トレードシーズン:ボストン・セルティクス

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今回は、イーストの10位でプレーイン圏内をラプターズ、ホーネッツ、ウィザース、ニックス、セルティクス、ホークスと争っているボストン・セルティクスです。(1/14時点)

セルティクスの現状

  • オフェンス:108.6でリーグ23位
  • ディフェンス:106.9でリーグ5位
  • ネッツレイティング:1.7でリーグ12位

538の予想ではセルティクスはイーストの6位でシーズンを終え、プレーオフ進出できる確率はRAPTOR予想で75%、ELO予想では60%になっています。

キャップは14人で約142.9億で、タックスラインを約6.3億円超えています。

(*以上すべて1/14時点)

契約が最後の年の選手は、デニス・シュルーダーとエネス・フリーダム。ふたりともFAで契約したのでバードライツはなし。アル・ホーフォードは来シーズンは約14.5億円だけギャランティー。フアン・ヘルナンゴメスは来シーズンの契約はノンギャランティー。彼らがトレード最有力候補になります。

ドラフトアセットは、2029年まで1巡目指名権を保有しているので健全です。

サラリーマッチに使えるミドルクラスのサラリーには、約11.6億円のジョッシュ・リチャードソン、約14.3億円のマーカス・スマートがいます。約20億クラスの選手とのトレードには欠かせないサラリーです。

若手には、シューターのニィスミスやガードのプリチャードがいますが、トレードで再建チームが欲しがるような活躍や可能性は見せていません。

新ヘッドコーチのイーメイ・ウードカはまだローテーションを決めきれておらず、試合ごとにクロージング・ラインアップが変わっています(コロナのせいかもしれません)。チーム構成的にも、オフェンスを組み立てられるPGや、オフェンスでキックアウトするシューターがいません。そのため、あまりチームが機能して勝てている印象がありません。テイタムとブラウンのコンビへの疑問が出てきていますが、この成績では仕方ないでしょう。

そんなセルティクスですが、今シーズンのトレードデットラインはどう出るのでしょうか。

トレードは不可避 !?

セルティクスはタックスを約5.7億円超えてしまっているにも関わらず、シーズン折り返しに来てプレーイン圏内にいます。ネッツやバックスのように優勝を狙えるようなポジションにはいないため、タックスを払わないようにサラリーを切り落とすトレードは免れないでしょう。

特に、サラリーが約5.89億円のデニス・シュルーダーにはバードライツがないので、来シーズンも彼を確保することは厳しそうですし、彼のスキルがチームに必要とされているプレーメークとシュートにフィットしていないので、トレードされるのではないかと言われています。

(デニス・シュルーダー Photo by Maddie Meyer/Getty Images)

来シーズンはノンギャランティーのヘルナンゴメスや試合をクローズしないホーフォードも売りに出してもいいかもしれません。他には1/25にトレードできるようになるスマートの約14.3億円のサラリーやジョッシュ・リチャードソンの約11.6億円のミドルクラスのサラリーもあります。守備がいいスマートは、オフェンスを必要としていない優勝(又はプレーオフ進出)を狙うチームからの需要は高そうです。

タックスを躱すためのサラリーダンプをするからには、指名権や若い有望な選手をつけなくてはいけませんが、そのあたりの需要はどうなっているのでしょうか。

今シーズンのトレード市場の重要プレーヤー

トレード市場ではセルティクスやブレイザースのようにタックスを躱すためにサラリーダンプの売り手とそのバイヤーがいます。バイヤーは再建を目指し、自分のところのサラリーキャップを使わせたりスター選手を渡す代わりに、若くて可能性のある元ロッタリー指名選手や指名権を買い取ります。しかし、プレーインがあるため、再建チーム以外はタンクせずにチームを良くしようとしているバイヤーが増えてトレードがむずかしくなってきています。

ペリカンズ(ウェスト12位)やキングス(ウェスト11位)、ホークス(イースト12位)やペイサーズ(イースト13位)などもまだプレーオフを諦めておらず、リツールしながらバイヤーに回りそうな気配です。ある意味、セルティクスもバイヤーに入ります。

