なぜロサスはトレーニングキャンプ直前で解雇されたのか?

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ミネソタ・ティンバーウルブスのバスケットボール・オペレーションのプレジデントのガーソン・ロサスがトレーニングキャンプ一週間前に解雇されました。オーナーのグレン・テイラーはロサスに感謝の一言も言わずに解雇を発表。

グレン・テイラー:「今日、ミネソタ・ティンバーウルブスはバスケットボール・オペレーションのプレジデントのガーソン・ロサスと袂を分かった。球団として、私たちはファンと街が誇りに思えるような勝てるチームづくりにコミットをし続ける」

そのテイラーは、ロサスに直々に解雇を伝えるために、水曜になんとわざわざマンケイトから90分もかけて運転して来たそうです。

また、解雇発表時にウルブスのPRが自分のチームの名前を「Timberwovles」とスペルミスしてしまいました。突然のできごとにPRもかなり慌てていたのが伺われます。

(スペルミスのスクショ)

そこで、なぜキャンプ直前でロサスが解雇されたのか理由を調べてみました。その理由は主にふたつに絞られます。それは、リーダーシップの欠如社内不倫です。そのふたつを順番に見ていきましょう。

ロサスのリーダーシップ

ウルブスのオーナーシップはこの解雇前にロサスを数ヶ月にわたり評価していたようです。ロサスに起因した問題が多く出はじめたためで、機能不全状態のフロント、そして直属の部下との関係に亀裂が生じるなど、彼のマネジメント能力を含むリーダーシップに疑問を持つ声が多かったとの事。The Athleticによると、「ロサスの元、フロントオフィスは全体的に雰囲気が悪く機能不全だった」そうです。そのため、ロサス解雇は「時間の問題だった」とみれらていたそうです。そして、社内不倫が決定打になりました。

今言われているロサスのリーダーシップの欠如についてまとめてみました。

●ワンマンリーダー

リーダーシップには、ビジョンをみんなに伝えて、そのためにどんな課題があり、それをどう乗り越えていくのかハッキリと示すこと以外にも、チーム内の雰囲気づくりやコミュニケーションを取り合えるような「人間力」いわゆるEQも重要になってくると思います。ロサスの場合は特にEQが問題で、チームを信じずに意思決定プロセスに他人を関わらせなかったり、部下の気持ちを考えないでただ仕事を長時間させたりと、不満が出やすいマネジメントをやっていたようです。実際に、スタッフの間では不満が山のようにあったそうです。

例えば、ディアンジェロ・ラッセルのトレードで、1巡目指名権に軽いプロテクションしかつけなかったのはフロントの反対を押し切っての独断だったそうですし、業界の慣例をやぶって、ヘッドコーチをサンダースを解雇した直後に他球団(ラプターズ)にいたクリス・フィンチを雇ったのもロサスの判断だそうです。

このようなロサスのやり方には批判があがっていました。また、球団の人間からすれば、仲間のサンダースを首にするのをわかった上で遠征に行かせて解雇したのは、いい気持ちがしないでしょうし、球団の不利益になるような軽いプロテクションの判断を勝手にされては部下のエンゲージメントも下がります。特に、プロテクション次第では今頃未来の4になるジョナサン・クミンガを指名できていたかもしれないことを思うと、余計にその独断が際立ちます。

ロサス的には、さいごに結果を出せばみんな理解してくれると思っていたようですが、ワンマンリーダーでは人の心は離れて行ってしまいます。特に、スポーツ球団のような「カルチャー」が重要なウェイトを占める場合は、フロントがそのカルチャーをつくらない限り、成功しません。この辺りもロサスにリーダーシップがなかったと言われている所以ではないでしょうか。

あるスタッフ:「このままいけば誰も生き残れない。ハッピーではない人が多すぎる」

●人望がない

ロサスはスタッフに良い対応をしないためか、あまりスタッフから人望がなかったようです。20年以上もウルブスで働いていて、まわりのスタッフの多くから愛されていたスカウトのザーコ・デュリシッチが辞任しなければいけなかった時に、ロサスが彼を守らなかったため、スタッフが不満を覚えていたそうです。ただ、デュリッチはコロナ禍でほとんどのチームのスタッフが給料を下げられている中、減給を受け入れなかったとも言われており、実際はどうったのかは不明ですが、明らかなのはロサスのやり方に不満を不満を持った人たちがいるということです。

また、ロサスはザーコについて:「ザーコはここミネソタで素晴らしいキャリアを築き、とても素晴らしい仕事をして。私たちにとって彼のキャリアは別のステージにあり、球団として見た時も私たちは違うステージにいた」と言っていました。

