ベン・シモンズのトレード要求:これまでの軌跡

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オフシーズンにFAで契約した選手をトレードできる日が近づいてきました。12/15になると、オフシーズンにFA契約したおよそ107人の選手たちがトレードできるようになるため、 NBAは本格的なトレードシーズンに入っていきます。

チームはリズムに乗ってきた11月からクリスマスあたりまでのプレーを見て、シーズンの方向性を見極めていくと言われています。そのため、この時期になると優勝できないと思ったチームがキャップを空けて指名権を得るために動き出したり、優勝を狙えそうなチームが補強を模索したりとトレード市場が活性化します。今シーズンのトレードデットラインは2/10です。

他にも、タックスを超えているブレイザースのようなチームが、優勝を狙えないのがわかったため、選手のサラリーを減らしてタックスを躱す節約トレードの動きも出てきます。

このようなリーグ全体に選手を動かす意識が高まるにつれて、シクサーズのベン・シモンズのトレード交渉が加速していくと思われます。

トレードが盛り上がってくる前に、いちど長々と続いているベン・シモンズ騒動の軌跡を振り返ってみたいと思います。

すべてのはじまりは、バスケの問題ではなくシモンズの家族の問題からかもしれないとも言われています。

家族の問題

今年の4月にシモンズの姉のオリヴィアが、小さい頃から義兄のショーン・トライブにイタズラされていたと明かしました。ショーンはオリヴィアの主張を否定し、オリヴィアを名誉毀損で訴えました。オリヴィアは法廷に出席せずに敗訴。今年の9月に裁判官はオリヴィアに約5500万円の支払いを命じました。

ホークスとのプレーオフシリーズは6月後半だったので、シモンズはこの姉と義兄の揉め事の真っ只中にいたことになります。

シモンズがケンダル・ジェンナーと別れた理由は、ケンダルに母を侮辱されたと感じたからだとも言われており、シモンズは家族をとても大切しているようです。そのため、この家族の問題がシモンズのパフォーマンスに影響していたとも考えている人たちもいます。

ヘッドコーチのドック・リヴァースは、シモンズがその家族問題について何を考えていたのかはわからなかったと言っていますが、プレーには影響していたはずだと思っています。

リヴァース:「彼らはリアルな人間で、リアルな生活があるし、問題もある。私は彼のように家族の揉め事が公になることはなかったが、もしそんな事があったら何らかのかたちで影響が出ると思う」

(ベン・シモンズ、ショーン・トライブ、オリヴィア・シモンズ)

フリースロー

シモンズは家族の問題でメンタルがやられていたのでしょうか?

シモンズはキャリアの平均フリースロー%は59.7%でしたが、ホークスのプレーオフシリーズでは33.3%でした。ちなみにホークスの前のシリーズのウィザース戦でも35.7%です。

これがどれだけ悪い数字かというと、FTが苦手でハック・ア・シャックというハック戦術をメジャーにするきっかけになったシャキール・オニールのプレーオフでの最低FT%の36.4%(1996年マジック時代のブルズ戦)よりも低いものです。ボールハンドラーとしてこの数字はかつてないほど低いのではないでしょうか。

ちなみに今シーズンのガードでFT%最低(12/14時点)がイッシュ・スミスの37.5%、次がデアンドレ・ベンブリーの40.0%になっています。

そして、このフリースローがシモンズ騒動のきっかけになります。

ホークスとのシリーズでのある試合では、ハックされて逆転負けのきっかけになります。試合終盤ではハックファウル適用の時間帯になるまでベンチにいることもあり、試合をクローズしない時もありました。ウィザースもハック・ア・シモンズを仕掛けいています。その時シクサーズは負けています。

そもそもシモンズはシュートも得意ではなく、スリーはキャリア4シーズンで34本しか撃っていません。決めたのは5本だけで、キャリア3P%は14.7%です。

シモンズの義兄のショーンがなぜシモンズはシュートをうたないのかと聞かれた時、シュートは彼にとって効率的なものではないと答えています。

シモンズもスリーについて「それに慣れるのが問題だ。繰り返し練習するしかない。エルボーからフックショットは撃てる。なぜなら何回もやっているからだ。それを決める自信がある。自然にできる。スリーはまだ慣れていない。今私は30%決められるかもしれないが、40%決める方がいい」と言っています。

