オリンピックとフリーエージェンシー

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NBAフリーエージェントがオリンピックと重なってしまって、オリンピックに参加しているフリーエージェントやチームと関わっているチームUSAのコーチたちは時差のためアメリカとのやりとりが大変だったようです。その様子が軽くESPNThe Athleticに取り上げられていたので紹介します。

まずはオリンピックに参加していたFAやオリンピック中にトレードされた選手等をまとめました。

(海外の選手には明るくないので、間違っていたり抜けていたら教えてもらえるとうれしいです)

東京オリンピック中にNBAフリーエージェンシーを経験する選手たち

  • ジャヴェル・マギー(US)
  • エヴァン・フォーニェ(フランス)
  • ニコラス・バトゥーム(フランス)
  • パティー・ミルズ(オーストラリア)
  • ダンテ・エグザム(オーストラリア)
  • ジョック・ランデール(オーストラリア)
  • ウィリー・ヘルナンゴメス(スペイン)
  • グレッグ・ポポヴィッチ(US/スパーズプレジデント&ヘッドコーチ)

日本滞在中にトレードを経験した選手たち:

  • リッキー・ルビオ(スペイン)
  • トーマス・サトレンスキ(チェコ)

日本滞在中にドラフトされた選手たち(とそれに関わった人たち):

  • ジョッシュ・ギディー(オーストラリア)
  • ウズマン・ガルーバ(スペイン)
  • グレッグ・ポポヴィッチ(US/スパーズプレジデント&ヘッドコーチ)
  • スティーヴ・カー(US/ウォリアーズヘッドコーチ)

日本滞在中にマックス契約延長が可能な選手:

  • ルカ・ドンチッチ(スロベニア)

オリンピックとフリーエージェンシー

コロナでNBAシーズンが遅れたこともあり、NBAフリーエージェンシーとオリンピックが重なってしまいました。今までこの2つのイベントが重なったことはなかったそうです。しかも、その日はベスト4をかけた準々決勝の負けられない試合が控えています。

フランスのエヴァン・フォーニェは、試合の前日には「準々決勝の日に答えを出さなければいけないのはとても残念だ」と言っていました。「チームが親切にしてくれて、何も急かさすに済めばいい。少なくとも、試合後まで時間があれといい」

しかし、NBAチームは使える金額も埋めるロスターも限られています。KDのようなトップ10に入る選手ならともかく、フォーニェのようなスターターでもフリーエージェンシーのイス獲りゲームに参加しなくてはいけません。自分で早くそのオファーを取らなければ、その分を誰かに取られてしまいます(シュルーダーさん?)。

また、チーム的にも早く決めてしまいたいはずです。早くしなければ、プランAのフリーエージェントの決断を待っている間に、プランBの選手が他のチームと契約してしまい、いちばん狙っていたフリーエージェントも他チームに行ってしい、結局誰も取れなくなるリスクがあります。

そのため、オリンピックのために日本に滞在しているフリーエージェントたちは、なるべく早くから契約を決めに動かなければなりません。

それで大変になるのは、日本にいる選手とアメリカにいるエージェントの時差です。日本と東海岸の時差は13時間あり、フリーエージェンシーがはじまる8/2の18:00ETは、日本では8/3の朝の7:00になります。

フランス代表のバトゥームがフリーエージェンシー当日について:「今朝、私は3:30に起きて、エージェントに電話して”今すぐに契約を終わらせてくれ、そうすれば私はそれを考えずにすむ” 的なことを伝えた」

32歳のバトゥームは、昨シーズン彼に新しいキャリアを与えてくれたクリッパーズにずっと戻りたがっていたそうです。

ちなみにバトゥームは、クリッパーズとプレーヤー・オプションつきのノンバードの2年契約に合意しています。サラリーは3.07+3.23の約6.3億円。

これには皆が驚きました。復活したバトゥームの価値はフルMLE近く行くのではないかと言われていたからです。ウォリアーズやマブスも彼を狙っていたそうなので、最低でもミニMLEの約5.9億円は得られていたのではないでしょうか。それがクリッパーズにはミニMLEが残っているにも関わらず、それを使わずにノンバードの約3億円を選びました。これから察するに、バトゥームはお金よりもチームのフィットとロールを重要視した思われます。(彼は来シーズンもホーネッツから約9億円もらえる予定ですし、お金の心配はしていなそうです)

これでバトゥームは来年FAになった時に、クリッパーズからアーリーバードで約10億円/オファーを得ることができます。今回でクリッパーズは貴重なミニMLEを使わずに済んでいるので、その見返りとして次回の契約年数等良い契約内容にするように交渉済みなのかもしれません。

バトゥーム:「もちろんこの48時間、フリーエージェンシーは私の頭の中にあった。朝に1~2時間エージェントと話をして、”契約を終わらせてくれ…大丈夫か?”って感じだった。そして今、私はオリンピックに戻っている。クレイジーな日だったのは確かだ」

同じフランス代表のフォーニェはどんなフリーエージェンシーだったかというと…

エヴァン・フォーニェ:「まず起きてから最初にしたのはスマホのチェックだった。私はどこへ行くんだ?」

試合の朝は、いつもは起きてから決まってマッチアップする対戦相手について考えたりしているそうですが、フリーエージェンシー当日の朝は、メダルラウンドのイタリア戦のことではなくフリーエージェンシーのことを考えていたそうです。

フォーニェにとって、バードライツを持つセルティクスとの再契約が夏の最優先でしたが、オリンピックへ行く前にはセルティクスとは契約できないかもしれない可能性もわかっていたそうです。彼からすれば、このFAはいちばん多くお金を払ってくれるところに行くつもりだったらしく、ストレスはあまり感じていなかったようです。