これもデュリシッチを想う気持ちのある人にとってはうわべだけな感じで受け取られたのではないでしょうか。

あるロサスのスタッフ:「彼があんな人間だとは思わなかった」

●ロサスの孤立

あるイーストのエグゼクティブは、ロサスの孤立している場面を垣間見たことがあるそうです。それは、7月にウルブスが仕切ったプレドラフトワークアウトの時で、ロサスはその間いちどもウルブスのスタッフと一緒にいなかったそうです。

そのワークアウトではウルブスのアリーナにNBA全30チームが集まって、4日で48人の選手がワークアウトするのをスカウトするのですが、ロサスはウルブスのスタッフたちとはコートの反対側にいて、当時ジャズのVPでロケッツ時代一緒だったデニス・リンゼィと話をしたりしていたそうです。

イーストのエグゼクティブ:「ロサスと彼のチームはあれ以上離れられないところにいた。お互いに緊張感があったのは明らかだった。ほんとにとても気まずい感じだった」

あるロサスのスタッッフ:「ガーソン体制は時間の問題だったとわかっていた」

●部下との確執

そして、フロントでナンバー2のサチン・グプタとの衝突があり、これがロサスの評判をかなり落とします。

きっかけは、ロケッツがグプタを今よりも高いサラリーで引き抜こうとした時に、ロサスがそれをブロックしたことでした。ロサスからすれば、引き抜きのタイミング的に球団の未来を決定づける大事なドラフトとフリーエージェンシーの前だったので、ハイランクのグプタがライバルチームに転職するのは許されないと思っていたのが理由だったそうです。

ロケッツの引き抜きを止めた後、ロサスはグプタを無下に扱い、どこへでも勝手に転職先を見つけろというような行動を取り、2人の間の亀裂は更に悪化したそうです。

ロサスはグプタのことに関して、以前自分はグプタがキングスのGMになれるように力を尽くしてきたし、フリーエージェンシーが終わったら他を探す許可も出したので問題はないと言っています。

(ロサズとグプタ Photo by David Sherman/Getty Images)

しかし、この時、ロサスは再び業界の慣習を破っています。業界では相当な理由がない限り、部下やアシスタントがより良いポジションにつくことを止めないそうです(止められない条項を契約書に盛り込む人もいるそうです)。特にシーズンが終わったばかりの7月は契約が切れた人たちも多く、人員の動き多い時期なので、タイミング的には転職も普通のことで、グプタがロケッツに転職するのも何の問題もなかったようです。

しかも、ウルブスのようにオフシーズンにあまり動かなかったチームとしては、大事な時期に抜けられては困るというような言い訳はきついと思われます。

ウルブスは、キャップスペースがタックスぎりぎりでフリーエージェンシーも大したことができなかったはずで(実際に何もしていない)、ドラフトも指名権がないので、グプタ不在の影響は大きくならないはずです。タックスを考えれば、ルビオのトレードはすでに織り込み済みでしたし、やることと言えばトレード交渉なのですが、それも人がひとり減ってうまくいかないような体制はかなりマズい状況です。部下を1人昇格させればいいだけなのですから。そして、なによりも部下の成功を願うのがリーダーだと思います。

このようなカルチャーとバラバラな内部について、The Athleticがロサスに聞いたところ、ロサスはフロントオフィスのカルチャーには問題になるようなことはなく、強調と多様性の環境を育てるために懸命に働いていると答えています。

「成長には痛みが伴う。壁にもぶち当たるだろう。注意をそらす言葉も出てくるだろう。私はプログラムと私たちの社員をどのチームと比べても遜色のないものにしていく。結果が出れば、彼らはやってきた仕事や決断を理解するだろう。私たちはそれを目指して働いている」

●球団外からも…

ロサス問題は球団内にとどまらず、球団外にも広がります。というのも、ロサスのやり方に他チームのエグゼクティブたちやエージェントたちが不満を感じていたそうです。

彼らはロサスの関係性軽視と交渉のやり方を問題視しており、ウルブスのオーナーシップにとって、敵をつくっていくロサスのスタイルは受け入れがたいものがあったそうです。例えば、RFAのジョーダン・マクラフリンとの交渉で、ロサスは彼の役割について誤解を生み出すようなことをしていたそうです。交渉に関わった人は、「ロサスが問題を引き起こした。彼は約束を破った」と言っています。このような状況を見て、球団内にはもうロサスの解雇は避けられないと思うようになった人もいたそうです。

このような球団内外からの不満や苦情はテイラーと新オーナーになるマーク・ロアとアレックス・ロドリゲスの耳に届きました。テイラーは常々球団はファミリーだと言っていますが、ロサスの生み出した職場環境はそれには程遠いものが感じられます。また、元選手で理想の球団のあり方を知るA-Rodや、ITビジネスで成功を納めてきたロアが目指す働き方に、ロサスのマネジメントの仕方は合わなかったのかもしれません。特にA-Rodと気が合うロアなので、2人はリーダーシップやカルチャーづくりに関しては同じ価値観を共有していそうです。結局、彼らはこのような大きなストレスがある環境で働くことは無理があると感じ、球団を自分たちが目指すビジョンに変えようと決めたようです。

