MVPレース!

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シーズンも終わりに近づき、いよいよMVPレースも白熱してきました。

MVP最有力候補もシーズン通して入れ替わっています。レブロンがリードしていたり、エンビードがリードしていたり、そして今はヨキッチです。まだ10試合以上残っているので、どうなるか決めかねている人も多いのではないでしょう。

そんなMVPの投票者たちが見ている要素は次のようなものがあります。

1. 強いチームのベストプレーヤー
優勝候補チームのベストプレーヤー。

2. レギュラーシーズンの数字
6メンのように得点だけではなく、アドバンススタッツも重要です。

3. ストーリー性
どんな背景で活躍をしたのか。

4. 出場試合数
やはり試合に出てチームに勝利をもたらすことも重要です。
ベスト・アビリティー(ベストな能力)は試合に出るアベイラビリティーだと言われています。

1に関しては、この3年のレギュラーシーズンでは成績がトップのチームのベストプレーヤーがMVPをとっています。

この3シーズンのMVP
2017-18;MVP ジェームズ・ハーデン(ロケッツが65勝でトップ)
2018-19:MVP ヤニス(バックスが60勝でトップ)
2019-20:MVP ヤニス(バックスが56勝でトップ)

やはり、MVP選考では「強いチームに最も価値を提供している選手」という要素が大きなウェイトを占めています。

 

2は、1の正当性を補完するだけではなく、他のMVP候補の正当性を補完するために使われています。
ここの数字が弱くてMVPを取ることはありません。

3のケースに当てはまる最近のMVPは、2016-17シーズンのラッセル・ウェストブルックのMVPでしょう。ラッセル・ウェストブルックは、チームの成績はウェストで何6位でしたが、ケヴィン・デュラントがいなくなったチームを引っ張ってプレーオフに導き、その上平均トリプルダブルという歴史的快挙を成し遂げたというストーリー性によってMVPに選ばれました。この年のリーグ成績トップはウォリアーズの67勝でした。

4は、どちらかというとプラスではなく、候補を絞る時に使う数字です。

今シーズンのMVPレース序盤戦は、レブロンのナレティブが強く、あの年で激戦のウェストでチームを1位に引っ張れるのはすごいということで、彼を1位にしていた投票者も多かったと思います。復帰後の活躍次第ではやはりレブロンがMVPだと考える人もいるでしょう。

ケガをする前まではジョエル・エンビードがMVPレーストップを走っていました。個人成績もチーム成績も文句なくリーグトップレベルですが、18試合欠場してしまい、出場試合数がネックとなっています。

現在、NBAのベストレコードはユタ・ジャズの44勝17敗で、ジャズのベストプレーヤーはドノヴァン・ミッチェル(ルーディー・ゴベアーだという人もいるでしょう。そのため票も割れそう)です。しかし、ドノヴァンは数字がいまいちです。NBAのMVPラダーでもトップ10に入っていません(ゴベアーが10位に入っていますが…)。ここはやはりNBAトップ10プレーヤーに入っていないと厳しいでしょう。逆に、もしミッチェルが、レブロン、KD、カリー、ハーデン、ヤニス、AD、カワイ、ヨキッチ、エンビード、リラードと同レベルで語れるならMVP候補だったと思います。

中にはドノヴァンはMVPではなく、MIP候補にあげている人もいます。

もしかしたら、バブルのようにサンズが怒涛の連勝をあげてリーグ1位になる可能性もあります。サンズは主要選手のコロナもケガもありませんし、そうなったらブッカーかクリス・ポールが候補に躍り出るかもしれません。しかし、やはりMVPに手をかけるにはちょっと時間がないでしょうし、ミッチェルと同じようなことが言われそうです。

今のMVP最有力候補はニコラ・ヨキッチです。なにしろスタッツが素晴らしく、エンビードと匹敵しています。成績もこのパンデミックでチームがコロナで影響を受けたことを考えれば、ウェスト4位なら問題にならないのではないでしょうか。しかもチームNo.2のジャマル・マリーをACL損傷で失っています。

このように、今シーズンはケガやコロナの影響でレースが荒れています。この数年のように、リーグ順位トップチームからのMVP選出はないでしょう。そうなると、投票者はヨキッチ、エンビード、レブロン、カリーらの中からをそれぞれの「MVPの定義」に照らし合わせて投票することになるので、票も相当割れるのではないでしょうか。

ですが、ESPNのティム・ボンテンプスが101人の投票者にアンケートを取った結果の通り、ケガをせずにこのまま残りシーズンこのペースで数字を出していければ、圧倒的な得票を集めたヨキッチが逃げ切ると思われます。

 

