ウォリアーズ:スティーヴ・カー インタビュー

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ウォリアーズのヘッドコーチのスティーヴ・カーが、The Athleticのティム・カワカミのインタビューを受けて、今シーズンのローテーションやカリーのプレー時間のこと等を話していたのでまとめてみました。

話した内容は大きく分けると次のようになります。

ディフェンス
センターのローテーション
ロールプレーヤーについて
カリーのプレー時間

 

ウォリアーズのディフェンス

現在ウォリアーズのDefRtgは108.5でリーグ4位(2/25)ですが、カーはどう思っているのでしょうか。

「私たちは最初の4試合はビリッケツだったが、ドレイモンドが帰って来てから変わった。今は10位にも行っていないように感じる」

このように、カーにとってディフェンスにはまだ納得がいっていないようです。カーの指摘するウォリアーズの問題は、無意味なファウルが多すぎるのと、リバウンドがとれないことです。ファウルは22.3/試合で今シーズンでリーグ最下位で、相手のFTAは26.3FT/試合は29位。リバウンドはルーニーがいる時でも悪く、リバウンド・ディファレンシャルはリーグで-4.5/試合でリーグ最下位です(2/18)。

リバウンドがとれなければ、相手のセカンドチャンスの得点が増え、得点が増えれば相手がカリーを止めるためセットディフェンスに持ち込まれ、得点の確率が悪くなるハーフコート・オフェンスをしなければいけません。同じように、FTの後にはセットディフェンスが待ち構えています。KDやクレイ等のシューターがいなくなった上に、ショットをクリエイトできる選手がカリー以外にいないため、リバウンドをとって走ってトランジション・オフェンスで楽に点を取りたいのではないでしょうか。

カー:「ファウルとリバウンドの2つをどうにか良くすれば、私たちは素晴らしいディフェンシブチームだと感じられるかもしれない」

 

センターのローテーション

ウォリアーズは、前半と後半の最後をドレイモンド・グリーンを5にしたスモールラインアップにナリ、ペースとルックを変えます。これは今後も変わらないでしょう。そしてドラフト2位で指名したワイズマンがベンチに入って、ルーニーがスターターにまわりました。ウォリアーズにはワイズマンがプレーできる十分な時間はあるのでしょうか。

カー:「どのコンビネーションが機能するのを見極めるのに15~16試合くらいかかったと思う。ジェームズの代わりにルーニーをスタートさせて、ローテーションのパターンを変えたのもその頃だ」

「ジェームズが1Qの途中からベンチスタートするのは完全にメイクセンスだと思う… 私たちはジェームズをできるだけプレーさせてデベロップしていく。この先、どれだけ私たちが彼を必要とするか知っている]

今、ワイズマンは1Qと3Qの途中から出場しています。

また、ワイズマンはディフェンスに影響していたそうです。ルーキーで高校からなので、プロのバスケでディフェンスミスをするのは当たり前ですよね。だからと言ってワイズマンを諦めているわけではなさそうです。

カーは、GMのマイヤーズとも話をしているそうですが、今シーズンのウォリアーズの狙いは、コンペティティブでプレーオフチームになると同時に、将来必要なワイズマンをデベロップしていくことだそうです。

カー:「最初から私たちが言っていたのは、できるだけ勝つこととワイズマンのデベロップの2つを両立していく、できない理由はないだろう?ということだった。プレーオフチームになって、できる限りコンペティティブになって、ジェームズをデベロップしていこう、なぜなら彼にはその2つを同時にしていくのに足る才能がある」

ルーキーの開発には失敗がつきものなので、1勝がプレーオフ進出に大きく左右しますが、ウォリアーズは恐れずにそれを同時にしようとしているようです。カーは、どのラインアップならワイズマンは活かせるか、彼を成長できるのかも忍耐強く試していくそうです。

カー:「ワイズマンがスターティングラインアップに入っていた最初の16~17試合では明らかにうまくハマっていなかった。それで質問は、交代か?私にとってプレーオフチームになりたければ、私たちは何よりもディフェンスで良くならなければいけないことだった。ベストなディフェンシブ・ラインアップはジェームズの代わりにルーニーを入れることだった。長くいるので当然だが、ルーニーはすべてのカバレッジ、アングルもニュアンスも理解していてコミュニケーションもできる。だから、私の中では、ベスト・ディフェンシブ・ラインアップに変えるか、ケリーを出してジェームズをキープするかのどちらかだった」