ロサスにとって、パンデミックで休みなく2年働いていた過酷な状況や、ラッセルのケガやKATの不幸で完全なチームでプレーできなかったのはマイナスでした。そのため通常よりも不満の声が大きくなったのかもしれません。しかし、他チームはなんとか乗り切っています。ケガやコロナで影響を受けたチームはウルブスだけではないですし、ロサスだけが特殊な状況だったとは言えません。特に、パンデミックなような非常時には、リーダーシップのなさはより浮き彫りになります。結局はロサスには人をまとめて率いていくリーダーシップが最初から足りなかったのでしょう。バスケの結果というよりも、どちらかと言うとマネジメント能力の評価が悪かったのが解雇に繋がったようです。

社内不倫について

ロサスの不倫相手はコミュニケーション&エンゲージメント部門のVPのブリ・バウアーさんのようです。彼女の名前も同時期に球団のサイトから削除されているため、バウアーさんという噂がたっています。ロサスもバウアーも既婚なので、これが本当だとしたらW不倫になりますね。

Bleacher Reportのジェイク・フィッシャーによると、ウルブスのオーナーシップがロサスと不倫相手との社内不倫を知った数日後にロサス解雇を決めたそうです。

オーナーシップは、ロサスの不倫の証拠写真を見せられたそうです。ロサスと不倫相手は、土曜にアライアンズ・フィールドでのミネソタ・ユナイテッドFCの試合中にスイートでキスしているところを目撃されています。不満を持っている人たちからハメられたのでしょうか。

Bleacher Reportが入手した証拠写真は2枚あり、1枚目はロサスと不倫相手が隣同士で座っているヨリの写真で、2枚目はふたりがそこでロマンチックに抱き合っている写真だそうです。ロサスに不満を持つ人たちからのリークでしょうか?狙われていた感はあります。

バウアーもすでに仕事を解雇されているそうです。彼女のサラリーは数千万円と言われており、もし噂が本当だとしたら不倫の代償としてはだいぶ高くつきましたね。

ちなみに、ロサスには高校の頃から付き合っていた妻と二人の子供がいます。

(ロサスの妻と子供たち)

これからのウルブス

これからのウルブスですが、ロサスの部下だったグプタが暫定的にプレジデントに就任しました。グプタはスタッフたちといい関係を築いているそうで、フィンチのこともチームに必要だと信じているそうなので、クリス・フィンチが解雇されるようなことはなさそうです。というよりも、キャンプ直前でキャンプのプログラムもすでに組んであるため解雇しようにもできないでしょう。

また、ウルブスは広い範囲で新プレジデントを探すようで、グプタもリーダーシップとカルチャーづくりができるNo.1になれることを示さなければ交代させられるでしょう。

(チサン・グプタ)

ウルブスがもし開幕から連敗した場合、シーズン途中で何か大きく動くかもしれません。

キャップ的には、RFAだったジョーダン・マクラフリンとジェイデン・マクダニエルジャレッド・ヴァンダービルトと再契約、レアンドロ・バルマロと契約してサラリーが約141億円になり、タックス(約136.6億円)に入りました。約141億円はシクサーズ、セルティクス、ヒートとほぼ同じレベルです。課題だった4を補強できずにいる中、2巡目指名権を出して獲得したエド・デイヴィスもFAで去ってしまいました。そして結局タックスから抜けるために、これからプリンスのトレードなどでシーズン中に調整が入ると思われます。

オーナーシップレベルでは、マーク・ロアとA-Rodは、シクサーズのGMのエルトン・ブランドを気に入っているそうです。それはサマーリーグから囁かれはじめたそうです。ひょっとしたら、ベン・シモンズ+エルトン・ブランド⇄ディアンジェロ・ラッセル、指名権等のトレードもあるかもしれませんね。

その場合、ウルブスの入ってくるサラリーが交渉のキモになりそうです。ディアンジェロ・ラッセルは約30億円、ベン・シモンズは約33億円。そのため、シモンズをとりつつタックスを躱すには、プリンスかビーズリーをトレードに含めないといけません。すでにタックスに入っているシクサーズがそれを良しとするかが問題ですね。1巡目指名権がいくつか入ればシクサーズも納得するかもしれません。


参考サイト:Sources: Timberwolves Dismissed Top Exec Because of Affair with Team Staffer/Gersson Rosas and his downfall: Why the Timberwolves fired him just days before training camp/Gersson Rosas is out. Can the Timberwolves ever get the right person in charge?/Who is Gersson Rosas’ wife Susana? Meet the basketball exec’s family
サムネイル画像:Photo by Jerry Holt, Star Tibune