ナッシュ解雇から見るネッツの問題

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アメリカ時間の11/1の火曜に、ネッツとヘッドコーチのスティーヴ・ナッシュが「別れることに合意した」と発表されました。ネッツは10/31のペイサーズ戦で勝利して、成績を2勝5敗にしたばかりでしたが、その11/1の夜には2連戦の2試合目のブルズ戦があるというドタバタな状況での解雇劇となりました。

今回は、シーズン開幕から7試合という異例のタイミングで下されたナッシュ解雇についてまとめました。

まずはNBAレポーターのお決まりになっている速報比較です。ESPNのWojとThe Athleticのシャムズの速報ツィートのタイミングは同時刻でした。ただWojは「解雇」という言葉を使い、シャムズや他のメディアは「別れた」という言葉を使っています。Wojの表現はアグレッシブですが、彼はネッツのGMのショーン・マークスと同じエージェンシー所属なので、そのあたりから直で情報をもらっているのか、他よりも具体的な情報を出しています。ただ、その2分後に、それは「お互い合意の上の決定だった」と言い直しているので、ちょっと早まってしまった感が出ています。ネッツとしては「解雇」よりも「お互いの理解の上で別れた」ことにしたかったのでしょう。

ナッシュと相互理解の上で別れることになったことに関して、ネッツのGMのショーン・マークスは「正直、チームはやるべきことをやっていない。私たちは目的から逸れてしまっている。目的を達成するためには、今がその時だ」と話しています。

ネッツは今シーズンをサラリー+タックス$97Mの合計$280Mのチームをつくって迎えています。この金の掛け方からすれば、当然優勝を狙っているはずです。それがさすがに開幕から2勝5敗で、しかもリーグ最下位の守備とリーグ平均以下のオフェンスとあっては忍耐強く様子を見ていくことができなかったのかもしれません。ちょっと焦りがあるように感じられますが、実はナッシュと別れることはもっと前から考えていたようです。

Wojによると、ネッツがナッシュ解雇を検討しはじめたのは10/29からの週末だそうです。そうなると、まだ開幕したばかりなので、まだチームが完全に機能するのかわかる前の段階で、焦るには早すぎると思います。特にこのチームはトレード要求をしたKDを引き止めるためにつくったチームなので、それがうまく機能するかどうかは最低20試合は見てみないと評価できないのではないでしょうか。そのためナッシュ解雇には何か他の問題があったとしか考えられません。

その問題についてはマークスが会見でヒントを出しています。マークスは毎日ナッシュと話していて、その会話の中でナッシュからは「彼ら(選手たち)は今私に反応していない」とか「それは今そこで私が必要としていたプレーではない」と聞いていたそうで、ナッシュがロッカールームを失っていた事を示唆しています。シーズン始まって間もない時期に、すでにロッカールームを失ってしまうのはたしかに大問題です。

特にカイリーはナッシュの指示は聞いていなかったようです。マーク・ステインによると、カイリーはナッシュの最後の試合になったペイサーズ戦で内の1試合で、ナッシュが試合中に叫んでいたプレーコールを少なくとも10回は無視して、他のまったく違うプレーをしていたそうです。カイリーはナッシュがヘッドコーチになった時に、「私たちにはヘッドコーチは必要ない、私もヘッドコーチになれるし、KDもヘッドコーチになれる」的なことを言っていた事もあるので、コーチにリスペクトがないのは今シーズンにはじまった事ではないのかもしれませんが…

このようにハロウィーン前にヘッドコーチが選手たちからリスペクトを得られていないことが公になってしまった場合、ステイン曰く「ふつうはそこで終わりだ」だそうです。それがシーズン開幕から数試合しかたっていなくてもコーチを変えるしかないのでしょう。

また、ナッシュが「彼らは今私に反応していない」と言っていた選手の中にはカイリーだけではなくKDも含まれていると思います。なんせKDは2ヶ月前に(大昔に感じますが)、ナッシュとマークスを首にするか自分を選べと球団に最終通告をつきつけていたばかりですし、ケニー・アトキンソンが解雇された時も「KDとアーヴィンはアトキンソンと関係性を築けずに、彼の元でプレーしたがっていない」とか、友人のデアンドレ・ジョーダンがスターターになれないからとも言われ、ネッツでのKDのヘッドコーチに対する声は強く反映されていました。マークス曰く、KDとネッツはパートナー同士の関係なので、もしKDがナッシュを信じていれば、ナッシュ解雇はもっと先になっていたはずです。