ウーブレは相手のベストプレーヤーを引き受けるので、ウーブレをさげるのはディフェンスが良くなりません。カーにとって、ワイズマンをベンチに下げるのは簡単な選択だったそうです。

今ウォリアーズのビックには、グリーン、ワイズマン、ルーニー、エリック・パスカル、ホアン・トスカノ=アンダーソン(以下JTA)の5人がいます。結局前半と後半の最後にスモールに変化することを考えると、少ない時間と役割には5人は多すぎるので、これからカーがローテーションをどうしていくか注目されます。

 

ロールプレーヤーについて:ウーブレ/JTA/ワナメイカー

ウーブレは1Qと3Qでカリーとグリーンと一緒にプレーすることが多くなりました。最初はウーブレはセカンドチームとプレーするために早めにペンチへ戻っていたのですが、その役割をウィギンスと変えたようです。

カー:「それがベストコンビネーションだと思う。毎日もらっているアナリティクス・レポートでもそう言っているし、それが私の直感でもあった。それが変わることはない」

ケリーのスランプについては…

カー:「ケリーには実績がある。彼は去年サンズでスリーを35%決めていた。この数年彼はとても良いオフェンシブ・プレーヤーだった。それらはNBAシーズン中に返ってくる傾向にあるし、シューティングスランプから抜け出したかもしれなくて、彼はとても良く多くのことをしてくれている」

 

また、カーはJTAのバスケットボールIQを気に入っているようです。

カー:「だからホアンは多くプレーしているんだ。私は彼のことをミニ・ドレイモンドと呼んでいる。彼はゲームのフィールが良く、カリーのオフボールの動きのパワーを知り、うまいスクリーンをセットし、スリップするタイミングを理解している…彼はドレイモンドとクォーターバック/ワイドレシーバーのような完璧なルート取りと絶妙なパスのコンビネーションをする。カットをする前からパスを投げるんだ。選手はそれを感じなければいいけないが、多くの選手はそれができない」

 

カー:「ホアンのほかのことについては、彼は誰でも守る。私たちはネッツ戦で彼をケヴィン・デュラントに当てた…次の試合では彼を彼らのリーディング・スコアラーのコリン・セクストンに当てた。だからホアンはとても価値がある。彼はディフェンスではヴァーセティリティーがあり、オフェンスではフィール、カットやスクリーンなどでショットを生み出せるので、ドレイモンドのように勝利にインパクトを与えている。」

JTAは2Way契約ですが、NBA契約にコンバーションするのか気になるところです。

 

カーはスリーが22.2%と調子も良くないブラッド・ワナメイカーも信頼しているようです。

カー:「私が毎晩ブラッドを試合に入れるのに心配をしていない理由は、彼はディフェンスがとても強く、スウィッチできて、フィジカルが強いので大きな選手も守れるからだ。そして彼を私たちのオフェンスをはじめてくれる。ボールに対しては手堅く、ターンオーバーしないし、アシスト・トゥー・ターンオーバー・レイショはとても良い」

カー:「そして、彼が今年苦しんでいるのは点を取ることだけだ。それは大きな問題なんだと気づいたが、彼は良いシューターだ。彼は去年フリースローでNBAトップだった。彼はシーズン中にショットを決められるようになる。私はたまに彼と一緒にフィルムを見て、気づいたことを指摘するが、それは簡単なこではない」

そして、カーは彼のおかれているむずかしい状況もよく理解しています。

カー:「彼は私が(選手だった時に)長い間勤めてきた役割を担っている。そこでは12分で4ショットしか撃てなくて、世界の運命がひとつひとつのショットにかかっているかのような悲惨な状況だ。もし1-4だったら、次の12分で3ショットまであと48時間待たなければいけない。それがむずかしいところだ」

カーはシュートのスランプには忍耐強いそうです。

「基本的に、私はとても忍耐強い人間だ。たくさんのスランプを経験した元選手としては、苦しんでいた時に忍耐を見せてくれたコーチを本当に評価する。コーチの鍵はミスショットにガマン強くいることだと思う。だけどボックスアウトのミスにはガマンしてはいけない」

「みんながショットをミスする。カリーですら時として入らない時もある,,, だから忍耐づよくいなくてはいけないし、みんなには自信を与えなくてはいけない。でもボックスアウトをミスしたり、トランジション・バスケットを許したり、トランジション・ランで遅れたり、意味なくファウルしたりすることには忍耐はしていられない。なぜならそれが生死を分けるからだ。そしてそういう時に私はクリップボードを叩き壊すんだ。そんな時に我を失うんだ」

