ロバート・サーヴァー問題について

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2016年の10/30、フェニックス・サンズはゴールデンステート・ウォリアーズとの試合に負け、開幕3連敗を喫しました。その試合後、オーナーで白人のサーヴァーがコーチのロッカールームにやって来て「なぜドレイモンド・グリーンはコートの上で走りながらニガーと言うことができるんだ?」と聞いていたそうです。

黒人でヒスパニック系で当時のヘッドコーチだったアール・ワトソンはサーヴァーに、「その言葉を言ってはいけない」と注意しました。サーヴァーは「なぜだ?ドレイモンド・グリーンは言っていたぞ」と返しました。ワトソンは「あなたはその言葉をfucking言えない」と再び注意したそうです。

(サーヴァーは弁護士を通じてそのような言葉は言っていないと否定)

(元サンズのヘッドコーチ、アール・ワトソン/Photo by Matt York/AP)

アメリカでは”ニガー”という言葉は、黒人が動物のように扱われていた奴隷時代に黒人に対して使われていたものなので、黒人以外は道義的に口にしては行けない言葉です。しかも、黒人率が多いバスケの球団のオーナーのサーヴァーがその言葉を使うのはどうかとも思います。

社会的地位があるにも関わらず、人種差別発言を理解できずにいるロバート・サーヴァーの「ミソジニー」と「人種差別」問題、それにサンズの球団内に蔓延しているハラスメントについて、ESPNのバクスター・ホームズが数年(8ヶ月という人もいます)かけて書いた記事をリリースしました。ホームズがこの記事のためにインタビューをした人の数は、サンズの元/現役の従業員合わせて70人以上になり、かなりの力作になっています。

今日はその中のいくつかのエピソードを紹介したいと思います。

サーヴァーの人種差別疑惑

サーヴァーは黒人選手から聞いた話を、「ニガー」という人種差別用語を含めて聞いた言葉のまま話すそうです。黒人のバスケットボール・オペレーションのスタッフは、サーヴァーが「ニガー」を使うのを何度も目撃したそうです。

2003年、サーヴァーがスタッフたちに、なぜ5年もアシスタントコーチをしていたダン・マーリーをヘッドコーチにせずにリンジー・ハンターを選んだかを説明した時も、「彼らニガーにはニガーが必要だ」と発言したそうです。

「ニガー」を人種差別で使っているのではないとしたら、使うのがかっこいいとでも思っているのでしょうか?これが録音されていたら、人種差別発言をしたと判断されても仕方ありません。

サーヴァーには黒人との交渉でうまくいかなくなって激怒したというエピソードもあります。

2017-18シーズン、サーヴァーはタンクするために契約更新が可能になるエリック・ブレッドソーをシーズン途中で休ませました。夏になり、ブレッドソーの契約更新交渉がはじまりましたが、うまく行かなかったようです。最終的にサーヴァーが直接ブレッドソーのエージェントであるリッチ・ポールと交渉していたようです。

(クラッチ・スポーツ・グループのCEOリッチ・ポール)

ブレッドソーにはケガの懸念があったのと、彼がポイントガードでスタートした時のパフォーマンスが悪かったため、サーヴァーは彼の契約更新をしたがっていなかったそうです。交渉がこじれた上に、ポールから「これはテニスではなくバスケの話だ」的なことを言われたサーヴァーは激怒。そのため、シーズンが始まったにも関わらず、サーヴァーはポールが同じくレップしているワトソンを首にする言ったそうです。

ワトソンはそれが本当かサーヴァーに確認しました。するとサーヴァーはワトソンに、ポールを選ぶかヘッドコーチのポジションを選ぶか究極の選択を迫ったそうです。

サーヴァーはワトソンに:「そうだ、お前を首にする。お前には10日の猶予がある。長く待たない方がいいぞ」

そこでワトソンはサーヴァーに、白人のオーナーが黒人のエージェントを持つ黒人のヘッドコーチを首にした場合に、メディアや世間からどう見られるのか説明して、サーヴァーを説得しようとしました。

サーヴァー:「お前の人種が何かはわかっている。だから聞こう。お前はどれだけこの仕事が欲しいんだ?」

最終的にワトソンは、オーナーが要求したからと言って自分のエージェントを首にしないと決めました。サンズから解雇されようが、自分は正しいことをしなければならないと考えていたようです。ワトソンはサーヴァーにクラッチを首にしないと伝えました。「あなたは何でもできる。チームを所有しているのはあなただ。でも、私のカルチャーは売り物ではない。私は売り物ではない」

