ラウリ・マーカネンの3チーム・トレード

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ブルズがこの夏3度目となるサイン&トレードでラウリ・マーカネンをキャブスに送りました。このトレードはキャブス、ブレイザースを含む3チーム・トレードになります。

トレードの詳細:

ブルズが得たアセット

  • デリック・ジョーンズ(via ブレイザース)
  • 2022年の1順目指名権(ロッタリープロテクション、2028年まで/via ブレイザース)
  • 2023年の2巡目指名権(46位プロテクション、ナゲッツの/via キャブス)

キャブスが得たアセット

  • ラウリ・マーカネン(via ブルズ)

ブレイザースが得たアセット

  • ラリー・ナンス(via キャブス)

このトレードの主役は4年で約67億円と最もサラリーの大きなラウリ・マーカネンです。彼の最後の年は約6億円のみギャランティーなので、実質3年で約55億円です。サイン&トレードは最低でも3年契約でないといけないので、こういう契約内容になったのでしょう。

サラリーマッチに関しては、ブルズがちょっとトリッキーで、マーカネンの契約の1年目は15.5億ですが、ブルズの出て行くサラリーの計算は約7.8億円になります。これに入って来るデリック・ジョーンズの約9.7億円がマッチします。

キャブスに入ってくるサラリーはそのまま約15.5億円です。出ていくナンスのサラリーは約10.6億円になるのでマッチ。キャブスはハードキャップですが、11人で約124.7億円でまだ約20億円くらい余裕があります。

ブレイザースの出て行くサラリーは約9.7億円で、入ってくるのはナンスの約10.6億円でサラリーマッチ的には問題ありません。私の計算では、このブレイザースはトレードでタックスに入りましたが(12人の契約)、ESPNのボビー・マークスは、このトレード前にすでにタックスに入っていて、これでタックスから約3億円超えると言っています。まだMLEが手付かずで残っているので、金を使おうと思えばまだ市場に残っているミルサップ、カウズンズ、エニスらと契約できます。

このトレードは疑問に思うところもあります。

  • なぜブルズは守備に定評があり、3ポジション守れるナンスよりもジョーンズを選んだのか?
  • なぜキャブスはマーカネンを必要としていたのか?

それぞれのチームを見ていきましょう。

クリーブランド・キャヴァリアーズ

このトレードの疑問のひとつに、なぜキャブスはジャレット・アレン、エヴァン・モブリーがいるにも関わらず、4と5しかプレーできないマーカネンを得たのでしょうか。

しかも、ベンチスタートの選手になぜ約15億円以上のサラリーを払うのか?

約15億円と言うと、ウィザースのダヴィス・バータンス級ですが、彼のように一芸に秀でている訳ではありません。

考えられる理由としては、試合終盤にスウィッチできないジャレット・アレンの代わりにマーカネンを入れて、モブリーとマーカネンのビックでクローズするというのが考えられます。セックスランドコンビのためにマーカネンはスペースも空けられます。

それなら守備が良いナンスでも良さそうですが、マーカネンはナンスよりも5歳若く、他の若手のセクストン、ガーランド、アレン、モブリーと合います。

ロケッツはロバート・カヴィントンで2つの1巡目指名権を得たので、キャブスもトレードデットラインまで待てば、最低でも1巡目指名権を1つは得られたと思いますが、マーカネンを選んだようです。

話は変わりますが、キャブスで注目しているのは、モブリーの活躍やマーカネンのフィットだけではなく、元ウルブスのケヴィン・ラヴとリッキー・ルビオのコンビの活躍です。2人はウルブス時代に一緒にコーナーオフェンスをしていました。ラヴはベンチからの10分ほどのプレー時間くらいしかもらえなそうですが、ビッカースタッフはコーナーオフェンスを取り入れてくるのでしょうか。楽しみです。

シカゴ・ブルズ

このトレードの2つ目の疑問です。守備に不安があるブルズは、なぜ3つのポジションを守れるナンスよりもジョーンズを選んだのか?

その理由のひとつとして考えられるのが、SFの層が薄く、控えにトロイ・ブラウンとしかいないので、ジョーンズを選んだということです。

しかし、層が薄いのは SFだけではなくPFも薄いです。ナンスは4だけではなく、3も守れるし、スモールボールのセンターでもプレーできます。スリーも36%とオフェンスでだいたい30%のジョーンズよりもスペースで広げられます。

ナンスに守備が良いカルーソも交えてローテーションに入れれば、多くのパターンで攻守のバランスが良くなりそうです。しかし、ブルズはナンスではなくジョーンズを選びました。

