘイワードが復帰してもいきなりスタートさせるのではなく、セカンドユニットに得点力とボールハンドリングを与える意味でもベンチスタートになるのではないでしょうか。
試合前のヘイワード。
Gordon Hayward out shooting before the game 👀#Celtics pic.twitter.com/asYVh8Nn4q
— Celtics on NBC Sports Boston (@NBCSCeltics) September 12, 2020
心配なのは、ラプターズシリーズのゲーム7でグロインをケガ?したジェイレン・ブラウン。筋肉系のケガだと3日で完全復帰は厳しい。ケガがひどくないことを祈ります。
ヒートのオフェンス
ヒートの鍵となるのはバム・アデバヨ。
セルティクスにバムに対抗できるような選手がいなさそうです。特にゴーラン・ドラギッチとの1&5のPnRで相手ガードをペイントで押し込めます。バブルのシーディング・ゲームではバムにはブラウンがついていました。
また、ヒートはミッドレンジにバムを置いて、彼を起点にしてオフェンスを組み立てます。カットしたり、ピンダウンでフリーになった選手にバムがパスをするのですが、パスがなければ自分でバスケットに行きます。
セルティクスは、これらのバムのオフェンスをファウルをせずに止められるかが課題になるでしょう。バブルで対戦した時は、セルティクスはバムにFTを18本!与えていました。ヒートにはファウルをもらうのが上手いバトラーやドラギッチがいます。ファウルしやすいタイスにファウルがかさめば、層の薄いセルティクスのローテーションに影響がでてしまうので気をつけたいですね。
ジミー・バトラーはどうか。マッチアップしてくるのはスマート、テイタム、ブラウンあたりなのではないでしょうか。いずれもリーチも横の動きもあるので、バトラーにとってバックスシリーズよりも厳しいゲームになるでしょう。バトラーのドリブルからのプルアップはFG%がよくないので、セルティクスはバトラーを撃たせて守りそうです。
ヒートのハーフコート・オフェンス
ヒートのハーフコート・オフェンスはラプターズのそれとはまったく違い、むしろそれを得意としていてリーグ3位です。選手たちは基本的に常に動き回わり、フリーになるまでDHOやスクリーン、カット、カールなどを即興でやってきますので、動きがハマった時はかなりハイレベルです。ウォリアーズのような感じですね。
このヒートのモーション・オフェンスに対してセルティクスはスウィッチしてくると思います。そこで止められた時、ヒートはどういった対策を用意しているのかもポイントです。
ヒートはバックスのドロップカバレッジをぶち破っているので、セルティクスはあまりドロップしないでしょう。タイムロードことロバート・ウィリアムスはスウィッチできないと思うので、彼が出ている間はドロップになるかもしれません。そうなるとウィークポイントのケンバが狙い目ですが、セルティクスはそれをどう隠すか。スクラムを徹底してケンバを隠すか、またはヘルプを徹底して(スリーを見捨てることになりますが)ケンバで様子を見るか。ここもゲーム1のポイントのひとつだと思います。
そうなると、ロバート・ウィリアムスではなく、グラント・ウィリアムスの出番が増えそうですね。
これはバムとテイタムのバブルの試合後の絡みです。チームUSAの練習も一緒でしたし、仲は良さそうです。
Bam Adebayo listens in on Jayson Tatum’s postgame Zoom interview. #Celtics #Heat #NBABubble pic.twitter.com/9OgktaZpMP
— gary washburn (@GwashburnGlobe) August 5, 2020
スリー
この対戦には他にも大きな見どころがあります。
それはスリー
ヒートのレギュラーシーズンの3P%は37.9%。これはリーグ2位になります。
それに対するセルティクスのスリーのディフェンスは、OPP 3P%が34%でリーグ2位。プレーオフではラプターズとシクサーズ(スリーがイマイチなチームですが)を合わせて30.5%におさえています。
セルティクスはヒートの得意としているスリーをよく守れるということです。
ヒートには、今シーズン513のキャッチ&シュートを46%以上決めるスリーのスペシャリストのダンカン・ロビンソンがいます(クレイの500本以上のキャッチ&シュートのスリーは43.6%です)。他にもヒィーロ(40%)、オリニク(36.4%)、そしてバブルに入ってから調子がいいクラウダー(40%)。レギュラーシーズンはシュートがよくなかったジミーはなんと50%です。
これをセルティクスは守れてしまうのか?
こんな時はディフェンスが勝つのですが、他にもおもしろい数字があって、実はヒートはレギュラーシーズンのキャッチ&シュートのコンテステッド・スリーの3FGA/100もFG%もリーグ1位です。

(by Seth Partnow/The Athletic)
スリーのリーグ1位とスリーのディフェンスリーグ2位の対戦です。
ヒートが撃ち勝つのか、セルティクスが守りきるのか…?
どちらのチームがNBAファイナルに進むにしろ、とてもアツイシリーズになることはまちがいありません。
8/4のバブルでの対戦のハイライトです。予習にどうぞ。
サムネイル画像:Maddie Meyer / Getty Images