マジックにトレード要求をしていたアーロン・ゴードンにはウルブス、ロケッツ、セルティクス、ブレイザース、ナゲッツらが興味を示していましたが、最終的にはナゲッツがゴードン獲得に成功しました。マジックは、若い選手と1巡目指名権がゴードン・トレードの最低ラインだったのではないでしょうか。
ブレイザースにはトレードできる1巡目指名権がなく、セルティクスには1巡目指名権はありますが、有望な若い選手がいません。R・ウィリアムスがいますが、マジックにはビックが揃っている+1巡目指名権を2つは出せないので、うまく調整がつかなかったのかもしれません。最もバランスがとれていたナゲッツのオファーがマジックにとっていちばん良かったと思われます。おそらく優勝候補に行きたいという本人の意思も影響しているでしょう。
トレードの詳細です。
ナゲッツ獲得:
・アーロン・ゴードン(約18.1億円)
マジック獲得:
・ゲーリー・ハリス(約19.1億円)
・RJ・ハンプトン(約2.1億円)
・2025年の1巡目指名権(プロテクション不明)
アーロン・ゴードンはダンクで良く知られていますが、スリーも今年は37%以上で、パスもあり、オフボールの動きもあります。そして、もっとも素晴らしいのは1~4.5を守れることです。ナゲッツのデビュー戦でホークスのトレ・ヤングにスウィッチした時も良く守っていました。
オフェンスはリーグ3位ですが、ディフェンスは19位なので、ディフェンスを強化できる選手を探していたようです。オフシーズンにジェラミ・グラントを失ったため、相手ウィングを守れる選手がいませんでした。ゴードンは、レブロンやカワイ・レナード、ルカのようなウェストのトップレベルのウィングにマッチアップできて、更にファイナルまで行けば、イーストのケヴィン・デュラント、ヤニス、ベン・シモンズやテイタムにもマッチアップできます。
更にオフェンスではカットがうまく、オフボールで動いてヨキッチからパスをもらうなど、新しいチームにシームレスにフィットしていました。マジックではパスがなかったので、ヨキッチやマリーのようなPGとプレーするのは楽しそうでした。
Yeah…
We could get used to seeing this. pic.twitter.com/B2HuLURPGl
— Denver Nuggets (@nuggets) March 29, 2021
ゴードンがナゲッツでのはじめての試合について聞かれ:「すごく楽しかった。プレースタイルはアメイジングだ」
オフェンスではヨキッチ、マリー、MPJの次あたりの序列になると思いますが、それも問題もなさそうです。
ヨキッチもゴードンを讃えています:「重要なことでベストなことは、彼が役割を受け入れていることだ。彼はなぜここへ来たかを知っている。彼は何ができるかわかっている」
今シーズンのトレードでハーデンの次くらいにインパクトのあるトレードだと思います。
AIR GORDON pic.twitter.com/Xrfhc5dV6K
— Denver Nuggets (@nuggets) March 29, 2021
ナゲッツのアセットワークも素晴らしく、オフシーズンのジュルー・ホリデーを巡る4チーム間のトレード(バックス、ペリカンズ、サンダー、ナゲッツ)に入り込み、2023年の1巡目指名権を24位指名のRJ・ハンプトンに変えました。このトレードがなければ、ゴードンを獲得できなかったかもしれません。
ちなみに、ゴードンがなぜ「50」を選んだかと言うと… どうやらブランディングの一環のようです。
アーロン・ゴードンが「50」を選んだのは、それが彼のダンクコンテストの得点だったが、勝てなかった事実があったからだ。「Mr.50」というドキュメンタリーもつくっている https://t.co/kdP1Pqvswr
— NBA Reporter (@NBA_Reporterjp) March 29, 2021
また、ナゲッツはヨキッチのバックアップ・センターを補強しました。
ナゲッツ獲得:
・ジャヴェル・マギー(約4.2億円)→グラントのトレードでつくったTPEで吸収。
キャブス獲得:
・アイゼィア・ハーテンステイン(1.6億円)
・2023年の2巡目指名権(トップ46プロテクション)と2027年の2巡目指名権(プロテクションなし)
これで、縦のスペースに弱かったナゲッツのリムまわりの守備も強化されました。セカンドチームは安定した守備ができるミルサップも、スリーがありストレッチ4もできるジャマイカル・グリーンやナジもいるのでフロントラインはかなり充実しています(ボルボルもいます)。ドラモンド、アンソニー・デイヴィス、マーク・ガソルのいるレイカーズにもマッチアップできるようになってきたのではないでしょうか。ナゲッツのビックのローテーションに注目です。
ナゲッツはこのトレードで、スモール・ボールもでき(オール・スウィッチ、ヨキッチなし)、スペースも縦横に増え、全体的にモダンなチームになった印象です。ただ、ヨキッチがゲームをクローズするのは間違いないので、ゴードンの守備とこれからのMPJの守備の成長に期待です。
ナゲッツのこれから
これでナゲッツのサラリーは15人で約128.2億円になりました。来シーズンは13人で約127億円。すでにキャップを超えているので、前述したグラントのTPEの約5.3億円(オフシーズンに切れます)、ハーテンステインのトレードでつくったTPEの約1.6億円、それにMLEでの補強が可能です。タックスまで約9.2億円。
ナゲッツのオーナーはタックスを払わないことで有名なので、そのすべてを使うことはないとは思います。
最後のチャンスは2022年になり、現時点で約31億円のキャップルームがあります。7~9年選手とマックス契約はできませんが、それに近い金額をオファーすることが可能です。それからバードライツを使って、FAのゴードン、バートンと契約し、RFAのMPJとカンパッツォとうまく契約できれば、かなりのチームになりそうです。 すいません、キャップホールドの計算をまちがってサラリーを計算していました。キャップホールドは、ゴードンが約24.6億円、バートンが約22億円です。なので、正しくは、「全員とバードライツを使って契約する」です。キャップルームは誰かの権利を手放さない限り生まれません…
ヨキッチ、マリー、ゴードン、MPJ、バートン、カンパッツォ、モリスをキープする場合、この7人約140億円になり、ほぼタックスラインです。… 優勝争いには入れそうですし、少なくてもエンターテイメントなチームなのまちがいなし!
その代わり、タックスは爆発してしまいますが、MVP級の活躍をしているヨキッチのプライムを犠牲にせずに、使うべき時にお金をつかって優勝を目指して欲しいです。
サムネイル画像:Photo by Garrett Ellwood/NBAE via Getty Images