ナンスとジョーンズのディフェンスの数字の比較

ナンスジョーンズ
Defensive Rating
2019 Def Rating113109
2020 Def Rating111116
キャリアDef Rating110111
DBRM
2019 DBPM0.41.1
2020 DBPM1.7-0.3
キャリア DBPM1.10.4
Defensive RB%
2019 DRB%23.113.1
2020 DRB%1910.7
2020 DRB%21.511.6
スリーFG%
2019 スリー%35.328
2020 スリー%3631.6
キャリア スリー%33.329.4
*100ポゼッション

このようにトレードの時にバスケットボール的にメイクセンシしないことがある場合は、お金が理由の理由がほとんどで、タックスをかわしたいか、狙っている選手のためにキャップを空ける場合が多いのではないでしょうか。このブルズの場合は、今シーズンではなく来シーズンのタックスを考えての事だと思われます。

来シーズンのナンスの契約は約9.7億円でジョーンズは0円です。ジョーンの契約は今シーズンまでなので、来シーズン彼のサラリーを考える必要がありません。

ブルズは来シーズン、ラヴィーンとの大きな再契約を狙っています。ブルズはそのためのサラリーキャップを空けておきたいのでしょう。ラヴィーンはブルズとマックスで5年で約201.3億円の契約ができるので、かなりの金額を空けるメドをつけておく必要があります。

現在ブルズの来シーズンのサラリーは、7人で約102億円。これにラヴィーンのマックスの約34.7億円を合わせると、8人で約136.7億円になり、タックスまで約7.9億円になってしまいます。もし、これにナンスの約9.7億円が入るとタックスに入ってしまいます。マーカネンの希望の金額を払えば、かなりのタックスに突入してしまいます。マーカネンをトレードに出した本当の理由はこれかもしれません。

さらに、これにRFAのトロイ・ブラウンが入る可能性もあります。

ブルズとしては、まだこのメンバーで今年どこまで行けるかもわからないのに、タックスまで入れないのではないでしょうか。

また、ブルズは1巡目指名権を得ることができました(2巡目も得ましたが)。ブルズはヴーチからデローザンまでのトレードで、1巡目指名権を3つも出してしまっています。ドラフトアセットは今後のトレードにも使えるかもしれないので、ある事にこしたことはありません。

ブルズは、タックスをかわしつつ、今シーズンの補強もでき、1巡目指名権と2巡目指名権を得ることができました。チームがもっと良くなるチャンスは逃しましたが、状況を考えればまずまずの成果だったのではないでしょうか。

ポートランド・トレイルブレイザース

ブレザースは昨シーズンはオフェンシブ・レイティングが117.1とリーグ2位でした。しかし、問題はディフェンスでディフェンシブ・レイティングは115.3とリーグ29位。このため、チームづくりはディフェンスの改善をメインで動きたかったところですが、この夏はそのあたりの課題解決になるような選手を補強できていませんでした。

ウィングもマクレモアとスネルが加入しましたが、ロールプレーヤーで攻守にインパクトを残せるかは微妙です。

それが、ナンスの加入により課題だったディフェンスが大きく改善されたと思います。カヴィントンはヘルプデフェンスは上手いけど、一対一の守備はそれほどでもないと言われていました。ナンスがいれば、その役を引き受けて、今までチームにいなかったレブロンやルカなどの相手トップウィングやボールハンドラーのストッパーを任せられそうです。

また、ナンスはナーキッチのバックアップもでき、ストレッチ・スモールボール5(守備では4)で試合をクローズすることも可能です。これでブレイザースはスモールにもより対応できるようになりました。オフェンス的にもナンスにはパスもあるので、リラードへのピックからショートロールしてプレーメイクもできます。

そして、何よりも素晴らしいのはナンス獲得のコストです。ブレイザースは、カヴィントンのトレードで2つの1巡目指名権を出しているので、ナンス獲得はカヴィントン獲得よりも安く済み、ROI的にも大成功だと思います。また、サラリーもナンスの約9.7億円:カヴィントンの約12.9億円と若干安くなっています。

新ヘッドコーチのビラップスの手腕も興味深いですね。途中加入でうまく使えなかったノーマン・パウェルも、今シーズンはもっと活躍できそうですし、ケガの連鎖を断ち切れれば、レイカーズやジャズに次いでウェスト3位になるなんてこともあるかもしれません。

この3チーム・トレードで最も大きな勝利を得たのはブレイザースではないでしょうか。その分、若干タックスを超えてしまいましたが、リラードをハッピーにする必要な動きだったと思います。最悪、シーズン途中で思ったよりも勝てなければ、トレードでタックス内に収めることもできる範囲内なので、ブレイザースにとって良いトレードだったと思います。


参考サイト:Larry Nance Jr. fits bill for Blazers; can Lauri Markkanen thrive with Cavs?
サムネイル画像:Photo by Cleveland.com