トレード考察:マイアミ・ヒート

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ヒートはカイル・ラウリーのトレードをシクサーズとレイカーズと争っていましたが、結局はヴィクター・オラディポに落ち着きました。

カイル・ラウリーのトレードでは、ラプターズはタイラー・ヒィーロを要求していたようです。ダンカン・ロビンソンはオフシーズンにRFAになってオファーシートにマッチできないため(すでにRFAのゲーリー・トレントをトレードしている)と、若くて安くて将来性があるヒィーロの方が良かったようです。しかし、ヒートはオフシーズンに約23億円のキャップルームがあり、夏にFAのラウリーをそのまま契約をすればいいのでヒィーロを諦めるようなことはしませんでした。

ヒートのトレードを詳細を順番に見ていきましょう。

ヒート獲得:
・ネマニャ・ビェリッツァ(約7.1億円)

キングス獲得:
・モー・ハークレス(約3.6億円)
・クリス・シルヴァ(約1.5億円)

まずはベェリッツァをトレードで獲得しました。ほぼ使っていないハークレスとシルヴァでストレッチ4のビェリッツァを獲得しました。ビェリッツァは思い切りオリニクと被るので、オリニクはラウリーのトレードに使われるな、と思っていましたが、プランBのロケッツにトレードされました。

ベェリッツァはスリーがあり、パスもあり、オリニクと同じくらいフィットできるでしょう。ただ、気になるのは今シーズンはスリーが29.3%と低いことです(昨シーズンは41%)。プレー時間もアテンプツも減っているので、もっとボールに触れば調子を戻すかもしれませんし、ヒートカルチャーやスペイン時代の元チームメイトだったドラギッチの存在により復活できるかもしれません。

(Photo by Kelley L Cox/USA TODAY Sports)

 

その後、ラプターズとカイル・ラウリーの交渉がまとまらなかったヒートはロケッツとトレードをします。このトレードは現地時間のデットラインを過ぎた後に出てきたので、タイミングと内容の両方で驚かれていました。

ヒート獲得:
・ヴィクター・オラディポ(約21億円)

ロケッツ獲得:
・ケリー・オリニク(約13.1億円)
・エイヴリー・ブラッドリー(約5.6億円)
・2022年の指名権のスワップ

ヒートは、オリニクとブラッドリーの切れる契約をヴィクター・オラディポに変えたことになります。ヒートにすれば、すでにオリニクの交代要員のビェリッツァは確保しており、ブラッドリーもほぼ使っていません。スワップも2022年の自身の指名権かネッツからの指名権のどちらかのスワップになるので、ネッツの指名権とのスワップになります。そのため、ロッタリーにはなる可能性は低く、あまり順位には影響はしないでしょう。

チームへのフィットですが、彼のスキルがヒートのモーション・オフェンスに合うかわかりません。彼はどちらかと言うとダウンヒルで相手にプレッシャーをかけていくスタイルなので、それがどう活かされていくか注目です。

来年もヒートと契約したいと言われているオラディポはチームのためにプレーする姿勢を見せると思います。

ヒートからすれば、この数ヶ月でFAになるオラディポのオーディションをすることができます。もし彼の姿勢やエゴがヒートカルチャーに合わなければ契約しなければ良いですし、なによりもオラディポのケガの状態が良くわかります。今まで調子が悪いのはメンタルなのか、ケガだったのか判断できるでしょう。

若手や未来のサラリーキャップを犠牲にせずに、使っていなかったブラッドリーやハークレスをオラディポに変えました。ヒートのデットラインのトレードは大成功です。これでバイアウトも成功させれば言う事なしですね。

パット・ライリーもヒィーロとロビンソンはトレードするつもりはなかったようです。

ライリー:「その2人を出す事はできない。なぜなら、彼らは真にすばらしい選手になれるかもしれないからだ。彼らは今良い選手だ。あと1~2年で最大限に貢献できるようになると思っている。だから彼らを動かした後に私たちが痛い目を見るのはごめんだ」

ヒートのサラリーキャップはこれで約131.8億円になり、ロスターも2人空いててタックスまで約7470万円です。タックスを超えずひとりの選手獲ることができます。対エンビード対策でベテランのビックが欲しいところです。

今後のヒートのベストシナリオは、オラディポがカルチャーにもフィットして、ケガも問題なくオールスターレベルに戻ることです。そうすれば、ヒートは約23億円のキャップの一部を使ってFAのラウリー(または他のFA)と契約し、その後でバードライツを使ってオラディポと再契約できます。 すいません、オラディポの約31.5億円のキャップホールドを計算に入れていませんでした。