結局、ワトソンはシーズンがはじまって3試合で首になりました。

その直後に、ブレッドソーの有名な「ここにいたくない」ツィートがありました。

この件に関して、サーヴァーの弁護士は、彼らの会話は人種差別とは無関係だと否定。利害が対立するので、コーチと選手は同じエージェントを持つべきではないとも説明しました。

しかし、ワトソンは「私がヘッドコーチになった時もエージェントはクラッチだった。利益が相反するなら、その時サンズは私にそう言っていたはずだ。彼らは私のインテリムの契約も他の契約も問題にしていなかった」と反論。

また、ワトソンはヘッドコーチ1年目(おそらくインテリム時)にサーヴァーから球団をどうよくすればいい聞かれ、ダイバーシティー(多様性)が必要だと言っていたそうです。その時、サーヴァーは「多様性は好きではない」と答えたとのこと。理由は多様性があると合意するのが難しくなるからだそうです。

多様性に関しては、サンズの何人もの従業員が問題があるとして声をあげています。現在働いている従業員は「みんながここの多様性はクソだと知っている」と言っている人もいます。

(サーヴァーは弁護士を通じて、サンズとマーキュリーは郡の平均よりも3倍の黒人を雇っていると否定)

ワトソンはサーヴァーにハッキリと、なぜサンズが7年〜8年の間に9人のヘッドコーチと8人のGMを変えなければいけなかったかの理由を言ったそうです。「コーチとGMと選手の墓は深く、それに共通するするのはあなただ。あなたが理由だ」それに対しサーヴァーは「お前がFucking有害だ」とワトソンに叫び返したそうです。

(サーヴァーの弁護士は、ワトソンがフロントと対立して有害な環境をつくったと否定)

ここまで現GMのジェームズ・ジョーンズもサーヴァーの弁護士を通じて否定。

ワトソンはこれまでも、テイタムをドラフトしてブッカーと組ませたかったが、サーヴァーはテイタム(3位指名)には興味がなく、結局ジョッシュ・ジャクソン(4位指名)をドラフトしたなどど反サーヴァー的発言してきていましたが、これでその理由がわかった気がします。

(サーヴァー時代のヘッドコーチ時系列/Image by Sports360 AZ)

ロバート・サーヴァーのミソジニー

サーヴァーは女性従業員を自分の所有物のように扱っているそうです。彼が女性従業員を所有できるかどうかで、彼女達がサンズで働らけるかどうかが決まるとの事。

元女性スタッフ:「女性の価値はとても低く、女性は所有物だ」

他の女性の元マーケティング従業員も、サーバーはよく彼女に「私はお前を所有しているか?お前は私のモノの中のひとりか?」と聞いてきたと言っています。

何人もの従業員が、サーヴァーはスタッフや選手達を棚卸し商品のように言及していたと言っていますし、共同オーナーの1人も、サーヴァーのことを「彼の人種差別とミソジニーは常識を逸している。オーナーとして恥だ」と話しているそうです。

2009年、サンズがオールスター開催のための準備をしていた時、サーヴァーはある妊娠していた女性スタッフに「授乳するようになり、子供のために家にいなければいけなくなるから仕事から外れろ」と言ったそうです。しかし、それは雇用差別になるためマネジメントが撤回。それで彼女は働き続けることができたそうです。

そして2011年、サンズがリック・ウェルツを讃えるビデオをつくっていた時、サーヴァーはその同じ女性を叱りつけた事もあったそうです。キレた理由は、そのビデオの中で自分よりもウェルツを雇ったジェリー・コランジェロの方が多く出ていたから。その女性が泣いてしまうと、まるで悪いのは女性だったかのように「なぜこの辺にいるお前ら女はそんなに泣くんだ」と言っていたそうです。

(サーヴァーは弁護士を通じてこの出来事を否定)

また、サーヴァーはあるミーティングで自分の妻がサンズのビキニを着た写真を見せてまわしたそうです。ある元エグゼクティブは、その写真を厄介な問題ごとかのように皆で回したことを覚えているそうです。

