ゴードン・ヘイワードが約34.2億円のプレーヤー・オプションを取り下げて、ホーネッツと4年で約120億円の契約をして、NBA界隈を震撼させました。実際は、サイン&トレードですが,,,
セルティクス
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] 条件付き2ndラウンドピック
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] (TPE:約28.5億円 ー NBA史上最高額)
ホーネッツ
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] ゴードン・ヘイワード(約27.9億円)
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] 2ndラウンドピック × 2
なぜこのホーネッツが驚かれているのでしょうか?理由は3つあります。
A:前年はその片鱗を見せていましたが、手をケガしてしまい、バブルでも足首をケガをし、誰もケガから開けて全快したヘイワードを観ていない。買い手がいないため、FAにはならないと思われていた。
B:ペイサーズからのマイルス・ターナーとのサイン&トレードオファーの噂があった。セルティクスは契約が残り年残っているターナーで必要と言われているセンターの補強ができる。
C:選手に払いすぎることにホーネッツはニック・バトゥームで懲りていたはずだから
Cは冗談としても、Bに関しては、ウィン=ウィンの関係が成立していたため、セルティクスとペイサーズのトレードが成立するものだと思われていました。
セルティクス
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] マイルス・ターナー(約18億円)
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] ダグ・マクダーモット(約7.3億円)
ペイサーズ
[icon name=”arrow-right” class=”” unprefixed_class=””] ゴードン・ヘイワード(推定約25億円)
A:ヘイワードのケガ
ヘイワードのセルティクス時代はずっとケガをしていたと言っても言い過ぎではないでしょう。2017年にセルティクスに移籍してからすぐに足首の骨折をし、復帰したものの調子はあがらりませんでしたが、昨シーズンバブルでシーズン中断前にやっとジャズ時代のヘイワードを垣間見れました。しかし、バブルでは足首を捻挫してしまい、片足でプレーしていたと言われています。
そんなヘイワードも30歳です。ケガも多く、もうオールスターだったジャズ時代のヘイワードには戻れないと見られていました。
そんなヘイワードに年約20億円の契約でも大きいと言う人もいるくらいです。しかもそれが4年続くとなると拒否反応を起こす人たちもいます。
逆を言えば、ヘイワードからすればいつケガで選手生命が終わるのかもわからないため、約34.2億円の契約を捨てても、大型長期契約を選ぶ予定だったのではないかと思います。今シーズンまたケガをしてしまえば、来シーズンのFAでフルMLEくらいにまで落ち込んでしまい、トータルで考えたら損をしてしまうかもしれません。
ESPNのザック・ロウによると、ペイサーズのオファーは約100~110億円と言われており、いずれにしてもヘイワードがFAになってセルティクスを去るのは避けられなかったでしょう。
B:ペイサーズとのトレード
ペイサーズのトレード・オファーは以下のような理由で、セルティクスにとっても魅力的なはずでした。
・セルティクスにはビックが必要。Cのタイスもファウルが多く、リムプロテクションが得意な訳ではありません。かと言って、スリーもない。その点、マイルス・ターナーはスリーもありブロックもできます。
・セルティクスはキャップを超えているので、約34.5億円のヘイワードが抜けた場合は、エクセプションしか使えません。フルMLEで約9億円なので、さすがにヘイワードの変わりになるような選手は見つけられないでしょう。
・セルティクスはマックスを払ったヘイワードの見返りなしに失ってしまうリスクがある。これもキャップと関係していますが、例えヘイワードがいなくなっても、セルティクスにキャップスペースは残らないので、FAで気に入ったフリーエージェントと契約ができる訳ではありません。
そのため、NBAチームはバードライツがある選手に対しては、ある程度の大きな契約になることを容認せざるを得ません。
例えば、クリッパーズはマーカス・モリスに4年で約64億円、ネッツは、ジョッシュ・ハリスに4年で約75億円、ウィザースはダヴィス・バータンスに5年で約80億円、ウルブスは、マリック・ビーズリーに4年で約60億円等、バーズライツがある選手と大きな金額を支払っています。
なぜ、セルティクスはこのオファーを受け取らなかったのでしょうか。
ESPNのザック・ロウによると、
彼らはターナーのトレード価値を調べたところ、約18億円の契約は良い反応を得られなかったそうです。
また、SNYのイアン・ベグリーによると、セルティクスはTJ・ワーレン(約11.7億円)とアーロン・ホリデー(約2.3億円)を欲しがっていたとの事です。ペイサーズはワーレンを中心選手として見ており、ホリデーは若い有望なガードなのでトレードしたくはなかったとの事。
そして、このトレードが白紙になった代わりに、セルティクスはトリスタン・トンプソンと2年で約19億円で契約しました(フルMLE)。
これには疑問が残ります。トリスタン・トンプソンはダニエル・タイスよりも良い選手でしょうか?オフェンスもシュートはなく、今では昔のようにガードにスウィッチしてペリメーターを守れないような気もします。唯一タイスに明らかに優っている点は、ファウルトラブルにならない事だけではないでしょうか。その彼にフルでMLEを使うのは微妙だと思います。
しかも控えのCのウィリアムスも同じようなタイプの選手で、似たようなCが3人になり、バランスも良くありません。
それならスリーのあるターナーの方がはるかに良いです。2年前のターナーは3が38.8%でした。昨年は34.4%に落ち込みましたが、スリーがあるのは確実で、ケンバやテイタムにアタックするスペースを与えられます。
また、このディールがあった時にはケンバの膝の状態もわかっていたはずなので、控えのPGにお金を使っても良かったのではないでしょうか。
セルティクスの懐事情
大概このような理解ができない動きには金が絡んでいる事が多いのがNBA。
セルティクスの動きに金が関係していたのか見てみるために、セルティクスのサラリーキャップをペイサーズにヘイワードをトレードした場合と、しなかった現在の場合を比較してみます。
ヘイワードをトレードした場合のセルティクス:約128.7億円 (14人)