(KDがネッツに残る事を決めた後にマークスが出した声明には、ネッツのロゴとKDの会社のロゴが並べられ、両者の連名発表の体にしてパートナーシップを強調している)

しかし、ナッシュの解雇はKDの意見がからんでいる事をマークスはハッキリと否定しました:「これについてはどの選手からのインプットはゼロだった…これについてジョーと話したのはもちろんだが、選手たちには相談していない…今(選手からの)インプットは必要としていない」

KDもまさかナッシュがその日に解雇されるとは思っていなかったようで、ナッシュがチームを去るというニュースにはビックリしたそうです:「今日の午後1:15ごろに昼寝から起きてESPNで観た…ショックだった。このような動きがあった時はいつもショックを受ける。でもこれがNBAでは普通だ

NBAではロッカールームをまとめられないで解雇になるのは珍しくない事です。しかし、ネッツの2勝5敗(ナッシュ解雇時点)の成績はナッシュのせいなのでしょうか。ナッシュ解雇で問題は解決するのでしょうか?

ネッツの問題

ネッツのバスケットボールに関しての問題点は何かと聞かれれば、ビッグがいないのでリバウンドがとれないとか、バックコートが小さいとか、ウィングが足りない等思のいろいろな問題がすぐに浮かんできます。そのネッツがどのような状況かと言うと…

ネッツのアドバンススタッツ(11/4時点):

  • OffRtg:111.6 (17位)
  • DefRtg:118.3 (30位)
  • NetRtg: -6.7 (28位)
  • リバウンド%:45.6% (30位)

とにかく守備ができずに、オフェンスも平均以下というのがわかります。KDとカイリーが一緒にプレーしている時も-3.0と奮いません。NBAベストプレーヤーのひとりであるKDとオールスターのカイリーがいるチームがなぜこんな数字しか出せないのでしょうか?

戦術の課題

ネッツは夏にナッシュが「すばらしいオフェンスの百科事典」と呼ぶイゴー・ココスコヴをはじめ3人の新しいアシスタントコーチを雇いました。昨シーズンはカイリーがワクチン摂取拒否でパートタイム選手になったり、ハーデンがトレード要求したり、ハリスが捻挫してシーズン全休になったり、KDもMCLのケガで数週間欠場になったりといろいろあり、ローテーションが定まらずアイソヘビーなオフェンスになっていました。今シーズンはアイソをやめてよりワイドオープン・オフェンスに変えて行く計画を立ててたようです。アシスタントコーチの入れ替えは、その強い意思の現れだと思います。

では、KDとカイリーのアイソ数を昨シーズンと比較してみましょう:

  • 昨シーズンのアイソは100ポゼッションでKDが5.2回(リーグ7位)、カイリーが5.5回(リーグ5位)
  • 今シーズンのアイソはこれまで100ポゼッションでKDが5.6回(リーグ4位)、カイリーが4.1回(リーグ11位)

あまり変わっていません… トランジションは昨シーズンは16.5と18位で、今シーズンは若干増えて17.6ですが全体的には21位と落ちています。ペースは昨シーズンは99.4で11位、今シーズンは99.59で19位とむしろさがっています。また、今シーズンのオフェンスの移動距離もリーグ最下位です。

戦術をアイソからオープンオフェンスへと変えるプランはうまく行っていないようです。

プレシーズンはこのような楽しいオフェンスも試していたのですが、今はできていないのではないでしょうか。

構造的問題

ネッツにはオフェンスやディフェンスの他にも問題があります。それはチーム構成です。

ベン・シモンズ問題

すでにふたりのスターがいるチームの中で、シュートを撃たないシモンズをどう活かしていけばいいのかはやっかいな問題です。シモンズを活かしたチームプレーをして行くには、プレーデザインなどKDとカイリーの協力がなければできませんが、そのあたりもうまく行かなかった理由かもしれません。