元エグゼクティブ:「それについて私たちにどうしろと言うんだ?その男の(本性を)垣間みた出来事だった」

(サーヴァーはそれに対し、弁護士を通して反論:それはローカルのアパレル会社が、NBAブランドの水着をつくる許可を与えられたので、妻はそのブランドが送ってきた水着のサンプルを着ただけで、その写真とカタログをチームショップに見せて売るように言っただけだったそうです。→しかし、それなら別に妻に水着を着せずにカタログを見せるだけでいいじゃないかとメディアが反論)

また、10人以上の従業員が、サーヴァーはミーティングで妻からオーラルセックスを受けたこと話したり、マグナム(大きなサイズのコンドーム)やXLサイズのコンドームを使っていると自慢したりしていたそうです。

サーヴァーの人間性が下品なんでしょうか…

元サンズのフロントオフィスにいたアミン・エルハッサン(現在はESPNからダン・レバタードのミドウラーク・メディアに移籍)は、サーヴァーは人種差別主義者ではなく、おそらく若いころモテなかったので、そう言う下品なことを言って、自分のことをクールでカッコいいと思わせたい子供のようなヤツだと分析しています。

実際に記事をいくつか読んでいて、これがサーヴァー像にいちばんしっくりきます。ただ、悪気がないからと言っても、組織のトップとして人種差別発言やセクハラをした責任はとらなければいけませんが…

(ロバートと妻のペニー・サーヴァー:Getty Images)

サーヴァーの人間性の下品さ&パワハラ

2009年、ブレイク・グリフィンの兄のテイラー・グリフィンがトレーニングルームにいたときのことでした。彼はウェイトリフターでもあったので、足の毛を剃っていたそうです。2人の目撃者によると、そのつるつるのグリフィンの足を見たサーヴァーは、グリフィンに「タマ袋も剃っているのか?」と聞いたそうです。他のスタッフにも何年か後に同じ質問をしていたそうです。

(サーヴァーは弁護士を通して、それはジョークだったと説明。グリフィンはそれはジョークだと受け取ったが、今ではチームのオーナーや企業のリーダーがそんなことを言うのは不適切だと思う言っています)

そして、その時実際にその場にいたのがアミンでした。アミンによると、それはサーヴァーがチームにペップトークをしている時に起こったことだったそうです。サーヴァーは話をしている時に、いちばん前に座っていたグリフィンの足に毛がないことに気づき、グリフィンにタマ袋も剃っているのか聞いたのだそうです。

そしてサーヴァーは、残りの選手たちにもあそこを剃っているかどうか聞いてまわったそうです。その時、みんなは笑っていたそうですが、アミンはそれはジョークで面白かったというよりも、サーヴァーがトップとしてあまりにも微妙だったので嘲笑のような笑いだったと説明しています。

また、2012-13シーズン中、サーヴァーはチームがロスでいいプレーができないのは選手たちがロスで夜中遊んでいるからだと考え、選手たちに試合前の夜に早く寝るなら女性(セックスのため)をロスまで送ると伝えたそうです。元従業員によると、それが聞こえるところに女性のスタッフがいて、それを聞いたその女性スタッフは心を痛めたと話しています。

まだ同じような話があります。

2015年の夏に、サンズはラマーカス・オルドリッチをリクルートしていましたが、サーヴァーはオルドリッチにとって子たちがいるテキサスに近い場所でプレーすることが重要だと知っていました。サーヴァーは2人の従業員に、サンズは地元のストリッパーに選手たちの子供を孕ませて、「彼らがフェニックスの近くにいなければならないという義務を生じさせる必要がある」と言ったそうです。それがフリーエージェンシーでサンズの切り札になるかもしれないとの考えのようです。

(サーヴァーは弁護士を通じてこの発言を否定)

サーヴァーはオーナーの1人だったリチャード・ディック・ヘックマンが亡くなった時の告別式のスピーチでも場をわきまえない精神を披露しています。

サーヴァーは告別式の出席者に向かって、「ディックはスコッツデールで動くものは何でも追いかけていた(亡くなったオーナーがどれだけ女好きを言いたかった)」とか、「ディックがロッカールームのどこかにあるスティーヴ・ナッシュの靴下の中にDNAを残したと誰かが言っていた。それは私たちが球団を買収した3週間後くらいのことだった」、「ディックはあなた達よりも先に女を落とすことに喜びを感じていた」、「彼のボートに子供たちを連れて入った。最初の部屋を開けたら3Pをやっていた。私は子供たちをボートから下ろす方がいいかもしれないと言った」などとスピーチしていたそうです。

