ダラス・マーヴェリックスの問題

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マブスのプレジデント/GMのドニー・ネルソンが解雇され、ヘッドコーチのリック・カーライルも辞任しました。影のGM、ルカ、KP… マブスになにが起きていたのかまとめました。

影のGM、ヴォルガリス問題:

ハララボス・ヴォルガリスは2018年にマーク・キューバンに「ディレクター・オブ・クォンティアティブ・リサーチ(定量分析)とデベロップメント」の役職で雇われました。キューバンはドットコム・バブルで財をなしただけあり、AIやブロックチェーンなどの最先端技術が好きで、ヴォルガリスをスポーツギャンブラーとして成功させたデータを駆使したゲームの見方を気に入っていたそうです。

また、キューバンは、洞察力が深くて数字やデータに長けている人が好きだそうで、ヴォルガリスはその条件を満たしていました。このようにしてキューバンに気に入られたヴォルガリスの影響力は次第に増していきます。そしてヴォルガリスはリサーチャーであるにも関わらず、ドラフト指名や試合のスターティング・ラインアップやローテーションにまで口を出すようになるのです。

マブスの最大の問題はマーク・キューバンがすべての決定権を握っていることです。そのため、最高権力者のキューバンが「誰の話を聞くか」が重要になり、例えそれがスカウトだろうかアナリストだろうがGMだろうが、キューバンの「耳」を勝ち取った人間がNo.2になってしまうのです。そのため、マブスのプレジデントやGMはキューバンの秘書と言われていたりしています。

キューバンはあまり組織内の人間関係など気にならないのか、カルチャーづくりに興味がないのか、ずっとこのような規律のないスタイルです。2018年に20年にも及ぶ球団内のセクハラが発覚し、NBAからも処罰を受け球団組織改革をしたのも記憶にあたらしいところです。

その時、キューバンはセクハラ/パワハラカルチャーについて「知らなかった」と言っていました。

このように、球団内はキューバンさえ良ければ何でもできる風潮が続いています。ヴォルガリスが、球団トップであるプレジデントのドニー・ネルソンをすっ飛ばしてマブスの「影のGM」になる下地は十分にあったのです。

そして、ヴォルガリスは政治的な動きをするだけではなく、尊大な態度で人の感情を逆撫でしてしまうタイプだったため、フロントだけではなく選手たちからも嫌われていきました。

(ボブ・ヴォルガリス Graphic by SI)

ヴォルガリスがマブスで何をしたのかの前に、彼がどういった人物なのか少しだけ掘り下げてみたいと思います。

2013年にヴォルガリスはチームを運営する思いを恥ずかしげもなく人に語っていたそうです。

ヴォルガリス:「このギャンブルでの成功で、私は全員とは言わないがほとんどのGMよりもよいチームをつくれると信じている」

2000年はじめにスポーツ賭博で数億円稼ぎ、あるコーチ(エディー・ジョーダン、ジェリー・スローン、バイロン・スコットのゲームマネジメンリが本能的に読めると言っていたそうです。しかし、2003-04シーズンでが破産寸前まで追い込まれ、一時ギャンブルを辞めます。

その後、新たなアナリティクスモデルをつくりあげ、再びギャンブルでのし上がります。そのプログラムの精度はオッズの5%よりも上回っていたそうです。数字の才能はかなりあるのでしょう。キューバンが好きそうですね。

そして、2009年に再びギャンブルを辞めて、あるNBA球団のコンサルをはじめます。それを1シーズンやった後、またギャンブルに戻ります。

スポーツ賭博の他にも、ポーカーのプレーヤーとしても知られています。

(ポーカーの大会に出場しているヴォルガレス)

話をマブスのヴォルガリスに戻します。

キューバンがヴォルガリスに好き勝手やらせていたせいもあり、ヴォルガリスはマブスに雇われた2年目のオフシーズンにはすでに影のGMになっていました。オフシーズンでは、ヴォルガリスがセス・カリーとデロン・ライトを得るようにキューバンを説得し、マブスは2人を獲得します。そして、ヴォルガリスはルカと一緒にライトをスタートさせるべきだと主張しました。そのためなんとライトは開幕戦でスタートします。それから先はずっとベンチでプレーオフではほとんど出場できずにトレードされました。この辺りの選手の扱い方も、政治的な香りがしてきます。ヴォルガリスの口出しに、ヘッドコーチのカーライルが反発したのも感じられます。

また、ネルソンが動いたクリスタプス・ポージンギスとティム・ハーダウェイ、ジョッシュ・リチャードソン、JJ・レディックのトレードも、ヴォルガリスが許可を出したようです。