オラディポが良ければ、彼と再契約。それでサラリーキャップがいっぱいになってしまうので、ラウリーとは契約できません。オラディポが悪ければ、ラウリーや他のFAと契約できます。または、ラウリーとMLEで2年契約することもできます。

これで有望な若手のヒィーロやロビンソンやナンを犠牲にすることなく、ラウリー又はオラディポ、ジミー、バムを揃えることができます。ただ、前述したようにロビンソンはRFA(ナンも)なので、もし彼をキープするなら15人で約150億円はいくのではないでしょうか。そして、来年はヒィーロの契約延長の話も出てくるでしょう。

しかし、主要選手のジミー・バトラーもプライムの後半で契約が2022-23までになっています。ヒートとしてはそれまではタックスがいくらになろうと次の2シーズンで優勝を目指すべきです。そうなると、キャップルームは今年をのぞけばしばらく空きません。オフシーズンでどうお金を使うかが勝負になります。

 

*ロケッツについて:

ロケッツのトレードについて、少しだけロケッツ側からの説明させてください。なにせあのジェームズ・ハーデンをトレードしてゲットしたオラディポをトレードしたので、否が応にもメディアからの注目が集まります。

このオラディポのトレードをロケッツ側から見るとひどいトレードです。あのジェームズ・ハーデンが次に変わったのですから。
・ケリー・オリニク(オフシーズンにFA)
・エイブリー・ブラッドリー(チームオプション)
・ダンテ・エグザム(オフシーズンにFA)
・クルークス(タッカーとバックスへトレード)→DJ・オーガスティン(チームオプション)とDJ・ウィルソン(RFA)

来シーズン以降はこれらの選手が全員いなくなる可能性があり、指名権を考えなければハーデンをタダで歩かせたことと同じになります。

そしてネッツの指名権もドラフト後半になるのは確実なため、かなりのスカウティングが必要になります。

また、このオラディポのトレード相手のヒートは何の犠牲もなくオラディポをゲットしました。ESPNのブライアン・ウィンドーストは、このトレードは1ドルを10セントではなく1セントで売ったようなものだと評していました(1万円を1000円ではなく100円で売ったのと同義)。

なぜオラディポを安く売らなければならなかったのか? それは、それだけリーグ中に引き受け手がいなかったからです。タイミング的にも最後の最後なので、ヒートのオファーがベストだったに違いありません。

他チームからすれば、オラディポのケガの状態も良くわからずに約21億円のサラリーをマッチして、しかも数ヶ月後にFAで出ていかれたら…リスクが大きすぎます。ロケッツはWojを使って市場を盛り上げようとしていましたが、実は最後まで他の球団にオラディポのトレードを持ちかけていたのはロケッツの方だったそうです。

ロケッツが、ジェームズ・ハーデンのトレードで、レヴァートではなくオラディポを選んだのは、1)良ければプレーオフへ行ける確率が高い。2)もしうまく行かなければ、アセットとトレードできる、の2つの理由があったようです。ふたつとも実現されませんでした。

レポーターたちも、ジャレット・アレンとレヴァートを取れたのにとか、シクサーズからベン・シモンズを取れたのにとかひどい批評しています。

シモンズは本当にトレード直前まで行っていたそうです。シモンズはヒューストンの家を探すように言われ、ハーデンは背番号の「13」がチェンバレンの永久欠番のため、数字をどうするかという話までしていたようです。

しかし、オーナーのフェルティッタは、元GMのモリーのシクサーズがいい想いをするのを嫌がってトレードを止めたそうです。このように、フェルティッタはエゴが強いため、ハーデンのトレードを失敗したように見せないようにする可能性が高く、オリニクとブラッドリーをバイアウトしないかもしれません。

ロケッツは今年のドラフトの指名権をキープするためにタンク中です。指名権にTOP4プロテクションがかかっているため、なんとしてでも4位以内に入らなければなりません。トレード後にマジックという新たなタンク競争相手が生まれ、少しでも勝利に貢献してしまうオリニクやブラッドリーはバイアウトしてあげれば、お金も節約できますし、1石2鳥だと思うのですが、どうなるでしょうか。

バイアウトされた選手がプレーオフに出場するために契約しなければいけない期限は4/9までです。

 


サムネイル画像:Photo by Michael Reaves/Getty Images