特にシモンズとクラクストンのふたりが一緒にプレーするとスペースがなくなってしまいます。ノンシューターがふたりいても、ウォリアーズのようにカリーやクレイやプールが動いてくれるモーション・オフェンスであればまだ機能しますが、KDやカイリーのようなあまり動かない選手がふたりいる中で機能させるのは厳しいです。実際にKD、カイリー、シモンズ、オニール、クラクストンのラインアップは6試合でマイナス4.0とうまく行っていません(*数字はすべて開幕〜10/31まで)。

ナッシュは最後の2試合では、できるだけシモンズとクラクストンを別々にプレーするように変えていましたが、シモンズが5になるとインサイドの守備を諦めなくてはいけません。ただでさえリムプロテクションがいないのでかなり問題です。

シクサーズ時代にはストレッチ5もできるジョエル・エンビードがいたので、シモンズはサイズとスピードで相手のポイント・オブ・アタックを封じるのを得意としてきましたが、ネッツにはそれがないのでシモンズの守備能力を活かしきれていないように見えます。

オフェンスでもシモンズは問題です。シュートが撃てないないならペイント内からのオフェンスに頼る事になりますが、これまでの彼の2ポイントは45.5%。フリースローは47%、ドライビング・ダンクなし、ダンク1本、14フィートから外のシュート0本となっています。リストリクテッド・エリア以外のペイント内からは26.7% (2020-21シーズンは40.6%)とひどい数字になっています。

ネッツはクラクストンを出してシモンズがベンチの時は、オフェンスが124.1でNET RATINGでプラス22.9という素晴らしい数字を出しています。それはクラクストンがいる時はチームに明確なアイデンティティーがあるからだと思われます。

シモンズはプレーだけではなく、ボディーランゲージにも問題があるようです。あるスカウトは、シモンズがファウルアウトした時に悔しそうな顔をしておらず、コートから出るのにハッピーだったように見えたと言っていたそうです。またスカウトたちの中には、シモンズがアグレッシブではないのは、ショットをミスるよりもファウルされてフリースローを撃つのを恐れているからだと言っている人たちもいるそうです。

そして元グリズリーズのVPのジョン・ホリンジャーは、シモンズのユーセッジが13%な事について「ペリメーターの選手でこの数字は隠れていると言ってもいい」と言っています。このユーセッジを見ると、ボールに関わりたがらないのは膝のケガだけは理由ではないでしょう。

いずれにしろ、シモンズが入るとディフェンスもオフェンスもうまく機能しなていないようです。ナッシュができた事はと言えば、$33Mのシモンズをベンチスタートにさせる事でしょうか。しかし、それは今後いくらでも試せたはずです。

サイズ問題

ネッツはバックコートにサイズがありません。

ネッツのガードのサイズは、カイリー・アーヴィン(6-2)、セス・カリー(6-2)、パティー・ミルズ(6-1)、カム・トーマス(6-3)と小さいので、ディフェンスに影響してきます。ドノヴァン・ミッチェルやマイク・コンリーの小さなガードがいた2020-21シーズンのジャズのように(リーグ3位のディフェンス)、守備のミスを後ろでカバーできるルーディー・ゴベアーやロバート・ウィリアムス的なディフェンシブな選手が必要ですが、クラクストンやシモンズはそこまでの選手にはなれていません。ジャレット・アレンがいれば違っていたかもと思う時もあります。

そもそもビッグもいないので、ネッツはスモールラインアップに頼らざるを得ませんが、ガードが小さいとスウィッチ・ディフェンスができなくなる&守備が上手いとはいえないガードをスウィッチで狙われてしまう問題も出てきます。レギュラーシーズンはまだ相手チームもそこまでしてこないでしょうが、プレーオフになったら狙われるのは間違いありません。

同時にウィングにもサイズはなく、ジョー・ハリス(6-6/しかし、ウィングスパンは6-6。同じ身長のクレイのウィングスパンは6-9)とロイス・オニール(6-5)になっています。そのため、今シーズンにローテーション入りを勝ち取ったように見える渡邊選手(6-9)にも3&Dとして活躍のチャンスは多いにあります。