そして、ヴォルガリスの影響はドラフトにまで及んで来ます。去年のドラフトは、コロナのパンデミック中だったため、ほとんどのスカウトがZoomで参加していました。しかし、ヴォルガリスは実際にウォールームに来てドラフトに参加し、彼らの意見を聞かずのジョッシュ・グリーンとティレル・テリーを指名したそうです。フロント内にいるあるソースは、このようなひどい例をあげ「非常に恥ずかしいことだ」と説明しました。

ソース:「どうやってヴォルガリスはマークに信じさせたんだ?誰にもわからない」

ヴォルガリスとネルソン

ヴォルガリスの影響力が大きくなるに従って、トレード交渉にも影響していきます。トップのネルソンに確認せずに勝手に自分の意見を他のチームのエグゼクティブたちに話してしまうのです。マヴスとトレード交渉をした他球団のフロントは、ネルソンはあることを言い、ヴォルガリスは違うことを言うため、マブスと交渉をすると混乱するそうです。他チームからすれば2人のGMがいるようなものです。しかし、ヴォルガリスの方がキューバンの「耳」を持っているので、他チームやエージェントはヴォルガリスの話を良く聞くようになります。これはネルソンからすれば自分が信用を失って見えているため、ヴォルガリスは一線を超えたと感じていたようです。

(マーク・キューバンとドニー・ネルソン)

ドニー・ネルソンは「キューバンの秘書」と言われながらも、実はかなりチームにとっては大切な存在でした。特にキューバンはエージェントを怒らせてきているので、エージェントとの良い関係を保つためにネルソンの存在は大きかったようです。

球団は大きなクライアントを抱えているエージェントやエージェンシーと問題を起こすとトレード合戦やFAで不利になります。選手がマブスに行きたいと言うなら問題ないでしょうが、嫌われてしまうと優先順位を落とされます。コミュニケーションが出来ていなければ、タンパリングも不利になります。

しかし、マブスはNBAでもトップ10エージェントに入るビル・ダフィーと揉めごとを起こし続けています。キューバンがナッシュのFAの時にエージェントのダフィーを責めた時も、ダフィーのクライアントのロンドとも問題を起こした時も、ネルソンが間に入って関係を修復していたと言われています。そして、ダフィーの今いちばん輝いているクライアントがルカです。

また、ネルソンはルカが14歳のころからスカウトしていてルカと信頼関係を築いていました。ルカはネルソンを気に入っていて、故郷のスロベニアでネルソンが球団を去ることを知ったルカは残念そうでした。

ネルソンがいなくなり、少なくとも、ダフィーはこの夏にルカの契約延長で4年+プレーヤー・オプションのマックスを猛プッシュしてくると思います。他にもマブスに忖度することなく、他の要求も突きつけてくるかもしれません(例えば、ダフィーのクライアントのショッシュ・リチャードソンの契約に関してのことなど)。ひょっとして、カーライルの辞任もこの辺りからプレッシャーをかけられたのかもしれません。ネルソンが解雇になり、マブスとダフィーとルカの関係はどうなっていくのでしょうか。

キューバン:「マブスに影のGMがいるというのはバカバカしい話だ」

(ビル・ダフィーとクライアントのナッシュとヤオ・ミン Photo by Ryan Miller/Invision/AP)

ヴォルガリスとルカ

そして、ヴォルガリスの影響はフロントだけではなく、ゲーム・マネジメントにも広がります。ヴォルガリスは、カーライルにローテーション、スターター、ゲーム内での修正など指示を出していたようですが、それがどこまでカーライルに聞き入れてもらえていたのか、また、どこまでカーライルが拒んだのか等の詳細は不明です。しかし、それは選手たちも知っていたようです。

今年の2月のウォリアーズ戦、球団のスーパースターのルカ・ドンチッチがターンオーバーした時に、試合を見に来ていたヴォルガリスから落ち着けというようなジェスチャーを受けたそうです(観客がいなかったので目立った)。それに怒ったルカはヴォルガリスに、「私に Fucking 落ち着けと言うな」と返したそうです。ルカはコーチや他の選手達の前でヘッドコーチのリック・カーライルにも「アイツ(ヴォルガリス)とあなたのどっちが仕切ってるんだ?」と聞いたそうです。ルカが怒るのも無理はありません。これは明らかにコーチングで、ルカだけではなく、他の選手たちやコーチたちもなぜ定量分析のリサーチャーが試合中に選手にえらそうに指図するのか理解できなかったでしょう。