元シクサーズのアシスタントで今サンズのヘッドコーチをしているモンティー・ウィリアムスは友人たちに、シモンズはかっこ悪く見えるのを怖がっていると言っていたそうです。

シモンズとモンティーの言葉から察するに、シモンズはシュートを外すのはかっこ悪いのでなるべく撃たないようにしているのかもしれません。

しかしフリースローはシュートとは違い、ファウルされたら撃つ以外の選択肢はありません。完璧でかっこ良いことをお望みのシモンズにとって、失敗するのが見えているフリースローラインに立つことはメンタル的に耐えがたいものだったのではないでしょうか。

コロナ仮病!?

フリースローを恐れていたからでしょうか。シモンズはなんとホークスとのシリーズの第7戦の前に、コロナ感染濃厚接触者になって試合を欠場しようとしていた疑惑があがっていました。

カンファレンス・ファイナルズ進出をかけた試合の朝、シモンズはコロナ検査陽性かもしれないチームのマッサージ師と濃厚接触したと報告し、シクサーズは彼をシュートアラウンド禁止にしました。

試合の10時間前に、チームメイトやトライブに「彼らは私を出場させない」というテキストを送っているので、試合には出れないと思っていたようです。

しかし、何人かの選手たちが朝にそのマッサージ師を見たか聞かれた時に、見たと答えた選手はシモンズだけだったそうです。またチーム内でもシモンズが実際にマッサージ師と会ったことを疑問視している人も多いそうです。これは、シモンズは試合に出場したくないのでコロナ濃厚接触者を自分ででっちあげたと思っている人がいるという事で、チーム内にはシモンズがプレーオフに対して消極的だと感じている人たちがいることを意味しています。

いずれにしろ、このような大事な試合で疑われてしまうほど、シモンズには信用がおけない何かがあったのは確かなようです。

実際にそれまでのシモンズのプレーは消極的で、シリーズのゲーム5とゲーム6で10ショットしかシュートを撃っていません。フリースローは23本中16本ミスしていました。

結局、シモンズのコロナ検査の判定が陰性だったため、シモンズは試合に出れるようになりました。これにはシモンズは当惑していたそうです。本来なら試合で相手を蹴散らしてカンファレンス・ファイナルズへ進まなければいけない時に休む気まんまんだったようです。

試合では、コロナのごたごたがあったからなのか、自信を失っていたからなのか、シュートもたった4本しか撃ちませんでした。

そして、残り時間3:35で88点対86点と負けている時、シモンズの運命を左右するプレーがありました。

バスケットからたった4フィートの距離でダンクをせずに、パスを選びました。

このプレーの後、ツィッターのフィードがすごく盛り上がったのを覚えています。

いちばん近くにいたトレ・ヤングからのファウルを受けてフリースローラインに立つのを恐れたのでパスしたと言われています。

シモンズからのパスを受けたマティス・サイブルはファウルされてフリースローを得ますが、1本外してしまいました。

戦犯へ

結局シクサーズはホークスに103点対96点で敗れてしまいました。最終的にシモンズは5得点で試合を終えます。最後の54秒は試合に出れませんでした。

エンビードは試合後、このプレーで試合の流れが変わって負けてしまったと言っています。

エンビード:「正直に言おう。ターニングポイントは、私たちが ーこれをどう言ったらいいのかわからないがー オープンショットが決められたのにフリースローを一本しか決められなかったことだ…」