MVPレースをもっとおもしろく感じてもらうために、アドバンススタッツを調べてみました(4/23時点)。

みなさんのMVP選考時にこれを見ながら検討してもらえればうれしいです。ヨキッチの数字が素晴らしいですね。

取り上げている10人の選手はNBAのMVPラダーを参考にしています。

 試合数
出場%(72試合)
PERWS/48RPMBPMEPMRAPTOR
ヨキッチ5881%
31.30.3025.0211.78.110.1
エンビード4056%31.50.2836.698.45.98.7
ルカ5272%26.00.1713.317.55.95.4
ヤニス4867%28.80.2386.968.55.76.2
デイム5374%24.90.1894.015.14.43.3
カワイ4664%26.90.2453.415.15.68.1
ハーデン4258%24.60.2075.196.54.64.6
レブロン4157%24.60.1939.497.85.86
カリー5171%26.30.2028.08.26.07.3
ゴベアー5881%23.80.2537.118.25.87.7

 

また、ESPNのザック・ロウ(MVP投票権利保持者)がMVPについて語っていた長いモノローグが面白かったので紹介します。現地のプロ(投票者)がどのように考えているのか参考にしてもらえれば、またNBAが更に楽しくなるのではないでしょうか。(*ポッドキャストは4/21のものです)

ザック・ロウ:
ロウポスト・ポッドキャストへようこそ!月曜夜のNBAはどうだったのでしょうか?この日の試合は、ステフェン・カリーがまたもや大暴れして、ジョージ・ヒルをフィラデルフィアのレッドライン付近に置き去りにしてしまいました。

また、サンズとバックスの白熱した延長戦でファントム・ファウルがありました。

ニコラ・ヨキッチは勝負を決めたスリーとダブルオーバータイムの47、15、8。

ジャ・モラントは、自分でバックボードにパスを投げてその試合に勝つところでした。ジャ・モラントは、まちがいなく大胆なプレーヤーですが、ハイライトはフィリーでした。

MVPの議論は、ヨキッチ、エンビード、ヨキッチ、エンビードとなっていますが、そのことについて話をします。

昨夜のフィリーでの試合に入る前に、エンビードが膝を痛める前は、私は僅差でエンビードの投票に傾いていました。怪我でMVPレースが変わってしまうのはまったくひどいことだと思います。私は誰を選ぶか決めかねています。

また、これはほぼ毎シーズン起こっていることで、今に始まったことではありません。ヨキッチはエンビードよりも800分以上プレーしています。800です!これは重要なことだと思います。繰り返しになりますが、私は今誰に投票するかは言いません。今までのどのシーズンよりも、最後まで待つことを教えてくれました。そして、今まさに話そうとしている新しい候補者が現れたのです。

しかし、ヨキッチとエンビートの間のプレー時間のギャップが、メディアの一部で再び否定されていますが、私はこれほど大きなギャップを見たことがありません。

今シーズンがこれまでにないものであることは理解しています。そして、NBAがうまく行かせようとしているパンデミックの現実を考えると、ゲーム数やプレー時間を通常よりもちょっとだけ少なく考慮することは正しいことだと思います。実際にそうするつもりです。だからこそ、今は誰にも投票しないのです。エンビードの欠場の何試合かはH&Sプロトコルに関係していました。

繰り返しになりますが、怪我をする前、私はエンビードをMVPに推していました。しかし、今シーズンは少し違っていて、いや、少しどころかかなり違います。また、従来の基準に手を加えることは、800分を無視するということです。どうでもいい!と無視するんです。

MVPを定義する1つの方法は、単に「誰がチームに最も価値を提供しているのか」です。私がそうしているとは言いませんが、皆がしている方法の一つです。

もし、A選手がB選手とほぼ同じ実力を持ち、A選手の出場時間が2倍であれば、単純な計算でA選手がシーズンを通してより多くの価値を提供したことになります。それは、彼が優れているということでしょうか?そうではないかもしれません。それは、モンスターズとの試合の第7戦で私が選ぶ選手だということなのでしょうか?そうかもしれませんし、そうではないかもしれません。ところで、この論理では、毎年レブロンにMVPを投票した方がいいかもしれませんね。彼はモンスターズ戦の第7戦で皆が選ぶ選手なのですから。

しかし、私にとっては、この奇妙で苦難のシーズンであっても、1分間の大きな差を無視するのは正しいことではありません。普段のシーズンほどではないにしても、それは大きな要因には違いないのです。

オフェンスがリーグ全体でかつてないほど爆発的している事実があったとしてもです。また一部では、それはヨキッチに対する攻撃のように使われていますが、オフェンスが前例のないレベルでリーグ全体を爆発させているのは本当です。