このように、ルカも彼のことは気に入っていなかったようです。その後の4月にもルカとヴォルガリスの同じようなエピソードがあり、それは確実です。その時は、マブスはニックス相手に最後まで勝利をかけて戦っていたにも関わらず、負けると思ったヴォルガリスは残り1分あるにも関わらず帰っしまいました。それを見たルカは、試合後にロッカールームでチームメイトたちに、「ヤツはチームを諦めた」と文句を言っていたそうです。

ヴォルガリスの契約は今年の夏までですが、3年目ですでにNBAのスーパースターに成長したルカとのパワーバランスが気になります。ルカがいれば10年以上は彼中心にしたチームづくりで優勝を狙えるので、キューバンからすれば、いかにヴォルガリスを気に入っていても、ルカに比べたら重要度は高くありません。ルカがこの夏にルーキー契約延長したとしても、ハーデンのように契約残り2年になった時点でトレード要求することもできます。ルカが球団にどれだけハッピーなのかは何よりも重要です。

そのため、ESPNでマブスを担当しているティム・マクマホンは、「ヴォルガリスは同じ役で残るかもしれないがGMにはならない、なぜならルカが彼にチームの近くにいて欲しくないからだ。」と言っています。

いずれにせよこの3シーズン、ヴォルガリスは「影のGM」としても結果を出せていないので、コーチやGMと同じように首にしても良いような気もしますが、はたしてキューバンはどうするのでしょうか。尚、キューバンはこのヴォルガリスのレポートを「完全なデタラメだ」と反論。「リック意外の誰かがローテーションを決めるという話はバカバカしい」と言っていました。

しかしながら、ESPNとThe Athleticの全国メディアが球団内部のソースからきちんと裏取りをしているので、キューバンの方がセクハラ問題の時と同じように何が起きていたのか気づいていなかったようです。これだけ具体的な話が出てくるということは、ヴォルガリスが球団内で相当恨まれているのがわかります。

ヘッドコーチのリック・カーライルの問題:

カーライルはメディアからは素晴らしいヘッドコーチの内のひとりと言われていますが、性格的な問題もありました。彼は2008年にマブスのヘッドコーチになってから、コントロールしたいがために主な選手達と摩擦を起こしてきました。2011年にもジェイソン・キッドとも問題があり、その時はアシスタントだったドウェイン・ケイシー(現ピストンズHC)やテリー・ストッツ(元ブレイザースHC)にコーチの仕方を変えるように説得されていたそうです。マブスにFAが行かないのは、ヘッドコーチのカーライルにも理由があると言われているほどです。

しかし、優勝したことがないチームに優勝をもたらしたことにより、カーライルの権力は揺るぎないものになりましあ。キューバンはカーライルを支持していて、カーライルのコーチスタイルはロンドを含むほとんどの選手に押し通してきました。

6回連続でプレーオフの1stラウンドで敗退した直後も、キューバンはカーライルを支持しています。

しかし、すでに偉大なプレーヤーになることを約束されているルカにはカーライルのようなすべてをコントロールするような古いやり方は上手く行っていなかったようです。ルカは、カーライルのタイムアウトと、頻繁にあるプレーコールを嫌がっていたようですし、ルカがカーライルの話を聞かなくなっていたという噂も出ています。

また、ルカがNBAでの最初のシーズンには、レアルでチームメイトだった親友のサラ・メズレがマブスにいました。しかし、カーライルはメズレを他の選手に対する見せしめ役として扱ってました。それをみたルカはカーライルに腹をたてていたと言われています。それがあったからかはわかりませんが、ルカは試合中に何でもカーライルに対して叫んでいたりしていたそうです。ルカは優しそうに見えて、試合になるとアツくなるタイプで、試合中は誰に対しても罵っているそうですが、そんな彼と頑固なカーライルの衝突は避けられなかったのかもしれません。

(カーライルとルカ)

また、カーライルにとってやっかいなのがヴォルガリスでした。プレー時間を失った選手たちは、カーライルから言われた通りのことをやったにも関わらず出られなくなったと苛立っていたそうですが、それはヴォルガリスがカーライルに指示したものだったそうです。カーライルはルカとヴォルガリスの板挟みになってしまっていました。

後ろ盾だったネルソンを失ったことによるのか、ルカ側からの解雇要求があったのかわかりませんが、カーライルは13年一緒にチームをつくってきたネルソンが解雇になったすぐ後に辞任します。

カーライルは辞任の声明で:まるで次が決まっているかのように「次のチャプターを楽しみにしている」と言っていました。以前ヘッドコーチをしていたペイサーズに戻るのではないかと言われています。*ペイサーズがカーライルの新ヘッドコーチ就任を発表しました。

ルカとKPの問題:

ここではルカとクリスタプス・ポージンギスの問題と表題をつけていますが、これはキューバンが言っていたような2人の仲が良くないというなケミストリーの話ではなく、チーム構成の問題という意味です。はたしてKPがルカのパートナーとして相応しいのでしょうか?