ヘッドコーチのドック・リヴァースも、ベン・シモンズは優勝チームのポイントガードになれるか聞かれ、「その質問の答えは今はわからない」と答えました。

試合に負けた本当の原因はこれだけではありません。TOもフリースローミスもあり、誰だってミスをします。それにチームとしてお互いを信頼しなければいけないので、普通ならコーチやチームメイトは特定の失敗を非難するようなことはしません。この試合で言えば、このプレーの後にあったサイブルのハーターへのスリーポイント・ファウルで4点差にされてしまったことの方が致命的だったかもしれません。

しかし、チームのヘッドコーチとエースがそれをかばわずに正直な気持ちを言ってしまっています。

そう考えると、やはりこのシモンズの場合、勝ちにいかない消極的なプレーだけではなく、エースの一角(サラリー的にも)にも関わらず、スリーやシュートを頑なに撃たないというシモンズのプレースタイルや、フリースローを決められないという苛立ちや不満が積み重なっていたのではないでしょうか。

シモンズは試合に負けた責任を押し付けられたと感じたのか、シクサーズにトレードを要求します。

トレード要求

このようにして戦犯になってしまったシモンズはシクサーズから出て行こうとします。

6月後半のドラフト・コンバインで、シモンズのエージェントであるクラッチ・スポーツのリッチ・ポールが、シクサーズのプレジデントのダリル・モリーとGMのエルトン・ブランドと接触し、シモンズのトレード要求をしたと言われています。

The Ringerのトップでモリーの友人でもあるビル・シモンズによると、モリーはその後、リーグの29チームにそれぞれのチームのベストプレーヤーとシモンズのトレードオファーをしてまわっていたそうです。

これにはメディア内に2つの見方があります。

  • モリーは最初ふっかけた。
  • モリーは本当はシモンズをトレードしたくないので、リーグ中に無理なトレードをオファーして、シモンズをトレードしない口実をつくった。

元グリズリーズのVPのジョン・ホリンジャーは、モリーはロケッツのGMの時からはじめは高くふっかけてくるそうです。今回も例に違わずふっかけたのが本当のところでしょう。それに加え、ジョエル・エンビードがプライムなので、彼のプライムを無駄にしないためにも、マックスを払っている選手の見返りにはマックス級の選手が欲しいという思いがあるのかもしれません。

また、モリーはシモンズのトレードでウィザースのブラッドリー・ビールや、夏にチームへの不満があったデミアン・リラードを狙っていると言われており、2人のチームの様子を伺っているようです。

特にビールは夏にFAになれるので、ウィザースはビールにただで出ていかれてしまうリスクがあります。それとは逆にシモンズには契約が4年残っています。ウィザースはビールをトレードに出すようになるでしょうか?それでも今のところ、ウィザースは調子も良く、シモンズよりも自分のスター選手の方が良いと感じているようです。

逆にスター選手がFAで選ばないようなスモールマーケット・チーム(スパーズ、ウルブス、ペイサーズ、ピストンズ、キャブス、ラプターズ)がシモンズを欲しがっているようですが、そこにはモリーが欲しがるような選手がいないようです。

結局、トレードも活発になる7/29のドラフトや、8/2からはじまったフリーエージェンシーから1ヶ月が経った後でも、シモンズのトレードは成立しませんでした。

そうこうしている内にトレーニング・キャンプがはじまってしまいます。シモンズは焦って、シクサーズと直接話すことにします。

フロント&オーナーとのミーティング

なかなかトレードが決まらずにトレーニングキャンプまで1ヶ月を切ってきました。そこでシモンズはリッチ・ポールの家にシクサーズのフロントを呼んで、直接トレードを要求することにします。

シクサーズからはオーナーのジョッシュ・ハリス、プレジデントのダリル・モリー、GMのエルトン・ブランド、ヘッドコーチのドック・リヴァースがそのミーティングに参加したとの事です。オーナーも来るのはちょっと異例なことで、それがただ事でないことを現しています。

シモンズ側は、シクサーズにシーズンが始まる前にトレードをするように要求したそうですが、その理由は特に言っていなかったそうです。今、プレーしない原因と言っているメンタルのこともここでは出なかったそうです。