他にも言いたい放題で、「チームをどう良くするためにチケット売上など心配していたが、一番の懸念はディックの息子がチアリーダーを口説かないようにすることだった」とか、「ディックは1日に10回セックスをするが、それは5こすりで1回だったのでそれが可能だった」とか、「受付の女性の胸は小さい」だとかスピーチしたそうです。

(ヘックマンの妻は、ヘックマンは遺言で式では涙ではなく笑いや喜びを望んでいたと言っていたので、サーヴァーのそのスピーチはユーモアの一環だと説明。それでも亡き人を讃える場で、笑いのためにそんな下品なエピソードを披露してしまうのは、やっぱりどこかおかしいとしか言いようがありません)

これがその時のビデオです。

(サンズの少数株主で友人のヘックマンの告別式で下品なスピーチをするサーヴァー)

また、サンズの元会計部署のエグゼクティブが、2014年のALSアイスバケット・チャレンジ中に、60人以上の従業員の前でサーヴァーからズボンを下ろされたと明かしています。複数人がこの出来事を覚えているそうです。その時、人事部の代表はニヤリと笑って「お願いだから、セクハラで訴えないでくれ」と言ったそうです。

その元エグゼクティブは、時が経つにつれて怒りが大きくなり、なぜあの時戦わなかったのだろうと自分を責めたそうです。当時は訴えれば業界のブラックリストに入れらると思っていたので出来なかったとのこと。

(サーヴァーは弁護士を通じて、彼にジョークのつもりだったと謝罪。なぜか多人数が目撃している時だけは記事の内容を事実と認めています)

元バスケットボール・オペレーションのスタッフは、サーヴァーから暴言を浴び、深夜の電話が怖かったと明かしています。彼は夜に電話がなると今でもパニックになるそうです。

チーム戦術に口を出す

2018年、1位指名のルーキーのデアンドレ・エイトンがブロックやファウルを記録しなかった時、サーヴァーはエイトンの担当だったアシスタントコーチのコーリス・ウィリアムソンの前にスタットシートを机の上に叩きつけたそうです。ウィリアムソンはオーナーがそんな風に振る舞うのは見た事がなかったと言っています。

同じ2018-19シーズン、サーヴァーはココスコヴのスタッフに、手にペンや紙やノートなど何も持つことを禁止してチームを立って応援しなければいけないと命じたそうです。

あるコーチ:「あれはバカげていた。みんなで飛び跳ねていてバカのようだった。私はリーグ中のコーチたちからテキストで”何やっているんだ”と聞かれた」と言っています。それはこの時のコーチたちの様子です。

ワトソンによると、サーヴァーは残り時間が3秒しかないのに、プレーブックにはないペイントのミドルでのPnRをしろと選手に指示したりするそうです。

2019年のグリズリーズ戦で、エイトンとリショーン・ホームズの2人のセンターを欠いていたサンズは、相手センターのジョナス・ヴァランチュナスに34点を取られ負けました。試合直後、サーヴァーはコーチのロッカールームに入って来て、ヘッドコーチのイゴー・ココスコヴとアシスタントになぜヴァランチュナスを止めるための修正をしなかったのか迫ったそうです。

アシスタントのジョー・プルンティーが声をあげ、ビックがいないサンズはヴァランチュナスをフロンティングし、キャッチでダブルしたり、他の細かい修正をしていた事をサーヴァーに説明したそうです。

その場にいた元コーチ:「ジョーが彼に言いはじめた。ヤツはそれがどんな意味なのかわかっちゃいなかった」

その後、サーヴァーはドアから勢い良く出て行く時に「修正しろ!」と叫んだそうです。

その翌月、ココスコヴとアシスタントたちは首になりました。

元従業員は、サーヴァーがプレーやコーチングに口出すことが頻繁にあり過ぎて、実際に何回あったか数えられないと明かしています。「サーヴァーはハーフタイムにコーチのオフェスに行って、ボードに戦術を描いて、ああしろこうしろと言うんだ」