ただ、渡邊選手はナッシュの後にインテリム・コーチになったジャック・ヴォーンからウィザーズ戦でセンターになる時も出てくるかもしれないと伝えられたそうです。実際にヴォーンは、カム・トーマス、パティー・ミルズ、ロイス・オニール、ジョー・ハリス、そしてセンターに渡邊選手のスーパースモール・ラインアップを投入しています。渡邊選手がセンターをプレーするのは高校の時以来との事。ヴォーンはまたマーキーフ・モリス、ミルズ、デヴィット・デューク、ハリス、渡邊選手のラインアップも試しています。

ヴォーン:「ギャフォードが出ている時に雄太を出すことはアドバンテージだと思っている。彼はフロアをストレッチできて、彼のまわりに複数のシューターを並べてケヴィンを抑えるのをむずかしくする」

ヴォーンのインテリムコーチが続けば、相手チームがスモールに変形してきた時に渡邊選手をストレッチ5で起用する回数も増えて行きそうです。

このようなチームの構造的問題をコーチングで乗り越えるのは限界があります。それこそ、シモンズや他の選手をトレードをするとかしなければいけないのでしょうか。例えヘッドコーチが変わったとしても、これらの構造的問題を解決して今のイーストのプレーオフで勝ち進むのは難しいと思います。

このような今のチーム構成ではネッツの当初の計画通りスモールで早いペースでプレーするのが最善策だと思いますが、ナッシュがそれをやらなかったのか、選手たちがそれをやらなかったのかはわかりません。しかし、アシスタントも含め、チームはそれをやらなければいけない事はわかっているはずです。そのため、やはり選手が言う事を聞いてくれなかったのが大きく影響していそうです。

もしもゲームプランを伝えても選手がそれを試合中にやってくれないなら、それは戦術以前の問題です。

このように、ネッツの問題は、オフェンス面ではKDとカイリーのスター選手をまとめられなかったナッシュのリーダーシップ、そしてディフェンス面ではチーム構成があり、このふたつの問題が全体的に相互作用しながら今の成績に反映されているのがわかります。

チームを建て直すためには、➀ まずヘッドコーチのナッシュを変えて戦術を落とし込むか、➁ 選手をナッシュの声を聞く選手に入れ替えるか、➂ 構造的問題を解決するためのトレードをするかくらいしかないと思います。選手を入れ替えるようなトレードは、今年の夏にFA契約した選手たちがトレード可能になる12/5まで待たないといけませんし、何よりもチームをつくったGM解雇よりも先にヘッドコーチがスケープゴートとして責任を取らされるのはNBAの常です。そうなると、やはりナッシュ解雇がいちばん早く簡単な解決方法になります。

ネッツの次のヘッドコーチ:イーメイ・ウドーカ

ショーン・マークスは記者会見で次のコーチを誰にするか聞かれ、ハッキリと「全然決まっていない」と言っていましたが、ウドーカと同じCAA所属のWojだけではなく、シャムズも次の新ヘッドコーチはセルティクスの謹慎中のイーメイ・ウドーカになりそうだとレポートしています。

特にWojはESPNでCAA絡みで関係のあるイーメイ・ウドーカがネッツのヘッドコーチになる話を続けています。これだけプッシュされるとCAAはWojを使ってウドーカの新しい仕事の地ならしをしているかのようにも見えます。そうすれば、職場不倫とパワハラで解雇されたウドーカへの批判が多少なりとも少なくなっていくはずだからです。

他にも元ジャズのヘッドコーチだったクウィン・スナイダーも候補にあがっているというレポートもありましたが、Yahooのシェイク・フィッシャーによると、ネッツはクウィン・スナイダーには実質連絡を取っていないそうです。

実はウドーカはかつてネッツのビッグ3のKD、カイリー、シモンズと一緒のチームにいた事があります。2019-20シーズンではシクサーズでアシスタントを務めていた時にシモンズと一緒で、2020-21シーズンではネッツでナッシュの元アシスタントをしていました。また、ウドーカとKDは2020年東京オリンピックでのチームUSAで一緒で、シャムズ曰く「デュラントはボストンのコーチのイーメイ・ウドーカとこの数年で親しくなった」とレポートしています。

