バックスとキングスとボグダン・ボグダノヴィッチ

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ヤニスとタナシスは、数ヶ月ボグダン・ボグダノヴィッチと連絡を取っていたようです。ヤニスは、ボグダノヴィッチのタフネスとスワガー(自信とエッジを合わせたようなニュアンス)を気に入っていて、ポストシーズンで一緒に戦えると見ていたそうです。ソースによると、2人は電話でも話をしていて、ヤニスはボグダノヴィッチと組みたいと伝えていたとの事です。

(Image by CLUTCHPOINTS)

そのため、バックスは早急にボグダノヴィッチ確保に動いたのだと思われます。キャップがないバックスがボグダノヴィッチを得るためには、RFAの彼のサイン&トレードをするしかありません。キングスとは、エリック・ブレッドソーとドラフトのNo.24を中心に交渉をしていたようです。キングス側は、トレードがどんな内容になったとしてもディヴィチェンゾを含めるように要求していたそうです。

結局落ち着いたのは以下のようなトレード内容でした:

バックスが得る選手
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””]  ボグダン・ボグダノヴィッチ(約14.6億円)
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””]  ジャスティン・ジェームズ(約1.5億円)

キングス
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””]  ドンテ・ディヴィチェンゾ(約3億円)
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””]  イーサン・イリャソヴァ(約7億円)
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””]  DJ・ウィルソン(約4.5億円)

しかし、ひとつだけ問題がありました。

RFAの交渉は11/20まで始めてはいけませんが、このボグダン・ボグダノヴィッチのサイン&トレード合意のニュースが11/16にESPNにすっぱ抜かれたことです。タイミング的に、11/16よりも前からタンパリングしていたと思われます。

その日の内にNBAは少なくとも1チームから正式な抗議を受け、NBAが動きます。NBAは11/18に、バックスとキングスのタンパリング調査を開始すると通達しました。NBAは他の28チームにも、契約中の選手に接触をしないように通達し、反タンパリングポリシーをを破ったチームには、約10億円までの罰金とドラフトピックの没収になるとリマインドしたそうです。

この騒動(?)をボグダノヴィッチ、キングス、バックスの視点から見ていきます。

 

バックス

ヤニスとのスーパーマックス・エクステンションを望んでいるバックスは、ヤニスが欲しがっている選手のリストを得て、その中から選手を獲得しようとしていたようです。多くのアセットを出して獲得したジュルー・ホリデーもそのリストの中の1人だと思われます。

ホリデーの獲得競争は激しく、セルティクスはゴードン・ヘイワードと3つのドラフトピックをオファー。ホークスはNo.6ピックとデウェイン・デットモン、ケヴィン・ハーター。ナゲッツとマブスもそれに加わったそうです。

結局、バックスはエリック・ブレッドソー、ジョージ・ヒル(後にスティーヴン・アダムスに)、3つの1stラウンドピックと2つの1stラウンドピックスワップをオファーしてホリデー競を獲得しました。

バックスは、ボグダノヴィッチのディールにディヴィチェンゾを必ず含める約束をキングスにしていたため、ホリデーとのトレードにディヴィチェンゾを含めることを拒否していたようです。これも、これだけ多くの未来の指名権を犠牲にしなくてはいけない理由だったと考えられます。ヤニスがホリデーを求めなければ、1年レンタルになるかもしれない彼の獲得のためにこれだけの未来のアセットを手放す理由はなかったでしょう。

また、そのリストの中にはブラッドリー・ビールもいたようですが、ウィザースはトレードしないと明言しています。ペイサーズとはオラディポのトレードを何回も交渉していたようで、ディヴィチェンゾ、ジョージ・ヒル、2020年のドラフトのNo.24のパッケージの話も出たそうです。

 

ボグダノヴッチ

ボグダノヴィッチがヤニスとバックス行きの話をしていたのは間違いないでしょう。しかし、ボグダノヴィッチはタンパリング疑惑が出てきたらすぐにRFAで市場に出て行きました。

ボグダノヴィッチの方向転換は、バックスがおこなったジュルー・ホリデーのトレードと関係してきます。

ボグダノヴィッチの獲得はサイン&トレードになりますが、それはバックスがハードキャップになる事を意味します。ハードキャップになると、選手のサラリーは「いかなる場合にも」その上限を超える事ができません。今シーズンのハードキャップは約138.9億円になります。

ホリデーをトレードしたバックスは、ハードキャップから逆算すると約14.6億円になります。一見するとホリデーのサラリーは約25.8億円なので、ボグダノヴィッチは約18億円までいけるのではないか?と思えますが、ホリデーの契約には「Unlikely Bonus」と呼ばれる実現がむずかしい成果を残した場合に支払われるボーナスが入っていて、ハードキャップになったチームはその「Unlikely Bonus」もサラリーに含めなければいけません。そうなるとホリデーのサラリーは約29.1億円にあがります。

ESPNのボビー・マークスによると、誰がどこで計算を間違ったのかはわかりませんが(ホリデーのボーナスの差額は約3.3億円。約3.3億円+約14.6億円=およそ18億円)、約18億円を得られると思っていたボグダノヴィッチは、約14.6億円しかもらえない事を知ったため、このディールから引き下がったと思われているそうです。

また、お金の話になりますが、今年のFAやトレードは、球団の資金がコロナでない中であまり動きはないのではないかという意見もありましたが、驚くほど活発で、待てば待つほどキャップスペースの金がなくなっていきます。ボビー・マークスによると、エージェントはオファーについて推敲する時間もなく、1日考えてからコールバックしても誰も電話を取ってくれない時もあるそうです。そして、やっと繋がった時には、そのチームはすでに他の選手と先へ進んでしまっているとの事。良い選手ほど皆が争って刈り取って行くイメージですね。

そんな状況の中で、NBAがバックスとキングスのタンパリング調査をはじめれば、その間も市場の金はどんどんなくなっていきます。そうなると、ボグダノヴィッチ的には、ひょっとしたら取り消されるかもしれないトレードにすべてをかける意味もなくなってきます。取り消された時には約18億円どころかやく14億円もなくなっていて、結局何も手にいれられなくなるからです。

ボグダノヴィッチは11/23に、ホークスからの4年で約72億円(平均約18億円)のオファーシートにサインし、キングスがマッチしなかったため、ホークスの移籍が決定しました。

キングス

そもそもキングスは、ボグダノヴィッチを諦めていたようです。理由は、28歳のボグダノヴィッチは、フォックス、バグリー、ルーキーのタイリース・ハリバートンの成長曲線には合わないためと言われています。

また、ボグダノヴィッチとポジションがかぶるヒールドと昨年に4年で約86億円の大型契約をしたばかりです。このヒールドも問題で、前コーチのイェガーと試合中に揉めたり、スタートできないとの不満があり、コーチのウォルトンやフロントからの電話に出なかったりと色々やらかしてます。そのためか、ヒールドのトレードの引き受け手もいなかったそうです。キングスとしては、評価の高いボグダノヴィッチを選んで、ヒールドをトレードすることができなかったと思われます。(ちなみにヒールドは27歳で今シーズン約24.9億円)

キャップ的にはホークスのオファーシートにマッチできたと思うのですが、来年にはフォックスのマックスが始まり、来年か再来年にはバグリーの契約延長が待っています。将来に対して余力を残したというところでしょうか。

*$1 = ¥100換算

参考サイト:Inside the Botched Sign-and-Trade Clouding Giannis’s Future
サムネイル画像:Photo by Cary Edmondson / USA Today