ケンバのトレード、ロッカルーム、そしてこれからのセルティクス

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セルティクスがなぜケンバをトレードしたのか、昨シーズン(2020-21)のチーム状態がどうだったのか等いろいろ出てきたの紹介します。また、新ヘッドコーチのイーメイ・ユゥドーカや来シーズンのサラリーキャップについてもまとめ、徒然とセルティクスについて書いていきます

ケンバのトレード

昨年のオフシーズンにセルティクスはドラフト前にケンバ・ウォーカーをトレードしようと思っていたそうです。しかし、そのシーズンにオールスターだったにも関わらず、ケンバを引き取ってくれるチームはありませんでした。ケンバは膝のケガに悩まされており、他チームは彼の健康状態を疑問視していたものと思われます。そのため、セルティクスはケンバのケガが治るのを待たなくてはいけませんでした。

今シーズンになり、ケンバは左膝の幹細胞治療のためシーズンの開幕戦は間に合わず、復帰は1月になりました。ケンバは43試合に出場し、シーズン後半には調子を取り戻していたようです。しかし、プレーオフのネッツとのシリーズ中に左膝を骨挫傷のケガをしてしまい、シリーズの残り2試合出ることができませんでした。

ケンバの成績は、平均19.3点でPERは17.7で、決して悪いとはいえませんが、ケンバの契約は残り2年約74億円で、31歳でケガしがちな選手としては高すぎる数字です。

セルティクスはそんなケンバをサンダーにトレードして、アル・ホーフォードとモーゼス・ブラウンを獲得しました。トレードの詳細は以下になります。
ケンバ・ウォーカー(約34.3億円)、2021年ドラフト16位指名権、2025年2巡目指名権 ⇄ アル・ホーフォード(約27.5億円)とモーゼス・ブラウン、2023年2巡目指名権

なぜセルティクスはケンバをトレードしたのでしょうか。いくつかの要素があげられます。

  • 上記のように健康ではない
  • サラリーキャップを圧迫している ー ケンバが健康になって優勝候補になれるでしょうか?ネッツとのシリーズを見て、フロントはそうはならないと判断した可能性が高そうです。
  • ブラッド・スティーヴンスとの確執
  • (ファンたちの声)

まず、上記のように健康ではないという理由があげられます。また、ケガの絡みでセルティクスは、昨シーズンのコロナ・パンデミックによるシーズン中断中のケンバの膝のリハビリの取り組み方にハッピーではなかったそうです。ケンバはバブル前にそのケガのために9試合欠場(2試合は休み)しています。どうやらケンバはセルティクスが要求していたリハビリメニューを隔離している間やっておらず、バブルではケガの状態が中断前と同じような状態だったそうです。ビル・シモンズによると、そのため球団のケンバに対する信頼が失われつつあったとのことです。

また、ケンバにとってセルティクスのサラリーキャップ問題のタイミングも悪かったです。セルティクスは優勝候補筆頭でないにも関わらずタックスチームになりそうです。セルティクスにとって、ケンバの大きなサラリーから抜け出せればタックス問題も軽減でき、ひょっとしたら、来シーズンの終わりにはタックスチームではない可能性も出てきます。キャップを超えているので、戦力的にも彼を安いサラリーに変えるのが最もメイクセンスです。たとえば、同じ9億円をセーブするにも、1)ケンバをホーフォードと変えるか、2)トリスタン・トンプソンをキャップスペースがあるニックスのようなチームに引き取ってもらって代わりの選手は引き取らない。等の選択肢があると思いますが、2)の場合、実質TTの代わりにミニマムの選手と引き換えになるので、1)の方が戦力バランス的には劇的には下がりません。

しかし、いいことばかりではなく、いつ健康になるのかわからないケンバを引き取ってもらうため、セルティクスはサンダーに16位指名権を差し出さなければいけませんでした。

セルティクスにとって、重いサラリーを捨てるために1巡目指名権をつけなければいけなかったのはこれで2年連続になります。しかも、グリズリーズはその指名権で、スリーが42%以上のデズモンド・ベインをとっているので、ローテーション選手がいなかったセルティクスにとっては歯がゆいところでしょう。