しかし、シクサーズはシモンズに、チームに戻ってくるように説得を試みました。

シクサーズは、エンビードとシモンズのコンビがどれだけ成功したかを分析したプレゼン資料を用意し、2人のアドバンススタッツなどの数字がトップレベルなことを見せたそうです。また、リヴァースがシモンズをハッピーにするために、彼が今シーズンどうシモンズを使うつもりなのかもまとめて来ていたそうです。

リヴァースの提案では、以前よりもシモンズとエンビードとのプレー時間を重ならないようにして、シモンズが主役の時間を増やしていくという内容が強調されたようです。具体的には、エンビードがベンチに下がった時に、シモンズを5にして、フロントコートにはトバイアス・ハリスとジョージ・ニェン、ガードにはセス・カリー、タイリース・マキシィのシューターを配置して、シモンズをオフェンスの中心にするというものだったそうです。バックスのヤニスのような感じですね。

このように、シクサーズは昨シーズンからのちょっとした変更でオフェンスも良くなるとシモンズに訴えたそうですが、シモンズの心が動かされることはなかったそうです。

むしろ逆効果で、フィリーではエンビードが健康な限り、シモンズはずっとNO.2だという印象を与えてしまったのではないでしょうか。

あらたなロマンス

そんなベン・シモンズですが、プライベートでは新しい恋を育んでいます。

お相手はイギリスのテレビとラジオ司会のジャマ・マヤさん。

(MAYA JAMA at Brit Awards 2020 in London)

2人は一緒にウィンブルドンを観戦したり、南国にバケーションに行ったり、シモンズの誕生日を祝ったりしています。

(Photo by Getty)

(シモンズの25歳の誕生日にマリアチを呼んでサプライズするマヤ)

また、ロスに家を買っています。約17億円以上!! サラリーの半分くらいです。税金で半分は取られてしまうと思うので、いくら5年で約177億円の契約をしていても、これで罰金を取られたらキャッシュフローはキツいですね。

トレーニングキャンプ参加拒否

トレーニング・キャンプまで1週間強になったところでベン・シモンズがトレーニング・キャンプには参加しないというレポートが出てきます。

ESPNのスティーヴン・Aによると、ベン・シモンズはトレードされないならシーズンを休むつもりがあるそうです。リッチ・ポールはシモンズに、契約が4年残っているので、シーズンを休むくらいしないとトレード要求は厳しいと伝えたそうですが、シモンズは気にしないでとにかくやろうと言ってトレードをプッシュするために何でもする姿勢を見せているそうです。

シーズン全休もチラつかせながら、シクサーズのフロントとの駆け引きがはじまりました。

シモンズの状況はかなり不利です。そもそも契約があと4年も残っているので、シモンズはシクサーズにいい見返りがない中でも自分をトレードしなければならないという状況をつくり出さなければいけません。

そのレバレッジを生み出すために、シモンズはトレーニング・キャンプ不参加に続き、もう一手打ってきます。

エンビードとはやってられない

シモンズサイドは、もうエンビードとはプレーしたくないという情報をリークしました。

どうやらシモンズはコーチやチームのエースから戦犯扱いされてチームに戻りたくなかった訳ではなく、自分中心のチームが欲しいためトレードを要求していたようです。

これを聞いたエンビードは、反論。

エンビードがインタビューでそのことを聞かれて、次第に本音を出して行きます。

エンビード:「私たちのチームはいつも彼が必要なことを中心にしてつくられていると感じている。だからそれを聞くのはちょっと驚きだ。アル(ホーフォード)と契約した理由はシモンズだ。ジミーを出したのは今でも間違っていたと思うが、それはシモンズが手にボールを持つ必要があったからで、チームはそうすることを決めた」

エンビードの言っていることは本当で、シモンズのためにバックアップでストレッチ5もプレーできるホーフォードを獲得し、ジミーを出したのは当時のヘッドコーチのブレット・ブラウンとシモンズから嫌われていたからだと言われています。ジミーがいると、ボールがシモンズの手から離れてしまうので(特に試合の終盤)、シモンズがジミーとは合わないと思ったのは間違いないでしょう。

