NBAとNBPAの交渉について

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NBPAとの交渉

NBAはNBPAに12/22開幕を提案しましたが、NBPAは1/18のMLKの祝日の開幕を譲らずに交渉が難航しています。

10/11にシーズンが終わったばかりなのと、NBAがずっと来年の開幕というシグナルを送っていたので、さすがにNBPAとしても合意はできなかったのでしょう。ですが、実際にはNBPAにとって重要なのは、開幕の日程よりも、選手たちの死活問題にもなり得るサラリーのエスクローの数字(%)の方です。NBPAはエスクローやサラリーキャップでNBAからの譲歩を引き出すために、開幕日の合意をしていないように思われます。

NBPAは木曜の夜か11/6のデットラインギリギリの金曜の朝に、どうするかの投票を行うとのことです。とはいえ、両者の間で話し合われていることがわからなければ、次の展望も見えてきませんし、おもしろくないと思います。そこで現在NBAとNBPAの間で何が協議されているかをまとめました。

 

エスクロー問題

通常、NBA選手のサラリーからは10%のエスクローが引かれています。このエスクローは、もしシーズンに何か起きて減収になった場合、利益配分を「選手:オーナー=51:49」にするために使われるものです。シーズン中何もなければそのままキープされ、翌年に支払われるようになっています。

しかし、コロナでシーズンが3月に中断した時、選手達はすでに51%を超えるサラリーをもらってしまっていました。それを取り返すためにNBAは5月15日からエスクローを25%に増やしています。実際にはそれほどの損失にはならず、バブルのおかげで予想よりも約1500億円の減収で済んだようです。そのため、今年取り過ぎていた分のエスクローはすぐに払い戻されるそうです。

具体的な数字を見ていくと:

カリーの2017-18シーズンのエスクロー10%と、来シーズンのエスクローが40%になった時比較です。

2017-18シーズンでは10%の約3.46億円が引かれています。↓

2020-21シーズンで、もしエスクローが40%になったら、約17.2億円が引かれるようになります。(ディンウィディーとエドワーズの比較も参考にしてください)↓

州税や所得税でかなり持っていかれていますね。エージェントの取り分は平均4%だそうです。
このため、カリーと州税のないテキサスを拠点としているハーデンの手取りがほぼ同じになっています。

 

来シーズンは、コロナ対策のため無観客試合になる予想です。そうなると収益の40%を占める観客がなくなるので、エスクローもがっつり取られることになります。それが40%なのか、35%なのかは不明ですが、選手の手取りに影響してきます。そうなると、今年お金を使ってしまった選手は来年の税金を払えなくなりますし、ミニマムで契約している選手達は相当苦しくなります。

そのため、NBPAはNBAとエスクローの割合を交渉しています。リーグは最初は40%で押していたそうですが、それを35%に減らしてきたとのこと。それに対しNBPAは、エスクローを3年間で分割して支払う提案をしたそうです。現在NBAは3年間25%を希望していますが、NBPAは3年間15%をプッシュ。落とし所は3年間18%になると見られています。NBPAのは、球団の価値はパンデミック中も上がり続けており、選手たちだけが犠牲になるのはおかしいと主張しているそうです。

 

サラリーキャップ

次に交渉の焦点になるのが、サラリーに影響するサラリーキャップです。本来なら約90億円のところを、昨シーズンと同じのサラリーキャップ約109億円&タックス約132億円で合意できそうとの事です。NBAはキャップとタックスは数年間(エスクローと同じ年数)フラットにしたいようですが、NBPAは徐々にあげていきたいそうです。選手たちのサラリーの上限はキャップの%で決まっているため、あがっていく方が得になります。

 

スケジュール

NBAが望む12/22の開幕になった場合のスケジュール感と、NBPAが押している1/18の開幕になった場合のスケジュール感の比較です。

12月22日開幕:

・12/1に3週間のトレーニングキャンプ開始

・3~4試合のプレシーズンゲーム
・72試合のレギュラーシーズン

・チームにつき2連戦は14回
・移動は25%減

・3月はじめに6日間のオールスター休暇

・3/16あたりにレギュラーシーズン終了

・イースタン・カンファレンスとウェスタン・カンファレンスの第7〜第10シードのプレーイン・トーナメント

・5/22あたりにプレーオフがはじまる
・7/22あたりにファイナルズが終わる

 

1月18日開幕:

・12/28に3週間のトレーニングキャンプ開始

・3~4試合のプレシーズンゲーム

・60試合のレギュラーシーズン

・チームにつき2連戦は12回

・移動は25%減

・4/9あたりに6日間のオールスター休暇

・6月にレギュラーシーズン終了

・イースタン・カンファレンスとウェスタン・カンファレンスの第7~第10シードのプレーイン・トーナメント

もし72試合やるなら:

・6/28あたりにプレーオフがはじまる

・8/21〜23あたりにファイナルズが終わる

 

プレーイン・トーナメント

上記スケジュールにプレーイン・トーナメントが出てきましたが、それについてNBAが提案している案は次のようになります。

・イーストとウェストのそれぞれのカンファレンスから第7シードから第10シードまでのチームが、プレーオフの最後の2つの枠をかけて戦う

・トーナメントはまず第7シード対第8シードの対戦で、その勝者が第7シードに決定。

・第9シード対第10シードが対戦し、その勝者が、第7シード対第8シードの敗者と最後の枠をかけて対戦。

・第9シード対第10シードは、負けなしで2連勝しなくてはいけない。

現在のところ、NBAはバブルの時のような、第8シードまで2ゲーム差のチームがプレーイン・トーナメントに参加できるというような規定は考えておらず、フォーマットでプレーイン・トーナメントをやりたいようです。プレーイン・トーナメントにより、収益増加が見込まれるとのことです。

しかし、もし第7シードと第8シードのゲーム差が大きかった場合に、プレーイン・トーナメントがフェアなのか問題になります。例えば、2019-20シーズンでウェストの第7シードだったマブスは、第8シードに7.5ゲーム差をつけています。このように実力が明らかに違う場合、第7シードもプレーインに参加させるようになるのでしょうか。話し合いが待たれます。

 

テレビ・パートナー

来シーズン無観客試合になるため、NBAの収益の大部分はテレビ放映に依存しないといけません。もしNBAがクリスマスの週末に試合をすれば、それだけでおよそ数100億円のプラスの収益になるそうです。

NBAが1月の開幕になれば、この先約500億円~約1000億円の損失につながるというレポートもありますが、具体的にどのようにこの数字がはじき出されているのか出ていないので真偽は不明です。ブラフとも取られかねない中、どういう計算をすれば開幕が1ヶ月押すだけで約1000億円もの損失につながるのかは非常に興味があります。

また、テレビ・パートナーは7月にオリンピックと競争をしたくないらしく、7月中にはシーズンを終えたいようです。この夏の視聴率も良くなかったこともあり、どうしても1月の開幕は避けたいようです。

もしクリスマス前の開幕がなければ、テレビ・パートナーは契約を再交渉を望むだろうとのこと。NBAも間に挟まって大変そうです。

 

ビジネスアイディア

NBAはできる限りスポンサーシップ収益を増やすために、次のような案を考えているようです。

・球団は、ベースラインのエプロンエリア近くに、大きなスポンサーシップを売る事ができるようになる。これは全国放送ではNG。

・球団は、海外のスポンサーシップ枠を2つから3つまで広げることができる。

・今まではNBAが海外のスポンサーシップを管理していたが、これからは球団が海外の広告とマーケティング権利を含むものができる。例えば、試合ではないチームのコンテンツをスポンサーのデジタルやソーシャルのメディアで見ることができるようになる。

・リーグは、ハードリカー(アルコール度数が高いアルコール飲料)、カジノ、スポーツ賭博のスポンサーの規制を緩める。彼らのスポンサーシップがアリーナのサイネージで見えたりしても問題がなくなる。これで約80〜約100億円の売上になるとのレポートあり。

・球団は、試合の放送中にセカンドスクリーンで試合ではないコンテンツを流すことができる。例えば、球団は自分のホームページやアプリでハーフタイムショーなどや、元選手などのインタビューを流すことができる。この目的は、コンテンツが増えることにより、球団はより多くのスポンサーシップを売ることができるようになる。

・球団は、練習用のジャージーのお腹あたりに大きな広告パッチを売ることができる。

・球団は、試合用のジャージーに2つ目のパッチを売ることができる。

しかし、開幕が12月22日になった場合、すぐにスポンサーを集められるのかは疑問。

 

最後に、バブルでのNBAのスポンサーシップの施策です。興味がある方は参考にしていただければ。


参考サイト:NBA season start date down to Dec.22 or Jan.18 to be decided this week:
サムネイル画像:Michele Roberts and Adam Silver. Photo by APUSA Today Sports/Associated Press