そして、ケンバとヘッドコーチのスティーヴンスはうまく行っていなかったようです。

セルティクスを去ったゴードン・ヘイワードは、スティーヴンスにもし勝ちたければ選手たちに対して強い態度を示す必要があると伝えていたようです。そのためか、スティーヴンスは特定の選手にはより攻撃的に接していたようで、特に守備のミスなどでケンバには厳しくあたっていたとのことです。2人の間には緊張感があったと言っている人たちもいます。

スティーヴンスは個人的な感情でケンバをトレードした訳ではないでしょうが、その要因もなかったとは言い切れません。

(ケンバとブラッド・スティーヴンス Photo by Jesse D. Garrabrant/NBAE via Getty Images)

そんなケンバはプロフェッショナルでいてスティーヴンスにもリスペクトをしてきましたが、それよりもケンバを怒らせたのはTDガーデンの観客たちだったようです。ケンバは思ったようなパフォーマンスが出来なかった時に、TDガーデンの観客達からブーイングを受けて怒っていたそうです。そのため、彼は親しい人たちに新しいチームへ移ることも言い始めたとのことです。まるでカイリー・アーヴィンの時のような展開ですね(ESPNのジャッキー・マクミランによると、カイリーもファンたちの態度が気になっていたそうです。それもセルティクスを出て行った理由のひとつではないかとのこと)

セルティクスのファンはプレーオフでもカイリーに水の入ったボトルを投げたり、ちょっと選手に対してリスペクトがないですね。スター選手のテイタムやブラウンはそれを見ています。彼らは次は自分の番だと思うでしょうし、そんなファンベースのためやそんなファンベースが多い球団に忠誠は尽くさないでしょう。彼らにずっとセルティクスにいて欲しいなら選手たちに対する態度を変えた方がいいと思います。

また、サンダーに行ったケンバは結果良かったのではないかと思います。サンダーであればプレッシャーなくケガの治療ができるし、サンダーはクリス・ポールに提案していたように、ケンバにも復活のためのシーズンの過ごし方を提案してくれていると思います(プレーする試合や休む試合を決めたり、リハビリプログラム)。そして、ホーフォードのように、また1巡目指名権で合いそうなチームにトレードしてくれるのだろうと思います。

セルティクスのカルチャー問題

セルティクスはカルチャーにも問題があったようです。

スティーヴンスがロッカールームを失っていた話は以前もしましたが、その理由はスティーヴンスがマーカス・スマートを贔屓してきたのが原因のひとつだそうです。スティーヴンスは、以前も調子の悪いヘイワードを使い続け、選手たちから贔屓の不満がありました。バスケの戦術は天才的ですが、スティーヴ・カーやドック・リヴァースのようにEQに関する人の扱いについてはあまり得意ではなかったようです。他にも、スティーヴンスは中心選手には甘く責任をとらせずにいたため、選手たちは不満を言っていたようです。ロッカールームの中にはコーチを変えた方がいいという声もあったようです。

スマートは2020年にアル・ホーフォードといっしょにディフェンスカルチャーをつくりましたが、昨シーズンディフェンスを気にしていたのはスマートだけだったようで、上記のような不公平感からか、チームメイトはスマートの話を聞かなくなっていたとのこと。

また、ブレイク・グリフィンがあるセルティクスの選手にセルティクスに加わった方がいいか相談したところ、その選手はグリフィンに、「チームは機能不全に陥っているので、ボストンに来るな」と伝えたそうなので、他にも出てきていない問題もありそうです。

このように、エインジとスティーヴンスのリーダーシップの下で、セルティクスのコンペティティブ精神と球団のプライドは失われていったようです。たしかに今年のセルティクスはソフトだったと思います。

セルティクスの新ヘッドコーチ

その点、新ヘッドコーチのイーメィ・ユゥドーカはコミュニケーションがうまく、信頼をうまく得ることに長けているだけではなく、スティーブンスが持っていなかった、元NBAプレーヤー/黒人/アシスタントをしていた(ポップ、ブレット・ブラウン、ナッシュ)経験を持っています。また、ユゥドーカには選手達との信頼関係構築やコーチとしてのIQにもEQにも問題なさそうなので、スティーヴンスも安心してチームを任せていけるのではないでしょうか。