現在→ヘイワード後のセルティクス:約115億円(14人)
約13億円の違いですね… 今シーズンはタックスに入ってはいないので、お金の問題とは言い切れません。微妙なところです。
では、続いて来シーズンのキャップを見てみましょう。
ヘイワードをトレードした場合の来年度のセルティクス:約129.8億円 (8人)
チームオプションのラングフォード、G・ウィリアムス、R・ウィリアムスを含めると、約139.8億円(11人)で、タックスの約136.6億円を超えてきます。
今のままだと、約133.6億円(11人)で、チーム・オプションをなんとかすればギリタックスを躱せるラインまで落とせます。
このキャップの動きを見る限り、ヘイワードをペイサーズとトレードしなかったのは、来年からテイタムのマックスで膨れ上がるキャップがタックスを超えないための動きである可能性が高いです。
ターナーを得てキャップがガチガチになって自由度を失うよりも、ホーネッツとのサイン&トレードで得られるTPEの方を選べば、シーズン中にタックスを考えながらフレクシブルにお金を使うことができますし、来年も残りを自由に使えます。例えば、ケンバの膝の様子をみながらタックスぎりぎりまでTPEを使ってバックアップPGやウィングを補強し、残りをオフシーズンのFAで使うこともできます。あるいは、今シーズン後半優勝を狙えると見れば、フルで使ってタックスに入ってもいいでしょう。このキャップの自由度がセルティクスの狙いだったのではないでしょうか。
とは言え、気になるのが約28.5億円のTPEの使い道。今のセルティクスの財政状況だとフルで使うのは厳しいのはわかっていますが、約28.5億円で誰が獲得できるのか調べてみました。
その場合、来年のタックスを躱すために今年で契約が切れる選手たちがターゲットになりそうです。候補としては…
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] デマー・デローザン(約27.7億円)[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] スティーヴン・アダムス(約27.5億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ルーディー・ゴベアー(約25.7億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ラマーカス・オルドリッチ(約24億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ヴィクター・オラディポ(約21億円)
来年であれば次の契約が最後の選手たちも狙えます…
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ザック・ラヴィーン(約19.5億円)[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ジュリアス・ランドル(約19.8億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] アーロン・ゴードン(約18.1億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] サデヤス・ヤング(約14.1億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ナーキッチ(約12億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ロバート・カヴィントン(約12.9億円)
[icon name=”stop” class=”” unprefixed_class=””] ジョナサン・アイザック(約9.8億円)
アル・ホーフォードも約27.5~26.5億円のレンジなので、引き取れちゃいますね!
ホーフォードを引き取るなら、ドラフトピックの1巡目ももらえるかもしれません。
ホーネッツ
なぜホーネッツは30歳のゴードン・ヘイワードに4年で約120億円も出したのでしょうか?しかもキャップスペースでヘイワードと契約するために、ニック・バトゥームをウェイブし、彼のサラリーを約9億円3年にかけてストレッチすることでスペースをこじ開けました。
あげられている理由をいくつか紹介します。
[icon name=”square” class=”” unprefixed_class=””] ドラフトでラメロ・ボールを指名できなければ、ロケッツの約130億円のラッセル・ウェストブルックとのトレードする気でいたので、そのままオールスターレベルになれるスター選手を狙った。 [icon name=”square” class=”” unprefixed_class=””] ホーネッツは来年もFAの行き先ではないので、オールスターレベルになれる選手獲得のチャンスだった。 [icon name=”square” class=”” unprefixed_class=””] ジョーダンは負けにうんざりしているなどいろいろあるようです。
今年はホーネッツとピストンズで、優勝候補ではないチームがキャップをあけようとしてストレッチを行いました。ストレッチは優勝候補が優勝を狙うために、直近(特に今シーズンの)のキャップをこじ開けて選手を補強する目的で使われますが、今年はちがった流れがきています。
このようにオーソドックスではないアプローチをしてまでヘイワードを獲得したのは、ジョーダンが負けにうんざりしていて、なんとか競争力があるチームを持ちたがっているのではないかと思います。
バトゥーム・ストレッチの約9億円(フルMLE相当)もグラハム、ワシントンの契約延長時に影響がないといいですね。なにせ、ジョーダンは生涯サラリーが約97.3億円にも関わらず、ヘイワードにそれを4年で超えてしまう約120億円を払うのですから。
Michael Jordan really paid Gordon Hayward $22.7 Million more than he made in his playing days (contracts) 😂
Yes, inflation and time has made this happen, but it’s still crazy when the numbers are laid out 😳 pic.twitter.com/HELpAhz5hY
— NBA Buzz (@OfficialNBABuzz) November 24, 2020
*$1 = ¥100換算
参考サイト:Lowe: Celtics, Pacers offered Hayward $100m+ deals; not into Turner
サムネイル画像:Photo by Jacob Kupferman/Getty Images