エンビードが続けます:「これにはがっかりだ。私たちのチームは何年も彼中心につくられていると感じている。昨年は、スターティング・ラインアップの全員がスリーを撃てて、私がその中で最悪のスリーポイントシューターだった。私はスリーが38%だった」

エンビードはシモンズのために、自分のサイズとパワーが活かせるペイント内にはおらず、ペリメーターでスペースを広げていることが多かったですが、シモンズはなるべくシュートをしてエンビードにそのお返しをしようともしていません。そのため、エンビードにとってチームはシモンズを中心に動いていたと感じていたのかもしれません。

エンビード:「私たちにはいつもシューターがいる。私は誰とでもプレーできて、誰のことも良くできると思っている。私にはシューターが必要という訳ではない。でも、何年もの間、アルと契約した時のことを見ればわかるけど、私たちにはシモンズのためにストレッチ5が必要だった。私はキャリアのほとんどをスリーポイントラインにステップアウトしていたようなもので、それは気にしていない。私はバスケットボール選手でいたい。私はバスケットボールのコートで全てをやりたい。だけど、私たちのチームにはいつもシュートもストレッチ5もあった」

「そして私たちはシュートがある。言っていたように史上最高のスリーポイントシューターのひとりのセスがいて、ダニー・グリーン、トバイアスは40%のスリーポイントシューターだ。ファーカンはベンチから出て、シェイクも良いシューターになれると思う。私たちはジョージも加えたばかりだ。だから私たちのチームはいつも彼が必要としているものを中心につくられている」

シモンズのシュチュエーションについては、「変な感じで、がっかりで、命を懸けてここで戦っているみんなに対してちょっとリスペクトがないギリギリな感じだ。どうにかしてリーグに残ってお金を稼ぐためにチームの成功に頼っている人たちもいる」

今回もまた、エンビードはシモンズに帰ってきて欲しいのか、結局はディスっているのか微妙な感じでした。

また、 ESPNのラモナ・シェルバーンもスティーヴン・Aと同じように、もしフィリーが彼を動かさなければ、ベン・シモンズは全シーズン休むつもりだとレポートしました。

シェルバーン:「ベンに近い人たちと話す時、私は”最悪のシナリオだと1年かかる。彼は1年休むのか?”と聞くんだけど、その答えは今は”イエス”だ」

罰金

トレーニング・キャンプに参加しないベン・シモンズに対し、シクサーズは10/1に支払われるはずだったシモンズのサラリーの1/4(約8.25億円)の支払いをストップ。サラリーの支払い停止は直接的にはできないため、まずサラリーをエスクローに入れて、そこから罰金を引いて残った金額をシモンズに払うという方法を取りました。

これはCBAで決められた罰金の金額です。

  • メディアデー欠席:約500万円まで
  • 練習1日目:約25万円
  • 練習2日目: 約50万円
  • 練習3日目: 約75万円
  • 練習4日目以上: 約500万円まで
  • エキシビション(プレシーズン)とレギュラーシーズン(20試合まで):1試合につき約2770万円
  • レギュラーシーズン(20~ 82試合):1試合につき約3000万円

すでに1/4のサラリーの約8.25億円はオフシーズンに払われているそうなので、残りのサラリーは約24.75億円。シーズン全休するとそのほぼ全額が罰金で取られてしまいます。

しかし、ここで引くとレバレッジがなくなるシモンズは、何年もかっかってもいいのでトレードをプッシュすると言っているそうです。金の問題ではないという強気の姿勢を貫きます。どうやらそのサラリーは差し押さえられても新チームで取り返せるという計算もあったようです。

ここで問題が発生します。実は罰金で失ったサラリーはシクサーズ以外からは取り返せないことがわかりました。

シモンズのエージェントがNBPAに相談したところ、エスクローに入れられたシモンズの約8.25億円の罰金はシクサーズに紐付けられているため、他のチームに移籍したとしても、それを他チームから取り返すことはできないと言われたそうです。シ例えば11/19にトレードされれば、シモンズの罰金は約7.2億円になりますが、もしシモンズがそれを取り返したければ、シクサーズと和解するしか方法はないそうです。