ヨキッチよりもエンビードの方がはるかに優れたディフェンダーなのは事実ですが、その点についてはヨキッチは少し過小評価されているように思います。私はフルスロットルではエンビードがNBAで最もインパクトを残せるディフェンダーだと思っています。しかし、リーグ全体でのオフェンスでの爆発的が、シューティング全体で57%、スリーが42%、2Pが60%というヨキッチのオフェンスが、彼のアシスト数や得点を少しばかり膨らませて見せているのではないかと思うのですが、それはジョエル・エンビードを含め、キャリアハイのスタッツを記録しているどの選手にも当てはまることです。

いずれにしても、MVPレースは終わっていません。怪我をする前はエンビードがリードしていましたが、最後まで決めかねています。ただ、今回はケースAやケースB、ケースCを正当化するために、いつもより少しだけ論理が曲げられているような気がします。

例えば、こんなことを想像してみてください。もし、あなたが5本の弓の中にカリー、エンビード、ヨキッチの矢を持っていると想像してみてください。あなたは矢をたった5本しか持てないのです。10本ではなく、12本でもない。5本しか持てないんです。あなたがカリー、ヨキッチ、エンビードを持っているとしたら、次のプレーヤーの中から2人しかあなたは投票できないということです。レブロン・ジェームズ、ジェームズ・ハーデン、ルカ・ドンチッチ、ヤニス・アンテトクンボ、カワイ・レナード、デミアン・リラード、これらのうち4人はあなたの理論上の投票から外されてしまいます。4人のうち数人はどこかの時点でMVPレースをリードしていました。

さて、このようなヨキッチとエンビードのMVP議論の中で、昨夜のカリーはエンビードのホームで、彼は少なくともレースに参加すべきだと力強く主張しました。

彼は今、得点でリーグをリードしています。彼は昨夜、ブラッドリーを追い越しました 。平均31点、 4.6アシスト、 5.5リバウンド、 49%のシューティングで、 スリーが43、FTが92%の49-43-92です。 彼は8試合を欠場していますが、 最終的にはエンビード、ハーデンやレブロンよりも欠場が少ないでしょう。

ゴールデンステートは現在29-29の.500で、そのようなチームの選手がMVPを獲得するのは前例がありません。しかし、カリーは前例がない選手です。そして彼は、スポーツ史上最高のスコアリング・ストリークと、史上最高のシューティング・ストリークを楽しんでいます。ベストプレーヤーとは少し違うかもしれませんが、勝率500前後のチームからMVPが誕生することは可能だと思います。そのためには多くの変数が正しく作用しなければなりません。誤解しないでほしいのですが、それは可能です。

ラッセル・ウェストブルックは、2017年に47-35の第6シードでMVPを獲得しました。私は彼に投票しませんでした。しかし、その前例は、少なくとも「ああ、すべてが正しい方向に行けば、OKなチームからMVPが生まれることもある」ということを示しています。47-35は.500よりとてもいいですが。また、クレイ・トンプソンのいないゴールデンステートは、今シーズン、カリーがいないと確実に水の中の死体だという事実もあります。

ウォリアーズは、カリーがフロアにいると、100ポゼッションあたり+3.5です。そして、100ポゼッションで約114です。これは、NBAのオフェンスの中でも10位か、9位か、11位に相当するようなもので、良い、素晴らしいとは言えませんが、とても良い数字になります。彼がベンチにいる時は、100ポゼッションあたり-7点で、オフェンスの得点率はリーグのワーストチームのオフェンスよりもずっとずっとずっと下になります。

でも、気をつけてください。あなたがカリーのために、彼のチームの限界に基づいてどんな議論をしたとしても、限界あるロスターを引っ張ることを高く評価をするべきではありません。なぜなら、それは逆に優秀すぎるチームメイトがとプレーする選手が罰せられることになるからです。

チームの構成が良すぎる、チームのコーチングが良すぎる、チームによっては、スーパースターたちがMVPになることが難しいほどチームを埋め尽くしてしまうこともあります。あのデュラントのウォリアーズがその例で、彼らの中からMVPに投票することは難しいでしょう。彼らはあまりにも才能がありすぎたのです。

しかし、昨シーズンのように、今シーズンもそのようなチームや候補者はいません。バックスが十分な実力を持ち、コーチングも行き届いていたのは、ヤニスのせいではありません。それよりも、少なくとも私にとって重要なのは、少なくともプレーオフまでは、ヤニスがフロアにいる時に彼は良いチームを超新星のように変えてしまったことです。

カリーには、チームメイトの限界を語るようなあなたの慈善事業は必要ありません。とにかく、彼の輝きは試合を止めてしまうような才能で、それ自体がMVPを主張するのです。


Podcast:The Lowe Post
サムネイル画像:Bill Streicher-USA TODAY Sports