ユゥドーカ本人も「テイタム、ブラウン、スマートをプッシュしてコーチしていく」と言っているので、スティーヴンスの時のような贔屓はなさそうです。ユゥドーカはこれまでカワイ、ダンカン、エンビード、シモンズ、デュラント、ハーデン、カイリーらの多くのスター選手をコーチしてきました。特にネッツでは、ハーデン・ウィスパラーとして知られており、あのハーデンを手なずけていたそうなので(言い方酷いですね。ハーデンに話を聞いてもらえていた)、テイタムやブラウンらのフランチャイズプレーヤーへの対応も問題なさそうです。

(チームUSAでブラウンをコーチするユゥドーカ)

また、テイタム、ブラウン、スマートは前回のW杯でユゥドーカと一緒で、彼らもユゥドーカのコーチを望んでいたそうです。特にブラウンは選手数の割には数が少ない黒人のヘッドコーチを望んでいたと言われています。

さらに、ユゥドーカはスパーズのアシスタントのウィル・ハーディーを自分のスタッフに加えました。ハーディーの評判は高く、ポップの後継者だと言われていた人材です。セルティクスのカルチャーやロッカールームはもう心配しなくても良さそうです。来シーズン、楽しみなチームのひとつになりました。

(ハーディーとポップ Photo by Ronald Cortes/Contributor)

新ヘッドコーチに就任したユゥドーカは、さっそくテイタムとブラウンにメッセージを送りました。

ユゥドーカ:「なぜ待つんだ?…今それを掴みとれ」

来シーズンのテイタムとブラウンの活躍が今から楽しみです。特にテイタムはオールNBAには入るのではないでしょうか。

セルティクスのサラリーキャップ

そんなセルティクスが来シーズンはどんなチームになるのか、サラリーキャップを通して簡単に見ていきましょう。

セルティクスのキャップは、フォーニェ、コーネット、オジェレィのキャップホールドなし、ジャバリ・パーカーなしの12人で約126.3億円です。タックスまで約13.9億円。約36億円のケンバが約27億円になったのは大きいですね。しかもホーフォードの2022-23シーズンは約14.5億円のギャランティーだけなので、今後更に楽になります。

結局のところ、ケンバのトレードは、「ケガしている約36億円の選手は、今年の16位の1巡目指名権をつけても、タックスこみの約20億円の節約の方が球団にとっては好ましい」と判断されて行われたということですね。

また、セルティクスはニックスのジュリアス・ランドルにも助けられました。もしオールNBAにランドルではなくテイタムが入っていれば、約6億円のボーナスがキャップに反映されていました。そうなっていれば、セルティクスはトリスタン・トンプソンをサンダーの数あるトレード・エクセプションのひとつに吸収してもらうために、更なるドラフトアセットを差し出さなければいかなかったかもしれません。

ケンバからホーフォードの約9億円の差が出たことにより、セルティクスは、バードライツのあるエヴァン・フォーニェとより楽に再契約できます。それにMLEが使えます。フォーニェがいくらで契約するのか次第ですが、タックスは超えてしまう可能性はありますが、シーズン中のトレードなどで十分に躱せる領域です。もしトレード・デットラインまでに成績が悪ければタックスを躱すためにトンプソンあたりをトレードするでしょう(もしかしたら下記のように問題がおこる前にトレードする可能性もあります)。

チーム的にはケンバがいなくなったので、MLEに入るボールハンドラーを見つけなければいいけません。または、ビックが多い(ホーフォード、ブラウン、ロバート・ウィリアムス、トリスタン・トンプソン、ルーク・コーネット、グランド・ウィリアムス)のでPGとトレードしても良いでしょう。特に、トリスタン・トンプソンの約9.2億円の切れる契約を使えば、約14億円くらいまでのトレードができます。タックスを考えるなら約4億円の選手と変えることもできます。


来シーズンは、オーナーがこのチームにどれだけ金をかけるかだと思いますが、新体制で新コーチでもあるので、最初はお金はあまりかけずに様子見で行くのではないでしょうか。

参考サイト:An inside look at the factors that led to the inevitable break up between Kemba Walker and the Celtics
サムネイル画像:Photo by Getty Images, Wikimedia Commons, Pexels