フォラデルフィアの家を売りに出す

シモンズはトレードに備えてなのか、サラリーを抑えられてキャッシュフローが厳しいからなのか、フィラデルフィアの2つの家を売りに出しました。

チームへの合流

シモンズはトレーニングキャンプのすべてをばっくれて、シーズン全休も辞さない構えかと思われていました。実際に、プレシーズンゲームも2試合を欠場。しかし、シクサーズのプレシーズンの試合前、なんとシモンズが連絡もなしにいきなりやって来ました。何の前触れもなしに、リッチ・ポールからフロント(エルトン・ブランド)にシモンズが今練習場の外にいるから中に入れてやってくれとのテキストが入ったそうです。

チームの活動外から来た人はまずコロナ検査を受けなければいけないため、練習場に行ったようです。タイミングも試合で誰もいない時を狙ったようです。そこでコロナのPCR検査を受け、シモンズはまずは1週間の隔離に入りました。ワクチン接種者の隔離期間はもっと短いので、シモンズはワクチン未接種のようですね。

翌日、シモンズはフロントと話しをして、まだプレーできる準備はできていないと伝えましたそうです。シクサーズはシモンズの復帰のために何でもサポートすると伝えました。

罰金を課せられてサラリーを人質に取られたため態度を翻したということは、シモンズにとって結局は金が問題だったようです。これでシモンズのレバレッジはなくなりました。

トレードをプッシュするために、この後どういう手を使ってくるのでしょうか?

そして、練習。

隔離を終えたシモンズが練習に参加します。エンビードともう一緒にプレーしたくないと言ってしまったのでとても気まずいでしょうが、罰金を少しでも抑えるためには仕方ありません。

しかも、キャンプ前にエンビードやトバイアス・ハリスらチームメイトが、シモンズを説得するためにチャーター機を借りてロスにいるシモンズに会いにくるのを、自分の気持ちは変わらないから来ないでくれと言って止めています。

プライドの高いシモンズのこと。すごく気まずい状況でしょう。プレーオフでフリースローラインに立つよりもキツイのではないでしょうか。

でも、ここで頼りになるのがドック・リヴァースの存在です。

リヴァースは選手時代に、クリッパーズが嫌でボイコットをしたことがあります。そのため、彼はこのような状況におかれた選手の気持ちも理解できるし、ロッカールームやチームへの戻り方も経験済みです。もしもシモンズをチームに何事もなかったかのように戻らせることができるコーチがいるとしたら、それは皮肉にもリヴァースでしょう。

リヴァースはシモンズを迎えるために、調子が悪いトバイアスを出汁にしたジョークで場を和ませてから練習をはじめたようです。(内容は、長いバケーションを過ごしているのはシモンズだけではなくトバイアスとサイブルもだ的な感じだったと思います)

しかし、シモンズはチームメイトたちの輪に入ることはありませんでした。

結局シモンズは、2日目の練習中に守備のドリルへの参加を拒否して、リヴァースから練習場を追い出されてしまいました。

本当にチームと一緒にいたくないのでしょう。億単位の金のためには仕方ありません。

レギュラーシーズン

10/19にレギュラーシーズンが開幕しました。もちろんシモンズの姿はありません。コーチの言うことを聞かなかったため、シクサーズから開幕出場停止処分を受けたためです。エンビードもシモンズの子守はもうできないと言いました。

その翌日、個別練習をする予定だったシモンズは、シクサーズに腰をケガしていると伝えたそうです。チームドクターはシモンズは練習して問題ないと診断していますが、練習はしないで帰ってしまいました。

シモンズはその日よりも前に腰のケガのことは言っていなかったとのことです。仮病をつかって試合を休もうとしたのではないかとも言われています。

シモンズはこれまでも、コロナの仮病でプレーオフの第7戦を休もうとした疑惑があったりしています。今回のケガが本当ではなく偽りだとしたら、選手としてよりも人としての信用を失ってしまうと思われますが、どうでしょう?ブランディング的にもまずいと思うのですが、リッチ・ポールとクラッチは機能しているのでしょうか?