また、そのシーズンにサーヴァーはトレーニングルームでルーキーのエリー・オコボに戦術の話をしていたそうです。その場にいたベテランのジャマル・クロフォードは部屋を出く時に「あのShitはFucking聞いちゃいられない。ここから出なくてはいけない」と言っていたそうです。

パワハラ/セクハラが蔓延する球団

ビジネスオペレーションの従業員:「もしコミッショナーが入って来て調査を始めて、サンズで何が起きているのか知ったら愕然とするだろう」

2017年、白人のエグゼクティブたちが黒人の同僚を何度も「カールトン」と呼んだそうです。カールトンは90年代の人気テレビ番組の黒人キャラクターです。彼らは少なくとも一度は彼に「カールトンをやってみろ」と冗談で言っていたそうです。その黒人の同僚は彼らに何度もカールトンと呼ぶなと伝えていました。ある元従業員は「スーパー人種差別だ」と言っています。

(このエグゼクティブはそれを否定)

元女性従業員が社外で男性の同僚に暴行されました。他の女性の同僚がHR(日本の人事部に相当)にその事件とその男は危険だと伝えると、HRは隣同士だった性的加害者と被害者の机を配置変えすれば全てが解決すると思ったのか、女性の机を一列目から二列目に移しただけの処置だけしかしなかったそうです。ちなみに部屋には机が二列しかおけないような広さだったそうです。その被害者の女性:「逃げられなかった。ふざけていた。完全にふざけていた」

(サンズは問題解決のために机を移動したことを否定。ESPNは3人から机を移動した証言を得ている)

また、何人もの女性従業員が男性エグゼクティブから言葉の暴力を浴びる職場環境だと明かしています。ある女性従業員:「スポーツの世界では不幸なことに、女性はどこかの時点でセクハラの被害にあう。でも私にとって最悪だったのは暴言の方で、自分が人間ではないかのように感じた」

元サンズのVPは酔った時に、女性のセールスに、根拠もなしに部署で何人の同僚と寝て、特定の同僚のペニスについてどうだったか聞いてきたこともあったそうです。

このようにサンズの球団内では、女性従業員はパワハラとセクハラ被害に会う有害な職場環境だったようです。また、女性は価値を認められたりすることはなく、どちらかといと無視をされるという感じだったそうです。

ある元女性従業員がサンズでは精神を折られると話しています:「私は強いけど、折られてしまった」

またある女性従業員は「人生を壊された。自殺を真剣に考えた」とも話しています。

チームは勝ち出しましたが、球団のカルチャーは腐敗し続けているそうです。「従業員は成功を楽しむべき時だが、カルチャーはかつてないほど低レベルだ」

では、これほどセクハラが蔓延しているのにHRはどうしているのか?

HRは対策をうつどころか、まるで不満や報告に来た従業員の方が悪いことをやっているかのように逆にターゲットにしていたようです。人種差別の報告をしに来た黒人や、サーヴァーから性差別を受けたと報告した女性に「球団から合わないから去れ」と迫るような部署だったとのこと。

あるHRの従業員は、セクハラやパワハラを相談に来た被害者に「散歩に行こう。もし誰かがあなたがここに来ているのを見たら、あなたが狙われてしまう」とアドバイスをしているそうです。

そのような環境のため、従業員は報復を恐れてHRには不満を言わないそうです。ある従業員:「それがこの会社のスタンダードだ。何か起きてもHRには行かない。そこには絶対に行かない」

元サンズのHRは、サンズではそれが常識だと言いました:「権利を侵害されないように従業員を守りたいが、結局はオーナーから金をもらっている。…(誰かが相談に来たら話をするために)駐車場かどこかに行く必要がある。でも私はあなたは訴訟を起こすべきだと思う」と助言をしていたそうです。

サンズはそのようなニュースを出したくないため、訴訟を起こすと主張する従業員には、NDAにサインする代わりに金を払って和解を提案しているそうです。

あるHR:「彼らは訴えればいいと思う。そうすれば彼らは金を得られるからだ。金だけはもらえる。しかし、訴える人は少ない。裁判で戦うだけの金がないからだ。または、ひどい経験にすごく疲弊してしまい、早く新しい人生に進むことを望んでいる」

