ステフ・カリーのスランプを振り返って

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プレーオフで足のケガから復帰したステフ・カリーですが、彼は今シーズン中キャリア最悪のスランプに見舞われていました。どれだけ数字が悪かったかと言うと…

スリーがキャリア最低の38%(2019-20シーズンを除く)で、TS%がカー時代最低の60.1%。特に1月中のTS%は53.2%と、その月だけ見ればキャリア最悪だったルーキーシーズンでのTS%よりも低い数字でした。3月は67.2%とキャリア最高レベルまで持ち直してきましたが、ケガで欠場になってしまいました。

また、今シーズンのワイドオープンのスリーも40.1%でキャリア最低(昨シーズンは46.9%です)になっています。

ちなみにスリーのキャリアハイは、2015-16シーズンの45.4%(最低50ゲーム以上出場したシーズン中)、TS%のキャリアハイは2016-17シーズンの67.5%で、ワイドオープンのスリーのキャリアハイは52.3%です。

このように、キャリア最悪とも言えるスランプでしたが、その理由はいろいろあったと思います。メディアでは休みの少なさだったり、練習時間の少なさも指摘されていました。

確かにTS%は休みがない試合では50.7%で、中1日休みがある時は56.6%とあがっています。スリーも同じ傾向で、休みのない試合では36%ですが、1日休みがあると38.7%まであがるので、休養のあるなしも関係していたと思われます。(カリーだけではないかもしれませんが…)

練習も今は抑える時もあるそうです。試合がない日の練習では、前ほどシュートをしていないそうです。試合の日でもシュートアラウンドをそれほどしない時もあるとのこと。シューターに関しては、レイ・アレンやJJ・レディックがルーティーンをこなすことが大切だと言っていたイメージが強く、カリーもいつも同じ本数を撃っていると思っていたので驚きでした。今は体調やスケジュールでルーティーンを変えているようです。

試合中のリズムも理由のひとつにあげられていました。カリーは以前よりも厳しいディフェンスを経験しているようです。今はディフェンダーの後ろから別のアングルでヘルプが来たり、ダブルチームの後も次のヘルプのレイヤーがあるディフェンスを経験しているとのこと。オンボールのディフェンダーもスウィッチせずに後ろから追ってくる上に、相手チームはウォリアーズのアクションも知っていて、カリーの好きなリロケーション戦術も知っている…と今まで以上に守備対策されていたようです。

それでカリーは急いでシュートをしてしまう時があったそうです。

また、新しいローテーションも問題だったのかもしれません。以前は1Qの全てプレー→2Q開始から6分休み→3Qの全てプレー→4Q開始からおよそ6分を休むというローテーションでしたが、今シーズンはじめから欠場のしばらく前まで、Qの間か終わりで休まされていました。これはトータルでカリーのプレー時間を増やすことなくカリーが4Qでプレーできる時間を増やすための処置だったそうですが、ケガ前は元に戻りました。カリーもその方がリズム的に良いと思っているようです。

カリーももう若くはなく34歳になります。いくらMVP級のプレーができると言っても、これまで以上に守備対策されるとさすがに厳しかったのではないでしょうか。パフォーマンスをあげるために、休息やプレーのリズムが必要だったと思われます。

しかし、The Athleticのマーカス・トンプソンによると、不調の原因にはもっと大きな要因があったそうです。

それは「パワー」です。パワーがボールに伝わっていなかったようです。

1月のスランプ中のある日、カリーはシュート練習でカリーにしては外しまくっていたそうです。パワーを得られずに、ショットの頂点でボールを指で弾いている感じで、特に遠くからのシュートや動きからのシュートはひどかった時があったそうです。

以下マーカス・トンプソンの記事の抄訳です。

パワーは足元のリフトオフからはじまる。それが足から体に伝わり、シューティング・モーションへと伝わる。パワーがないとメカニクスの邪魔をし、腕でボールをプッシュしているようになる。特にステップバックではメカニクスをキープするのがむずかしく、腕力に頼ってしまう。そのためショートや横にズレる。パワーがあるかないかは飛んでいるボールのスピンを見ればわかる。カリーの腕のアングルを見ればわかる。しかし、なぜパワーがなくなっているのかまではわからなかった。

そして、ついにカリーが練習している時にパワーが出ない原因を突き止めたそうです。それはいつもカリーのシュートを見ているアシスタントコーチのブルース・フレイジャーさんも気づかないような細かいことだそうです。

それは足でした。以下マーカス・トンプソンの記事の抄訳です。

カリーはつま先から飛ぶ癖をつけてしまったらしい。本来ならつま先ではなく指球から飛ぶ。つま先からでは少しのパワーしか得られない。指球からなら良いプッシュオフが得られる。その発見ですぐに効果があった。それから練習で普通にシュートが決まるようになった。スウィッシュも戻った。ボールのよい回転も戻った。バランスも修正できるようになり、フォロースルーからの力がボールのコントロールを良くした。

カリーがスランプになった原因は「つま先からジャンプしていた」からのようでした。確かにケガをする前の3試合は、スリーが41.7%、50%、50%になっています。このポストシーズンではスランプは抜けていると考えてもいいのではないでしょうか。

下の動画は「つま先からジャンプしていた」シュートと「指球からジャンプしていた」シュートです。ニュアンスの違いがわかるでしょうか。比べてみてください。

● これは腕でボールをプッシュしていた時のカリー

● 「パワー」を得た時のカリー

みなさんも、これからカリーの足元を注意深く見てみてください。カリーの好不調がわかるようになるかもしれません。


参考サイト:How Stephen Curry, the mad scientist of shooting, diagnosed (and maybe cured) his slump/NBA/Basketball-Reference
サムネイル画像:Photo by Jeff Chiu/AP