モリー:「これは4年続くかもしれない」

そんなシモンズに対して、シクサーズのプレジデントのダリル・モリーが地元ラジオに出演し、シモンズについて話しました。

PR的に公の場ではやんわりと本質をつかずに躱すのがセオリーですが、モリーは逆を行きます。

モリー:「みんな冗談だと思うだろうが、私は真剣だ。これは4年続くかもしれない…私たちはジョエルのキャリアのプライムにいる。シモンズがプレーするか、違いを生み出せる選手とトレードするかどちらかだ」

他にも、状況はこれから荒れるので、みんなシートベルトをした方がいい、とか、もっとも優勝する可能性が高いのは、トレード(いい選手とトレードできないから)よりもシモンズがチームに戻ることだと言っています。

シモンズレベル(オールスター)をトレードするなら、エンビードのプライムを無駄にしないためにも、それなりの見返りが欲しいようです。

同時に、これはシモンズとリッチ・ポールに向けてのメッセージだとも思われます。いい選手がとれなければトレードはせずに4年(シモンズの契約中)はこのままだと明言することにより、モリーはシモンズのレバレッジを無効にしました。

シモンズに残されている手はひとつしかありません。

メンタルヘルス

シモンズはメンタルがやられているためプレーできる状態ではないと言い出しはじめました。

シクサーズにはシモンズがいいと思うメンタルヘルスの医者がいないため、ずっと外の医者に診てもらっていたそうです。

家族の問題もあったことですし、本当のことかもしれません。

シクサーズはその医者から回復のプランとプロセスとスケジュールの詳細を欲しがっているそうですが、患者の守秘義務があるためシモンズの許可なしには医者から情報を得られませんでした。

これにはシクサーズはフラストレーションが溜まっていたそうですが、シクサーズはシモンズに復帰してもらうために、にできる限りのサポートをして行くと発表しています。

なぜメンタルヘルスなのか?

それはCBAには、メンタルの問題でプレーできなくてもサラリーは支払われると定められているからです。ケガと同じような扱いですね。これでシクサーズはシモンズにサラリーを払い続けなければいけなくなりました。要は、メンタルヘルスを利用して罰金を回避です。

しかし、家族の問題やプレーオフで戦犯になったことにより、本当にメンタルがやられている可能性もあります。でも、その場合はトレードされてもプレーできるのかの問題が出てくるので、自分で自分のトレードバリューを下げてトレードをむずかしくしてしまいました。

シモンズの優先事項はトレードされるまで、なんとか罰金回避だと思られます。

罰金再び

シクサーズはチームのロードトリップに来ないシモンズに罰金を課しました。メンタルがやられていてもロードトリップには参加できるはずなので、罰金の対象になるようです。どうやらこれはシクサーズがシモンズに自分の指定するメンタルヘルスの専門家に診てもらうようにプレッシャーをかけるための措置のようです。

その後、シモンズはシクサーズに屈し、シクサーズの指定するメンタルヘルスの専門家に診てもらっています。

それについて、シモンズのエージェントのリッチ・ポールがお金をメンタル問題に関わらせるなとこのシクサーズのやり方を非難しました:「この罰金はネガティブなPRを狙ったものだと本当に信じている。まったく必要のないことで、ベンのメンタル問題を悪化させた。(シクサーズは)ベンを助けるのか、ベンがウソを言っていると表明するかのどちからだ。どっちなんだ?」

正直、シクサーズは罰金を課しましたが、シモンズがまだメンタルをやられていると言っているので、実際にお金をサラリーから徴収できるかはわかりません。NBPAが仲裁に入り、罰金は無効になるかもしれません。おそらくシクサーズはそれをわかった上で、どんどんシモンズのレバレッジを削りにきています。

このようにウソかもしれませんがメンタルがやられていると言っている人のメンタルをものともせず、ひたすらレバレッジに焦点をあてて強気にプレッシャーをかけるやり方はモリーにしかできないのではないでしょうか。サンダーのプレスティなら逆にシモンズに寄り添うポーズを見せるような気もします。そう思うと、シモンズは戦う相手を間違えたかもしれません。

トレードはあるか?