バイヤーの主なプレーヤーは、サンダー、マジック、ピストンズ、ロケッツの4チームになります。いずれも再建中でキャップやTPEがあり、アセットを集めているモードに入っています。

オーランド・マジック

昨シーズン、セルティクスにエヴァン・フォーニェを送ったトレードでつくった約17.2億円のTPEがあります。セルティクスは、マジックのTPEを使わせてもらう代わりに軽いプロテクションをかけた1巡目指名権または2巡目指名権と若い選手を引き渡すことができます。

その場合、セルティクスはシュルーダーの約5.89億円をそぎ落とせばタックスをかわせますが、ロスターが13人になってしまう問題が出てきます。最低ロスター数の14にするために、選手をひとり追加で入れなければいけなくなり、そのためのサラリー分(約8000万円くらい?)の余裕も必要です。そうなると、このトレードでマジックに出すのはシュルーダーよりも、サラリーが高く来シーズンの契約がノンギャランティーのヘルナンゴメスを出す方が良さそうです。

または、マジックとストレートにスマート+ニィスミス+1巡目指名権とテレンス・ロスのトレードも考えられます。これでセルティクスはタックスを躱すと同時に、レギュラーシーズンに必要なスリーが撃てるウィングを得て(ロスのディフェンスは疑問ですが)競争力を担保できます。

オクラホマシティー・サンダー

サンダーはサラリーフロアに対して約23億円足りないので、シュルーダーではなくスマートさへも余裕で引き受けられます。戦力になっていない選手のサラリーをサンダーに引き渡すことによってタックスを少しでも落とせたりします。例えば、レイカーズがローテから外れたミニマムのベイズモアをサンダーにダンプすれば、約5億円タックスが節約できます。そのため、サンダーのキャップを使わせてもらいたいチームは他にもいるので激戦になりそうです。

逆を言えば、サンダーには他チームよりも魅力的な若手や指名権を渡さなければいけません。セルティクスはサンダーに必要なシューターのニィスミスがいます。出せるサラリー次第ではスリーが40%以上のマスカラや他の選手を引き取っても良さそうです。

もし、セルティクスがサンダーのTPEに選手をトレードすれば、その選手のサラリー分をTPEをつくることができ、オフシーズンで使うことが可能です。

ダラス・マーヴェリックス

マブスにもジョッシュ・リチャードソンをセルティクスにトレードした時にできた約10.9億円のTPEがあります。しかし、マブスはマジックやサンダーと違って、プレーオフを目指しています。マブスにとって今必要なのはヘルナンゴメスではなく即戦力のスマートの方が良さそうです。そうなるとセルティクスはタックスを躱せなくなってしまうので、また他のトレードを模索しなければいけません。

テイタムとブラウンのトレードは?

気になるテイタムとブラウンですが、セルティクスはふたりをどうしていくのでしょうか。ウィングで50点も取れるブラウンを2番手3番手の選手として狙うチームは多そうです。

しかし、セルティクスはテイタムとブラウンを中心にチームをつくっていくので、ブラウンのトレードはしないという強いシグナルを他チームに送っているそうです。

少なくとも今シーズンはこのふたりのまま行くでしょう。問題はふたり以上に、チームの構成問題の方が大きいので、まずはそこから手をつけていく感じでしょうか。今のチームに必要なのはオフェンスを組み立てるPG、スペースを広げられるシューター(ニィスミスがいる?)、ヤニスを守れてスモールボールでスウイッチができるビックではないでしょうか(スペースが空けられればなお良し)。ぎりぎりのキャップスペースの中、これからこの2人にあった選手を見つけていかなければいけません。

(ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウン)

トレード・シナリオ

しかし、今市場に出ていて、アイソになりがちなオフェンスでテイタムとブラウンの負担を減らせるプレーメーカーはほぼいません。考えられるのは、キングスのディアーロン・フォックスでしょうか。ただ彼のスリーは今シーズン24%とスマートよりも低く、キングス自体もバグリーやヒールドなどの削りたいサラリーがありつつも再建にも入らずに悲願のプレーオフ進出を目指しています。このトレードはお互いに合わなさそうです。

