デミアン・リラードの18ヶ月

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NBAプレーオフの1stラウンドのナゲッツ対ブレイザースの第5戦で、クラッチスリーに次ぐクラッチスリーを決めまくり、ナーキッチがファウルアウトしたブレイザースを2OTの勝利まであと一歩のところまで導いたデミアン・リラード。

リラードとマッチアップしていたリヴァーズが、リラードがやっとスリーを外した時思わず神に祈ったほどです。
ケヴィン・デュラントもスピリチャルな経験をしたと言っています。

リラードの勝負強さはデイム・タイムと呼ばれるほど圧倒的なもので、今シーズン3月までは5点差の試合で残り5分のクラッチタイムでの成績は:

  • 得点は82点で1位
  • FG%が63.2%で1位(最低15アテンプト)
  • 3P%が58.8%で1位(最低15アテンプト)
  • FTが100%
  • 成績が12-3で1位

 

しかし、一時MVP候補にまでなった彼のシーズンは精神的に厳しいものだったそうです。

リラードは2020年から今年の2月まで不幸が続き、6人の家族や親しい友人を亡くしていました。以下が彼が亡くした家族や友人です。

  • 2020年の5月に、いとこでパーソナル・シェフが亡くなった(おそらく血栓)。
  • 叔母を癌で亡くした
  • 家族の友人がコロナで亡くなった
  • 2021年はじめ、いとこがウェストオークランドで殺された
  • いとこと家族のような友人の二人が銃殺された

 

その間もリラードは試合に出場し続けました。バブルが2020年の7/22にはじまったので、その時はすでに悲しみを背負いながらプレーしていたようです。それがあまり知られていないのは、リラードがそれらをあまり口にしないためだそうです。

リラード:「みんなは何があったのか知らない。私は共感を求めていないし、言い訳もしないからだ。ただいつも通りやって来てプレーする… 私は毎日練習に行って、チームのために毎試合出場して、言い訳はしない。正しい生き方をする」

バブルの前の2020年の5月、リラードはいとこのChef B(ブランドン・ジョンソン)がポートランド近辺の家のキッチンで死んでいるのを見つけたそうです。Chef Bは、リラードのいとこでもあり、パーソナルシェフでもありました。

(Chef B Photo by KPTV image)

リラード:「私は彼の死体の隣に立っていた。みんなすごく身近な存在だった人の死体を見下ろすのがどんなトラウマなのかわかっていない。苦しかった。わかるか?私はまだ苦しんでいる。これは戦いだ」

そして、リラードは、Chef Bと親しかったチームメイトのCJ・マコネルを現場に呼びました。そして、マコネルが着いた時、ふたりでキッチンで泣いたそうです。

リラード:「たくさん泣いた。傷ついた… Bとは毎日いっしょだった。夏にトレーニングでトラベルする時も彼は一緒に来て、私が正しいものを食べるようにしてくれた。毎日彼と話していた…今日この時もまだ痛む」

バブルでのリラードの活躍:マブス戦での61点をChef Bに捧げました。このショットは「私のためにが落としてくれた」と言っていました。

また、最近では2月にいとこと家族の一員のようだった友人が銃殺されています。残ったのはサクラメントへのキャンプ、子供の頃のお泊まり、同じリーグの高校でプレー、クリスマスなどの思い出だけになってしまったそうです。

リラード:「彼らは永遠にいなくなってしまった。私は苦しみ、寝れなかった。バスケットボールだけが重要ではなかった。傷ついていた」

しかし、リラードは休むことなく翌日のレイカーズ戦に出場し、両チーム最多得点の35点を取りました。リラードはこのころのバスケを振り返って、感情を抑えてチームメイトたちのために試合をするという仕事の責任感でプレーしていたそうです。「これが仕事で、仕事が私の家族を養っている。それを理解することが前にすすめてくれた」

レイカーズ戦でのリラード:

なぜ彼はそこまでして試合に出場し、結果を出すことができたのでしょうか。

リラード:「今ゲームがもっとも大切なことだと自分を思わせるのは精神的なバトルだ。私は感情を抑えて、ゲームのこと、チームメイトたちのためにプレーすること、私の仕事をすることを考える。なぜなら、私の仕事は多くの家族を養っているからだ」

そして、試合が終われば自分のことは何でもできると思い試合に臨んでいたそうです。「プレーしていると、これがもっとも重要なことだと、他のことはすべてその後でできる…これが今もっとも大切なことだ。これが今やらなければいけないことだ」

リラードはまさにチームメイトと家族への責任感で動いたのでした。

そんなリラードですが、ひとりで悲しみを乗り越えてきた訳ではありませんでした。彼にとって家族の存在が大きかったようです。

リラード:「大丈夫だと振る舞うよりも、家族に愛を注いでもらうことを許すんだ。それがいちばん大きかったと思う… 母やフィアンセや息子との時間を多くつくっている…息子は私の後をついてきて、膝の上に座って、私の下に潜り込んで寝ようとする。それでもっと今に生きられる。私が家族みんなのために全てをひとりでやろうとするよりも、それにちょっと頼っている。彼らに自分自身でいることや、彼らの私への愛を受け止めることが大切だ。そこに落ち着いた」

リラード:「今は良くなってきているけど、とてもハードだった。とても強いメンタル的になったと思う。私はそう簡単には倒れなくなっている…時間がかかったが、今は良くなってきている。家族と多くの時間を過ごせるようになり、受け入れられるようになった」

また、この苦しかった1年半も悪いことだけではありませんでした。1月に双子の娘も生まれて家族も増えました。

リラード:「長男は私に何が起きているのかわかっていないが、私のことを父だとわかってくれている… 双子を抱えて食べさせて、彼女たちは私のものだと感じている時や、それにいつか彼女たちが長男と同じくらい私のことを強く思ってくれるのかな?なんて考える。そのために家に帰ってこれるのは助かっている」

リラードはチームへの責任感、強い精神力、そして家族の愛によって単にシーズンを乗り切るだけではなく、オールNBA入りも確実とされているほどの活躍を見せてくれました。

リラードは高校の頃、オークランドのバス停で3人の男に囲まれてバックパックを盗まれそうになった時に「No」と言って引き下がらなかったそうですが、バスケだけではなく胆力というか精神力も人間離れしていますね(結局、銃を頭に突きつけられてバックパックは取られてしまったようです)。その精神力がデイムタイムの根源になり、決して諦めないチームの支柱になっているのではないでしょうか。

今日のデミアン・リラードの活躍:

このナゲッツのシリーズも3-2とリードされましたが、リラードがいる限り、まだ最後までどうなるかわかりません。これからのシリーズとプレーオフの活躍を期待したいと思います。

 


参考サイト:Blazers’ Damian Lillard is playing through a wave of family tragedies: ‘People have no idea’ / Damian Lillard and the text messages that changed his, and Blazers’, season