サーヴァーは追放になるか

このホームズの記事を受けて、NBAがサンズの調査をはじめたそうです。しかし、証拠がないので調査にも時間がかかりそうです。マブスのマーク・キューバンのセクハラ調査は7ヶ月かかっているので、今回も同じくらいはかかるのではないでしょうか。

(最終的に、調査に10ヶ月かかりました)

その頃にはオフシーズンに入っているので、この手のゴタゴタの調査結果を出すにはちょうど良さそうです。スターリンの時にプレーオフを戦っていたクリッパーズを見る限り、この手の話はシーズン中やプレーオフ中での結果発表は避けて欲しいですね。特にサンズは優勝を狙えると思っていると思うので、チームにとってその方が良いでしょう。

そして、今ある情報だけではサーヴァーを追放するには証拠不十分だと思われます。

実質追放になったクリッパーズのオーナーだったドナルド・スターリンや、ホークスのオーナーだったブルース・レヴィンソンの時は、録音やEメールが証拠として残っていました。しかし、今回のサーヴァーの件は「言った言わない」の世界で、彼が人種差別をしたという映像もメールもありません。そのような明らかに人種差別をした証拠が出てこない限り、スターリンやレヴィンソンのような追放はないでしょう。

(ドナルド・スターリンと愛人だったスティヴィアーノ/photo by Danny Moloshok/AP)
(ブルーズ・レヴィンソン)

また、調査にはNBAがサンズにどこまでプレッシャーをかけるかにもかかっています。サンズの従業員や元従業員にはNDA的な守秘義務書類にサインをしているかと思われますが、NBAがサンズにそれを取り下げるようにできるかもポイントになります。リーグ的には透明性をもった調査だったと発表したいはずですし、守秘義務という障壁がなくなれば、メールなどなんらかの重要な証拠が手にはいるかもしれません。

そうなると、サーヴァーにとって命取りになりかねないので、サンズがNBAに協力する可能性は低そうです。しかし、もしサンズがそれを拒否すれば、このESPNの記事を正当化することになります。サーヴァーにとってPR的に厳しい状況になるでしょう。

もしサーヴァーの直接的な証拠が出ない場合、調査の焦点はセクハラやパワハラが蔓延している職場環境になると思われます。2018年にセクハラで問題になったマブスでは、NBAはキューバンがそのセクハラを知っていたとは証明ができず、最終的に球団プレジデントを女性に変えて職場改革をし、キューバンが約10億円を寄付して終わりました。

今回のサンズの件も証拠がない限り、最終的にはマブスのように、HRのトップやプレジデントに責任を擦りつけて職場改革&罰金を払って終わりになりそうです。罰金も約10億円はサーヴァーにとって端金だと思われるので、寄付金はもっと痛い金額(10桁)か被害者への相応の賠償金として使って欲しいところです。

イメージでいくと、処分の大きさはクリッパーズ/ホークス(証拠あり) >>> サンズ(オーナー人種差別疑惑) >>> マブス(役員のセクハラ)くらいになる感じでしょうか。

サーヴァー追放の他の方法があるとすれば、他のオーナーが声をあげることですが、そうはならないとの見立てが多数です。

他のオーナーも聖人君子ではなく、いつ自分がそういう状況になるかわかりません。例えば、サンダーのオーナーの中にはアンチゲイの人もいますし、マジックのオーナーはLGBTQ否定派(反ホモセクシャル)です。いつどこで何を言っているかわかりません。また、暴言吐くオーナーは実はサーヴァーだけではないかもしれません。スターリンの時のように、明らかな人種差別の証拠がない限り、彼らがサーヴァー追放に動くことはないと思われます。

あとはどれだけ罰則を強化できて環境改善できるかですが、それはサーヴァーと働いた人の証言にかかっています。特に、アール・ワトソンのように彼と働いたことがある人が声をあげれば罰則強化の機運が高まるかもしれません。

サーヴァーをNBAコミッショナーだったデヴィット・スターンに紹介し、サーヴァーがNBAに入るきっかけをつくり、サンズで2004年から2007年までGMとしてサーヴァーのために働いていていたウォリアーズのヘッドコーチのスティーヴ・カーも何か知っていそうですが、サーヴァーの人種差別を否定しています。