プレーオフの成績を見ると、さすがにチーム最高額の給料取りでチームNo.2の数字とは言えません。キューバンも認めている通り、マブスはKPを囮として使っていました。それがカーライルの案なのか、ヴォルガリスの案なのかはわかりませんが、単なるスペーサーに約31.6億円のサラリー(来シーズン)を払うキャップ構成はいかがなものかと思われます。

キューバンはKPのプレーオフについて次のように語っています。:「私たちはKPを囮として使った。それは、ルカのためにスペースをあけるためだ。KPはカットしたり私たちが頼んだことは全てやっている。それは高い囮だが、私にとっては問題ない。勝つことが全てだ。それに全ての選手が囮になれる訳ではない。もし他の囮になれる選手がいれば、私たちはそれを使う」

キューバンにとっては約31億円ははした金かもしれませんが、サラリーキャップ制度での約31億円は巨大なものです。今シーズンでKPと同じサラリーで活躍している選手は、デヴィン・ブッカー、ニコラ・ヨキッチ、ジョエル・エンビード、ブラッドリー・ビールらがいます。期待はずれだった選手には、ケヴィン・ラヴ、スティーブン・アダムス、オットー・ポーターらがいます。KPは現状だとどちらかというと後者側に分類されてしまうのではないでしょうか。

マブスがKPに求めているのは、スリーをバンバン決めてリムを守れるセンターだそうです。しかし、彼の数字はスリーが29.6%、ディフェンシブレイティングは121.0、リバウンド%は8.8(レギュラーシーズンは14.1だったので、これはボバンと一緒にプレーしていたからかもしれません)と芳しくありませんでした。7’3”あってPnRのロールからの得点やポストアップ(ポストアップのPPPは0.86)で点を決められないのは厳しいです。

マブスのNo.2に必要なのは、ボールをハンドリングできて自分でオフェンスをつくり出せる選手ではないでしょうか。もちろんルカのPnR/PnPパートナーもスペースも必要ですが、ルカがオフェンスの全てを担うスタイルはプレーオフでは通用しません。レブロンにもウェイドやカイリーがいたように、ルカにもオフェンスを任せられる選手が必要だと思います。それがKPだったら良いのですが…

でも、KPはこの夏は珍しくケガがないオフシーズンを過ごせるため、ケガやあたりに強くなれるように体を強くすると同時にスキルを磨く行くチャンスです。コーチも新しくなるので、もっとうまく使ってもらえれば、またユニコーンに戻れるかもしれません。まだ25歳と若いので十分にチャンスはあると思います。

(KPとルカ)

ちなみに、マーク・キューバンが2人の仲について触れていたのは、4月の「105.3 The Fan Visit on K&C Masterpiece」というラジオ番組内で、ルカとクリスタプス・ポージンギスは口論していない訳ではないと発言し、物議を醸し出しました。「私はそれ(ルカとKP)をジェットとダークと比べる」

キューバンが言うには、優勝した時のマブスのチームメイトだったダークとジェイソン・ジェット・テリーは、最初は友達ではありませんでしたが、一緒にプレーしていく中で友情を育んで行ったと言っています。彼らがコートの外で何か一緒にするようになるには長い時間がかかったそうです。

オーナーがルカとKPは仲が良くないと言っているようなものなので、メディアでは大きく取り上げられました。

それに対し、KPはキューバンが何を言っているのかわからないと言っていました。KPは:「私はプロフェッショナルでチームのために戦うようにしている。誰とも仲が良い。コートの外でもチームメイトたちと問題があったことはない」

このように、かつてはユニコーンと呼ばれプライドが高い(と思われている)KPがルカの活躍と自分の使われ方についてどう思っているのかネガティブに取り上げられるようになりました。このナレティブ(ストーリー)の延長線上に今回のプレーオフの成績が乗っかってきているので、KPにとっては正念場の夏になりそうです。ここでスキルを磨かいて成長できることを見せないと本当の不良債権になってしまうのでがんばって欲しいです。

マーヴェリックスの問題:

マーク・キューバンにつきます。オーナーなので、どうすることもできないかもしれませんが、球団のカルチャーはリーグの中でも悪い方だと思われます。

・2018年のセクシャル・ハラスメント。20年も続いていただけに被害者も多く、キューバンは約10億円を女性のリーダーシップやDVと戦う団体に寄付

キューバン:「それを見つけられなくて申し訳ない。それをわかっていなくて申し訳ない。これにより、私たちはよりよくなり、それを避けることができて、すべてにおいてみんながスマートになればいい。球団のビジネスにも、もっと気をつけていれば良かった」→球団のビジネスだけではなく一番身近なバスケットボール・オペレーション内でも気づけていませんでした

・エージェントとの衝突

・ハリソン・バーンズを試合中にトレードした。選手やエージェントたちはそういうところも見ている

・現ウルブスのプレジデントのガーソン・ロサスがGMに就任90日で解雇。キューバンはそれを「トライアル期間中だった」と言い訳

・チャンドラー・パーソンズ(& エージェントのダン・フィーガン)が影のGMだったこともある

このように、マブスはフロント内だけではなく組織内での政治闘争も多く、コーチとリサーチャーの確執、コーチとスター選手の確執もありました。おそらくキューバンはもともと起業してずっと自分がボスだったこともあり、組織運営と人のマネジメントがあまり理解できていないのだと思います。そうでなければ、よく天才肌の人に多い「他人の感情が理解できない」系の人なのかもしれません。本人には悪気がまったくなさそうで、本当に選手やコーチのことを案じている「いいヤツ(親しみがある感じの)」っぽいので、そうなると更にやっかいですね。

(Shark Tankのマーク・キューバン)

マーヴェリックスのこれから

ニックスのドーランのような王様タイプ、サンズのサーヴァーやウルブスのテイラーのような自信過剰で判断ミスの多いタイプ、ロケッツのフェーティッタのようなケチでプライドの高いタイプと、オーナーにもいろいろな個性があり、その中でもキューバンは独特です。まだ若く、自身の番組も持っているキューバンは発信力が他のオーナーとは全く違うので、PR的にはそこまでマイナスにならないと思いますが、客観的に見ても球団内部は相当悪い状況だと思います。

いちいちキューバンの判断を仰がなければいけなかったり、後ろから刺されたりする場所に好んで行く優秀な人材はいません。一流の人材は引く手数多で、しかも自分のスタイルで成功してきているので、キューバンが彼らに決定権と予算を渡す必要があります。契約が切れるウジリやフリーのエインジらの優秀な経験者がマブスに行きたがるとは思えませんし、リサーチャーにラインアップを指示されるヘッドコーチになりたいと言っているコーチがいるとは思えません。

結局、影のGMなどという人間が出てこないような組織制度改革をしなければ、これからもキューバンの「耳」を得る人物が出て同じことが起きてしまいます。そうなると、例えルカのような世代を代表する選手がいたとしても、このままヴォルガリスを許している限り、金を相場よりも高く積まないと優秀な人材は集まりません。

実際に、選手やコーチや観客を後ろから刺していたニックスは、マックスふたり分のサラリーキャップがあるにも関わらず誰もスター選手を取れなかった例もあり、「金」ですべてが解決できるという訳ではなさそうです。みな球団のカルチャーやスタッフや選手たちへの接し方を見ています。

とは言っても、これからキューバンがやり方を変えるとは思えないので、VPのマイケル・フィンリーがプレジデント/GMに昇進するか、まったくの未経験者の登用になると思われます。*現在ナイキのエグゼクティブのニコ・ハリソンを引き抜こうとしているようです。

コーチですが、ヴォルガリスからきちっと線を引かない限り、アシスタントコーチでなんとか経験を積みたいコーチや優勝経験のないコーチしか来ないでしょう。しかし、現在ルカに必要なのは新人コーチではありません。ヴォルガリスとの契約を更新せず、なんとかルカに優秀なヘッドコーチを与えて欲しいです。*現在、レイカーズのアシスタントで元ネッツ/バックスのヘッドコーチでマブスで選手として優勝したジェイソン・キッドでほぼ確定だと言われています。

ドラフトも1ヶ月後に迫まり、その後すぐにFAに入ります。うかうか時間をかけてはいられません。新体制を1日でも早くつくることが望まれます。


参考サイト:Inside the Mavericks front office, Mark Cuban’s shadow GM is causing a rift with Luka Doncic / Mavericks GM Donnie Nelson got fired after stalemate with Mark Cuban. What’s next for Dallas — and Luka Doncic? / Mark Cuban on the Future of the Mavs, Taxing Billionaires, and Why Elon Musk Is ‘Irrelevant’ to Crypto /Lowe Post
サムネイル画像:Photo by Juan Ocampo/NBAE via Getty Images