フォーニェとニックスの契約合意のWoj砲は、日本時間の朝9:04に発射されていたので、割とすぐに契約がまとまった感じですね。そのため、フリーエージェンシーはイタリア戦には影響しなかったようです。ちなみに契約はチームオプションつきの4年で最高約78億円の契約だそうです。

同じくフリーエージェントであるオーストラリアのパティー・ミルズは、自分のNBAでの未来よりも、母国のためにオリンピックでメダルを取ることに集中していたようです。

ミルズ:「この数週間に人生すべての努力がかかっている。だから、それが私と私のチームメイトたちの障害にならないようにする」

そんなミルズは、FA開始から20時間近くたった8/3の深夜にネッツ行きを決めています。ひょっとしたら、試合が終わるまで契約は待っていたのかもしれません。契約は2年で約12億円で2年目がプレーヤー・オプション。

彼はネッツとレイカーズのどちらかのチームに行くことを悩んでいたそうですが、結局はネッツを選んだようです。2014年にパティー・ミルズがスパーズで優勝した時に、今のネッツのGMのショーン・マークスがアシスタントコーチをしてました。その関係性も影響していたのではないでしょうか。

チームUSAのジャヴェール・マギーはアメリカ人としては珍しくフリーエージェントなのにも関わらずオリンピックに参加しています。

アメリカバスケ史上はじめての母と息子の金メダルを目指しているのかもしれません。

また、Yahooのクリス・ヘインズが、なぜマギーがサンズを選んだのかレポートしました。プレーオフでサンズがナゲッツに対勝した試合のガベージタイムで、マギーが全力でプレーしていたのを見たクリス・ポールが感銘を受けて、マギーのような選手をチームに欲しいと言っていたそうです。

このように、すでにクリス・ポールがマギーを強く望んでいたため、マギーのサンズ行きはオリンピック前からの既定路線だったのかもしれません。タンパリングですが…

オリンピックとトレード

シーズンが終わったため、はやくもトレードがはじまっています。オリンピックで東京にいる間にトレードされた選手はスペインのリッキー・ルビオとチェコのトーマス・サトレンスキーがいます。

リッキー・ルビオは、ウルブスからキャブスにトレードされたことに驚いていたようです。まさかオリンピックから帰ってきてクリーブランドへ行くために荷物をまとめることになるとは思っていなかったようです。

サトレンスキーは、ブルズから部分的に保証されていた契約をフルでギャランティーされた後に、ロンゾのS&Tのパッケージに入れられてペリカンズへトレードされました。

オリンピックとドラフト

NBAドラフトもオリンピックとかぶっていました。

オーストラリア代表では18歳のジョッシュ・ギディーがサンダーから6位指名を受けました。代表のチームメイトはそのお祝いをするために早起きしていたそうです。

当日はチームUSAは休日だったそうですが、スパーズのプレジデントでもあるポポヴィッチも、ウォリアーズのヘッドコーチのスティーヴ・カーもチームと連絡を取り合っていたそうです。特にスパーズとウォリアーズもロッタリー指名権です。ホテルの部屋でZoomなどをしていたのでしょうか(どこかのレポートでホテルとあったので、オリンピック村ではなくホテルに滞在していると思っています)。

コーチだけではありません。ドレイモンドは誰を指名するべかGMにテキストを送っていたそうです。

オリンピックとケガ

通常フリーエージェントはケガをしてしまうかもしれないので、オフシーズンの試合は避けるのですが、オリンピックにはたくさんの選手が出場していました。

ヨーロッパの選手たちの母国の代表としてプレーにすることへの想いは熱く、例年アメリカの選手たちがオフシーズンに体を休めている中、FIBAの国際大会でプレーしています。この代表への想いの違いはどこから来ているのでしょうか。愛国心であればアメリカの選手たちも負けていないでしょうし、一度ヨーロッパの選手にどうしてなのか聞いてみたいです。

しかし、ドイツのデニス・シュルーダーは4年で約84億円の契約延長を断った後のフリーエージェンシーなので、万全を期してオリンピックには参加しませんでした。

ルカもNBA優勝よりもオリンピックの金メダルの方が欲しいかもしれないと言っていました。

フォーニェにとってもオリンピックや代表での試合は大切なようです。

フォーニェ:「オリンピックをスキップすることは考えていなかった。フランスの試合はミスらない。自分のため、国のため、家族のためにプレーする。父はアスリートだったけど、オリンピックには行けなかった。彼はひどいケガをした。彼のためにメダルを取りたいんだ。それは私にとって大きな意味を持っている。NBAとは違うコンペティションがあると言ってもいい。それを恋しく思う時もある。なぜならとても激しいからだ」

そして最後に契約延長が控えているルカ。

同じドラフトクラスのトレ・ヤングとSGAはすでにルーキーマックス契約延長合意に達しました。ルカはすでにスーパースターでこれから毎年MVP候補になる選手なので、たとえオリンピックでACLをケガしてもマックス契約延長はできるでしょう。

しかし残念ながら、ルカの記念すべき初の契約延長は日本で行われることはないようです。マーヴェリックスはルカの契約延長はオリンピックが終わってからオファーすると言っています。今はルカにオリンピックに集中して欲しいというジェスチャーでしょう。

トレ・ヤングの契約延長が5年で約207億円(オールNBAに選ばれなければ約172億円)だと言われているので、ルカの契約もなんだかんだで最低でもトレと同じ金額に揃えてくるのではないでしょうか。


参考サイト:‘Where am I going?’: Evan Fournier, Nicolas Batum and the wild experience of being NBA free agents at Olympics / Olympic basketball, NBA business intersect for Evan Fournier, Nicolas Batum
サムネイル画像:Photo by Ned Dishman/NBAE via Getty Images