カー:「私は人種差別やミソジニーを思わせるものを見たことがない。そのような疑惑があがったことにとても驚いている。なぜならそれは私が知っている彼ではないからだ」

アミンは、カーや他の球団で働いている人たちは、たとえサーヴァーの横暴さを見ていても、声はあげないだろうと予想しています。なぜなら、他のオーナーから球団やオーナーに不利になることをすぐにメディアに明かすヤツだと思われてしまい、今後雇われなくなってしまうためだそうです。

ココスコヴのようにノーコメントの人もいます。ココスコヴもすぐに首になったので、サーヴァーの酷さを知っていると思われますが、ヘッドコーチになるという夢や自分のキャリアを守ったのでしょう。実はインタビューを受けているのかもしれませんが…

また、例えサーヴァーの実態を実際に見ていたとしても、もし今カミングアウトすると、「なぜ早く声をあげなかったんだ」と非難されてしまうリスクがあるので、みんな知らないフリをするのではないかと言う意見もあります。

ヤフーのクリス・ヘインズによると、ワトソンも随分と名前を出すべきか長いこと悩んでいたそうです。今ラプターズでアシスタントコーチをしていますが、おそらくラプターズは彼を支持しているのでしょう。ワトソンはラプターズを通して声明を出しました。

または、レブロンやクリス・ポールが声をあげれば、球団やリーグ全体も動かなくてはいけなくなるのではないでしょうか。しかし、まだ何も発言がないところを見ると、選手たちも証拠待ちなのかもしれません。

それではスポンサーはどうでしょうか?サーヴァーのような輩がオーナーでいると商売的にはマイナスです。サンズのスポンサーが降りれば、タックスに入りそうなサンズにとってはかなりのプレッシャーになりそうです。しかし、まだスポンサーが降りた様子はありません。これもまだ証拠待ちなのかもしれません。

では、会社のCEOのように取締役会で追放できるかですが、どうやら球団定款はそのような規定を盛り込んでいないそうです。サンズのオーナシップには20人いるそうですが、そのうちの何人かは言動が酷いサーヴァーを外そうと試みたそうです。しかし、サーヴァーは契約で防弾チョッキのように守られており、追放は不可能だったそうです。

これがプライベート組織の弱みでしょうか。一度腐るとそれを変えるのに必要以上の労力がかかってしまいます。球団も30しかなく、球団に投資をするチャンスは滅多になさそうなので、仮にそのようなチェンスを手にしたとしても、閉ざされた特権的オーナーシップグループに入るためには、オーナーの独裁の可能性も受け入れざるをえないのかもしれません。

個人的には、チームはコミュニティーに根ざすパブリック・ドメインの要素も大きいと思っているので、ファンを守る意味でも、オーナー交代はフェアにできる制度導入を進めて欲しいです。

例えば、数年後のCBAの交渉で、金を出すESPNなどの局がサーヴァーのような危険要因を排除できるようにプレッシャーをかければ良いと思います。何しろ1年で約8000億円の6年契約になるとも言われています。それだけ金を払うのであれば、少しは話を聞いてもらえそうです。しかも、ESPNの親会社はディズニーです。サーヴァーはディズニーのブランドバリューと真逆にいるようなオーナーなので、ディズニー的にも、このようなサーヴァー的要因をいつでも排除できる条項を契約に盛り込んだ方が良いのではないでしょうか。

ファンも生まれ育った街のチームのファンを止めて他のチームのファンになるのはかなり難しいので、腐ったオーナーが数10年もい続けられる可能性を残すのはファンにとっての不利益が大きすぎます。

約3000億円も出して球団を好きなようにできないのであれば、買収する意味がないと言う意見もありますが、独裁体制をつくりたいのであれば、自分でリーグをつくったり、他にいくらでも投資をしてそういう団体をつくればいいと思います。

バクスターさんの記事で、少しでもサーヴァーや他のオーナーやプレジデントの態度が変わり、サンズだけではなくNBA全体で従業員の権利、そして何よりもファンの思いが守られるような制度導入のきっかけになればと願うばかりです。

Part 2:ロバート・サーヴァーへのNBAの罰則について

Part 3:サンズ売却について


参考サイト:Allegations of racism and misogyny within the Phoenix Suns: Inside Robert Sarver’s 17-year tenure as owner/Newly Surfaced Video Shows Robert Sarver Making Sexual Jokes at Memorial ‘Roast’