こんな感じで今シモンズの試合に出ない口実とシクサーズの罰金の追いかけっこが続いています。終わりは見えません。トレードされなければ、シモンズがプレーし始めるとも思えません。

モリーはシモンズを「違いを生み出せる選手」としかトレードしないと言っていて、だいたい30人の選手をトレード候補としてあげているそうです。そのうちの5~6人が来年か再来年にアベイラブルになると見ているとのことです。その中にはデミアン・リラード、ジェームズ・ハーデン、ブラッドリー・ビールがいるそうです。

そして、NBAをとりまく状況は変わっていきます。すでにブレイザースは負けが先行して、これまでチームを仕切ってきたプレジデントのニール・オルシェイが解雇されました。オーナー次第ですが、再建もあるかもしれません。そうなるとリラードも市場に出てくるかもしれません。

ペイサーズもプレジデントのプリチャードがオーナーに対し再建の説得に成功したようです。これまでオーナーは再建の許可を出さなかったそうですが、これによりオールスターのサボニスか守備に定評がありスリーもあるマイルス・ターナーのどちらか、ショットメーカーのキャリス・レヴァートがトレードに出されると言われています。シクサーズ的にはビックではなく、ガードやウィングを厚くしたいところでしょう。ブログドンは契約延長にサインしたため、彼が欲しければ来年の夏にしかトレードできません。

また、FAになるブラッドリー・ビールもまだウィザースにコミットはせずに時間をかけてどうするか決めて行くと言っています。しかし、彼が望むような優勝候補にはキャップがないので、もし彼が動くとすればサイン&トレードになるでしょう。

FAと言えば、ジェームズ・ハーデンもいます。ネッツへ戻るのがいちばんお金を得られますが(そのはず)、モリーと再び組んでロケッツ時代の輝きを取り戻したいと思うでしょうか。

キングスもヘッドコーチのルーク・ウォルトンを解雇していて、シクサーズが気にいりそうなフォックスやハリバートンがいます。

ウルブスもすでにGMを解雇していますが、シモンズを獲得するにはアセットが足りなそうなので、3つ目のチームを探さないといけないでしょう。

オフシーズンに契約した選手がトレードできるようになる12/15までもうすぐです。シクサーズはシモンズのトレード交渉を活発にしてきているそうです。

シモンズも今ジムを借りてひとりでワークアウトしているそうで、いつトレードされてもいいようにコンディションをキープしているようです。以前はセントジョンズ大のジムでワークアウトしていて、たまに大学生ともプレーしていたようで、なぜシクサーズのチームメイトとの練習はダメなのかと批判されていました。ごもっともな批判だと思います。

The Athleticのシャムズによると、現在シモンズに興味を持っているチームには、ニックス、レイカーズ、ウルブス、ブレイザース、キングス、ペイサーズ、キャブス等がいるそうです

はたして、今シーズン中にシモンズはトレードされるのでしょうか?その場合、モリーはどんなトレードをしてくるのでしょうか。それともシモンズはトレードされずにシクサーズのユニフォームを着てプレーするのでしょうか?その場合、両者ははたして友好的に問題を解決できるのでしょうか。ひょっとするとこれが夏まで続くかもしれません。はたまたシモンズはメンタルヘルス以外のレバレッジを見つけられるのか?

これからも目が離せませんが、モリーがオールスター級の選手を狙っている限り、シモンズのトレードは成立しないで夏まで行きそうですね。

ちょっと長くなってしまいましたが、さいごまで読んでいただきありがとうございます🙏


参考サイト:Ben Simmons and the Philadelphia 76ers: The evolution of the offseason’s most complex saga/その他