レイカーズ vs ナゲッツ
この2つのチームのカンファレンスファイナルまでの道のりがほんとうに対称的なので、まずはそこから。
ナゲッツは1stラウンドでジャズと対戦し、1-3の崖っぷちから逆転勝利。このシリーズのゲーム7は最後まで接戦でいい試合でした。
このマイク・コンリーのブザーショットが決まっていれば、すべてが変わっていました。ほんとプレーオフはほんの少しの差で勝敗が決まっちゃうので目が離せませんね。
Donovan Mitchell was Devastated Conley's shot didn't go down. pic.twitter.com/GNtFGNmXJU
— Alex 👋 (@Dubs408) September 2, 2020
その後、ナゲッツは2ndラウンドで優勝候補最有力のクリッパーズと対戦し、再び1-3の崖っぷちに。2シリーズ連続で1-3から逆転勝利をしたチームはないこと、相手が優勝候補だったこと、負け試合の内容が良くなかったことからナゲッツがシリーズを制するとは思っても見ませんでしたが、4-3でクリッパーズを下し、カンファレンスファイナルに進出しました。もうジャズシリーズがはるか遠い過去のような気がします。
そんなハードモードで2009年以来11年ぶりにウェスタン・カンファレンスの決勝に進出したナゲッツとは対称的なレイカーズ。
レイカーズの以来年ぶりのカンファレンスファイナルまでの道のりを振り返ると:
1stラウンドのブライザース戦で初戦を落としたものの、3-1と順調にシリーズをリードし、そのまま4-1で勝ち抜きました。
2ndラウンドではマイクロボールのロケッツと対戦。また初戦を落としましたが、その後は3-1とシリーズを優位に進めて4-1で勝ち抜きました。
レイカーズはあまり大きな障害もなく比較的順調に勝ち進んで来ましたね。さすがカンファレンス1位です。
そして、ついに9月18日(米時間)に、2シリーズ連続で1-3からの逆境から這い上がって来たナゲッツの道と、順調に勝ち上がってきたレイカーズの道がカンファレンスファイナルで交差します。NBAファイナルに進むことができるチームはどっちのチームになるのか。そのポイントをまとめました。
戦場はリム
レイカーズはナゲッツのウィークポイントであるゴール下の守備(=ヨキッチのリムプロテクション)を狙ってくるでしょう。
ナゲッツのリムプロテクションは65%で、プレーオフ16チーム中14位(ラストはやはりロケッツ)と弱いです。
またOPP PAINT PT(相手のペイントの得点)は44.4で、プレーオフ16チーム中13位になり、ここも良くありません。
そして、レイカーズが最も得意とするエリアはリストリクテッドエリアです。
アンソニー・デイヴィス、マギー、ハワードのセンター、そしてレブロンがいるので、その破壊力はプレーオフNo.1です。5FT以内でのFGAが31.5で、プレーオフ16チーム中1位です。
レイカーズはまるでナゲッツの天敵かのようですね。
ヨキッチのディフェンス
レイカーズのコーチのフランク・ヴォーゲルからも「ヨキッチは世界でも最もユニークなセンターポジションをプレーした選手のうちの1人だ」と言われたヨキッチ。運動能力はないですが、もちろんインサイドで点を取れ、スリーもあり、パスセンスがすばらしいため、オフェンスでは常に相手チームにプレッシャーをかけることができます。運動能力がなくてもゲームを支配することができるのは、ダークに通じるものがありますね。
しかし、ヨキッチのディフェンスはトップレベルとは言えません。ヨキッチの守備の悪さをまとめたYoutubeもあるくらいです。
ポイントは「縦」に弱いヨキッチが、どれだけADやジャヴェール、ハワードの「縦」を守れるのか?
もしヨキッチがファウルトラブルになったら?ナゲッツがこれに対してどう対応してくるのかもゲーム1の1Qの見どころになるかと思います。
そして、ヨキッチのディフェンスのウォークポイントはそこだけではありません。
「横」のディフェンスも弱いです。
ヨキッチではトラップできないし、スウィッチしてレイカーズのボールハンドラーにマッチアップする事ができません。そうなるとナゲッツは基本的にドロップカバレッジしかできない…
特に前半と後半のおわりはヨキッチはADとマッチアップします。その時に、ADとの1-on-1やレブロン&ADのPnRを止められるのか?