 

カリーのプレー時間

カーはカリーを早く投入ぜずに数点差で負けた試合の後、「勝利を追わない」と発言し批判を受けていました。カーはインタビューの中で、その発言の意図を説明しています。

カー:「私が言おうとしたことは、このようなシーズンで勝つためにカリーを40分以上プレーはさせないということだ。私たちは未来を見ている。私たちはこの数年でまたこのチームが優勝チームになれると思っている。そうなるかは見てみよう。それが私たちがやろうとしていることだ。だから、そのために今シーズン自制してカリーをフレッシュに保ち、彼の時間を34~35分にしていくということであれば、それはもちろんその価値がある。今年数試合勝ち星を集めるためにカリーを疲弊させるよりもだ」

カーは2015-16シーズンで73勝した時にカリーを酷使し過ぎてファンから批判を受けていて、何をしても批判されるのでそれは受け止めると言いました。

カー:「私は自分が正しいと思っていることをする」

 

カーの発言から推測できることはことは3つあります。

カーは今シーズン、プレーオフに出れなくても首にはならない。

長期的な視点でチームを見ているということは、これからのことをオーナーも含めたフロントと話をしているということですね。カーはジェイコブやマイヤーズからワイズマンやチームの成長に信頼をおかれているのだと思います。

ウォリアーズは、今シーズン(カリーのプライム中に)優勝を狙うために、ワイズマンもウルブスのドラフト指名権もトレードしない。未来のためにワイズマンの成長とデベロップに賭けている。

長期的なタイムラインを引いていそうなので、たとえ勝率が5分だからと言って、優勝を狙ってのブロックバスタートレードはしないでしょうし、ウルブスの指名権もトレードしないでしょう。

また、守備が良くなったので、そのアイデンティティーの要のウィングであるウーブレもトレードしないと思います。何かするのであれば、クレイの約9.3億円のDPEを使うことになるでしょう。このDPEは4/19に切れます。

DPE補強候補としては、PJ・タッカー、ネマニャ・ビェリッツァ、ルー・ウィリアムス、トレイ・ライルスではないかと言われています。

 

ウォリアーズの最大の問題は、MVPシーズンだった2015-16シーズンと同じような数字を出しているカリーがいるにも関わらず、オフェンスが19位ということです。明らかに火力が足りていません。カリーが下がった時の得点をどうするかが課題でもあり、どうしていくのかも見どころです。

また、あのジョーダン・プールがガブルで爆発しているそうです。リーディングスコアラー3位。

 

またガブルから帰ってきたら、ローテーションに絡んでくるかもしれません。

 

  さいごに、今シーズンは優勝ではなくプレーオフを狙っている。

カーがここまでハッキリと優勝すると思っていないと発言したことに驚きました。カリーやグリーンとは意見が違うでしょうが、それがチームの方針だと思われます。GMのボブ・マイヤースとも毎日話をしているようなので、フロントも同じことを考えているのでしょう。

このようなシーズンで勝つためにカリーを40分以上プレーはさせないということだ。私たちは未来を見ている。私たちはこの数年でまたこのチームが優勝チームになれると思っている

優勝できなそうな今シーズン、カリーを無理に消耗させることはなさそうです。とはいえ、プレーオフ争いはいつにもなく厳しく、シーズンが進むにつれ、1勝の重みが大きくなっています。今でさえ、カリーを連戦でプレーさせたりして酷使しすぎかもしれないので、だからこそプレー時間は35分に制限していくのではないでしょうか。

これから先、目の前にある1勝を狙っていくのか、本当にカリーを温存してなるべく健康にしていくのか、どうするのかも見どころだと思います。もし、勝ちをとりに行くようなローテーションをするようであれば、それは「プレーオフに行け」との上からの指示があったと見ていいのではないでしょうか。

オーナーとしては、コロナ後のビジネス的にもプレーオフは行っておきたいところでしょう。

その頃にはちょっとでも観客が戻るかもしれない
チケットホルダーたちやファンに来シーズンの期待をもたせる

選手の健康、若手の成長、プレーオフ進出あたりが今シーズン後半のウォリアーズのテーマになっていきそうです。


参考Podcast:TK Show
サムネイル画像:Photo by AP/Carlos Osorio