他にはDJ・オーガスティンなどの控えPGになってきます(やケンバ ”!”、アイゼィア・トーマスがいますがどうなんでしょう?)。

キングスと言えば、ハリソン・バーンズも取れるかもしれません。ピストンズのジェラミ・グラントもトレードされるのではないかと言われています。ふたりともサラリーが約20億円なので、取る気になれば、マーカス・スマート+1人若手+1巡目指名権でサラリーはマッチできます。またはジョッシュ・リチャードソン+ヘルナンゴメスでいけます。この場合、セルティクスはタックスを抜け出せないので、他のトレードをするか、オーナーが腹をくくって攻めるかのどちらかになります。

ジャズのシャープシューターのジョー・イングルスも売りに出されていると言われています(👋ダニー・エインジ!)。ジャズはウィングの守備を強化したいらしいので、スマートなどが良さそうですが、そうなるとセルティクスはタックスを躱せられないので、他のトレードが必要になります。

スパーズのデリック・ホワイトとサド・ヤングはどうでしょうか。スキルのある二番手のボールハンドラー(しかしスリーは今シーズンスマートより悪い)と守備の良いスモールボールのセンターです。アル・ホーフォード単体か、スマート+リチャードソンでサラリーはマッチできます。ただ、スパーズはシーズン中のトレードはあまりしないのとウィングが混み合っているので、このトレードのハードルは高そうです。

また、噂ではセルティクスはサンズのジェイリン・スミスを気に入っているそうです。彼は長距離砲があるビックで、ルーキーには珍しくこの夏にFAになります。サンズも良いトレード相手がいれば出したい選手でしょう。下にまとめたように、ケンバの約5億円のTPEに彼のサラリーを吸収できます。

私が面白そうだと思っているのは、ロケッツのエリック・ゴードン狙い。シュルーダー+ヘルナンゴメス+1巡目指名権 ⇄ エリック・ゴードンで、ロケッツはブルックスをウェイブ。

タンク中のロケッツはゴードンで1巡目指名権(軽いプロテクション)を得られれば、リターンが誰になるのかあまり気にしなさそうです。

こう見て行くと、セルティクスはタックスさえ気にしなければ、違いを生み出せる選手を得られそうな感じがします。特に戦力を落とさずにエリック・ゴードンとスミスを獲得できればチームのローテーションもプレーも良くなると思います。今後、どのようなトレードをするかで今シーズンのセルティクスの方向性がわかってきます。

タックスを躱しながら中途半端に補強をしてプレーオフを狙うのか、タックスを躱すだけなのであればプレーインからプレーオフ狙いか、または、思い切った補強をしてタックスを払って優勝を目指すのか… はたしてセルティクスはどうするのでしょうか。

セルティクスのTPE

もしセルティクスがサラリーダンプ+違いを生み出せるローテーション・プレーヤーを得てトレードが成功し、イーストの6位とかまであがって最終的に優勝争いに加われる手応えが得られた場合、まだフォーニェをニックスにサイン&トレードした時の約17.1億円のTPEを使ってバイアウト市場に大きく打って出てもいいでしょう。ただ、今年のバイアウト候補にはあまりセルツが必要そうな選手はいなさそうです。可能性があるとすれば、PGのラプターズのゴーラン・ドラギッチでしょうか。

また、フォーニェのTPEの他にセルティクスには以下のTPEが残っています。

  • トリスタン・トンプソンの約9.7億円(7/7に失効)
  • モーゼス・ブラウンの約5000万円(6/27に失効)
  • ケンバの約5億円(5/17に失効)
  • ジェフ・ティーグの約3700万円(2/22に失効)

参考サイト:NBA trade season primer: Ben Simmons, Collin Sexton and other players who’ll dictate the 2022 deadline/Celtics squander another opportunity with ‘smoked’ buckets, puzzling decisions and plain poor offense
サムネイル画像:Photo by Sarah Stier/Getty Images.mmons, Pexels