レイカーズのレブロンとADのPnRからのオフェンス。スウィッチできないのはツライ…
PNR LeBron-AD
Jokic plays a deep drop, Grant recovers (instead of late switch)
Monte Morris moves to rotate on AD's Pop
Caruso reads the situation and makes a great ghost cut👻
Smart play, we'll see more of this top PNR pic.twitter.com/aVVcgpDO8j— Francesco Nanni (@Franz_NanniBK) September 17, 2020
ここでポイントになるのが、レイカーズのスリーです。
レイカーズのスリーは35.9%とプレーオフのチームでも真ん中よりも下で、良いとは言えません。
だとしたら、ナゲッツはゾーンを敷くのが良さそうです。
ゾーンであれば、ヨキッチをADやPnRから守れると同時に、レブロンの侵攻も抑えられます。確率もリム>>>スリーなので、リムで点を確実に取られるリスクを取るよりも、スリーやジャンプショットは捨てていった方が良さそうです。比較的スリーが弱いと言われている選手たちが2人以上いる時に有効かもしれません(レギュラーシーズンでスリーが32.8%だったロンドはバブルに入ってからは44.4%ですが、続けられるでしょうか)。ぶっちゃけ、レイカーズ相手にADやレブロン以外で点をとられても仕方ないです。
この問題は、レイカーズはロケッツのゾーンをカットで攻略してきているので、どこまで通用するかですね。
あとは、とにかくADにボールを持たせてはいけないように、すぐにADにダブルに行くのではないでしょうか。
レイカーズのトランジション
ナゲッツはレイカーズのトランジションを止めらるか?
レイカーズは、トランジションはプレーオフで1位で結構走ってきます。もしナゲッツのスリーが入らなかったり、ターンオーバーをすると走られて簡単に点を取られてしまいます。ナゲッツは、ジャズとクリッパーズとトランジションは多くないチームと戦ってきましたのでその対応はまだ慣れていないと思いますが、なんとか抑えなければいけませんね。シリーズを戦うごとに精度があがっていけばいいですね。
マッチアップ
試合開始はストレートでクロスマッチはないのではないでしょうか。
・ジャヴェール ー ヨキッチ
・AD ー ミルサップ
・レブロン ー グラント
・グリーン ー ハリス
・KCP ー マレィ
レイカーズは、このプレーオフでバブルMVP/オールNBA2ndチームに選ばれたリラード、1stチームに選出されたハーデンと世界トップクラスのPGと戦ってきています。スターになったとはいえ、マレィはまだリラードやハーデンレベルではありません。レイカーズは対ロケッツでやっていた時間をかけたトラップと、すばらしいディフェンスのローテーションをそのままマレィにも使えてしまいます。
レイカーズのロケッツシリーズでのトラップ・デフェンスです。
This defense by the Lakers out of a Houston timeout was so good it had me standing up yelling at the television.
Lakers blanket the Harden DHO pull up (1), Kuzma tags Green denying the slip pass (2) and then closes out Covington (3) and force a bad pass.
Wonderful effort. pic.twitter.com/plTRJSjNIF
— Vinay Killawala (@vkillem) September 9, 2020
A nice late trap from the Lakers, just as Harden starts to get comfortable McGee comes running to trap and they get him in the corner. Almost didn't matter as Gordon was able to split the double team and just missed the layup. pic.twitter.com/kHtxCv3j7m
— Mo Dakhil (@MoDakhil_NBA) September 7, 2020
ただナゲッツがロケッツと大きく違うのは、ナゲッツはオフ・ザ・ボールで動くことです。トラップされてボールを手放したマレィはハーデンと違い、カットやカールしに行き、ヨキッチとの2マンゲームをしてくるのではないでしょうか。ナゲッツが勝つにはマレィの活躍が欠かせません。いいシリーズにするためにがんばって欲しい。
反対にヨキッチは2年連続DPOYのルーディー・ゴベアーとの戦いを制して?きました。レイカーズのADを含めたビックたちはヨキッチを止められるのでしょうか。ヨキッチは遅い相手には外にでてスリー、早い相手には時間をかけて多彩なフットワークとフローターなど(ダンク以外)で攻めて行きます。成長して自信をつけたヨキッチのオフェンスとADのディフェンスの対決は面白そうですね。
下は、ADのナゲッツに対するディフェンスをまとめたものです。
Let’s not forget AD can switch on that lil 2 man screen game Murray and Jokic got. Even as a big he is quick enough to defend Murray and obviously stay in front of Jokic. #Lakeshow pic.twitter.com/NsSNHgBINX
— Audel Del Toro (@AudelDelToro) September 16, 2020
こうしてみると、ロケッツシリーズで見せたすばらしいディフェンスと、ナゲッツのウィークポイントのリムを攻略できるオフェンスを持つレイカーズが有利に見えてきます。
ただ、ナゲッツはこのバブルでのプレーオフで戦うたびに進化して強くなるというマンガみたいな展開を経験しているチームです。
ジャマル・マレィはマックス・プレーヤーに相応しいエースに成長し、マイケル・ポーターの守備はウソみたいに改善され、ニコラ・ヨキッチのスリーが覚醒し、シリーズを勝ち進むごとに守備がよくなっていく…
今回もヨキッチがディフェンスに覚醒し、マレィがゾーンに入れば互角に戦えるかもしれません。
また、ウィル・バートンはマイアミでリハビリ中だそうです。今からバブルに入っても隔離4日ですし、たとえ復帰したとしても、ハリスのようにいきなり活躍することはないとは思いますが、奇跡を起こしてきたナゲッツだけにバートンの復帰をちょっと期待してしまいます。そうなれば点取り屋の助っ人が登場するという本当にマンガの展開ですね 笑。
サムネイル画像:Photo by Jayne Kamin-Oncea / Getty Images