そのためKDがウドーカを望んだとしてもおかしくありません。サンズ時代にナッシュと一緒で、キャブス(カイリー時代)のフロントで働いていた事があるラジャ・ベルによると、ナッシュがネッツのコーチになった時にアシスタントに誘われたそうですが、その際にナッシュからベルのアシスタントの件はKDに相談して了解は得ていると聞いたそうです。この事から、KDはナッシュのヘッドコーチ解任は口を出していませんが、新ヘッドコーチを誰にするかは口を出しているのかもしれません(球団とKDはパートナーなので)。

また、マーク・ステインによると、ウドーカを欲しがっているのはマークスだけではなくKDもだそうです。

実際、ネッツには個性的過ぎるトッププレーヤーたちをまとめられる強いリーダーシップが求められています。ウドーカにはトッププレーヤーにも物怖じせずに面と向かって話せる能力がありますし、去年のセルティクスで驚異的なディフェンスを引き出しているので、リーグ最下位のネッツのディフェンスも引き上げられる力があるかもしれません。

しかし、ネッツのメンバーでディフェンスをトップレベルにするにはかなり難しいと思います。ネッツにはロバート・ウィリアムスのようなリム・プロテクションもいなければ、アル・ホーフォードのようなスウィッチもできるストレッチビッグもいませんし、スマートやブラウンのようなペリメーターやポイント・オブ・アタックの守備ができるDPOYレベルの3&Dウィングもいません。もしかしたら、スキームと意識を入れ替えて、ディフェンスをリーグ15位くらいにまで持って行ければ、オフェンスで試合に勝てるようになるかもしれません。

またイーメイの強い性格と気分屋で頑固のカイリーが合うかは疑問が残ります。ウドーカは昨シーズン、テイタムやスマートなど選手を公に批判したりしています。ウドーカが公にカイリーを批判したらどうなるかまったく予想がつきません。

また、ウドーカには問題があり、ウドーカはセルティクスのフロントオフィスで働いていた女性と不倫関係になっていたようです。なぜ事が1年の停職処分にまで発展したのかは明かされていませんが、女性が球団を訴えた場合には、やっかいな問題が起きる(巨額な損害賠償金額や球団内の事が公になってしまう)ため、球団はウドーカに停職処分という実質解雇をしたとの見方が一般的です。

また、ウドーカを解雇にしてしまうと、セルティクスは彼の残りもサラリーを払わなければいけませんが、停職処分ならその半分しか払わなくてもも良いようです。ウドーカの場合、1年のサラリーが$4Mだと言われているので、このまま彼が復帰しなければ今年だけで$2M節約できる計算になります。

そして、他チームがウドーカを雇えば、セルティクスは彼の残りの契約の$12Mを払わずに済みます。セルティクスがネッツにウドーカと話す許可を与えて、ネッツのヘッドコーチになることを許すとのレポートがありましたが、それはその$12Mが理由なようです。

まだ話は終わりません。コーチが契約中に他チームへ移る場合はドラフトアセットとトレードするのが一般的ですが、セルティクスは寛大にもネッツにドラフトアセットは要求しないそうです。それはセルティクスがウドーカを1年の停職処分明けでもチームに戻すつもりはなく、早く彼($12M)を手放したいことを意味しています。

セルティクスがそれほどまでに手放したいウドーカを雇うことについても疑問が出てきています。セルティクスでは停職処分になる程の事をしたのに、それがネッツに移ればまるで何もなかったかのように消えてしまうのもおかしな話です。これでは彼のやった事が正当化されてしまいます。間違いを犯した人へのセカンドチャンス自体には問題がありませんが、チームを変えれば2週間で現場復帰できてしまうのはいかがなものでしょうか。そのためNBAが介入してウドーカに罰則を与えるべきだという声もあります。私もネッツが彼を雇った場合にはNBAは10試合程度の停職処分を与えても良いと思っています。

もしウドーカがヘッドコーチになれば、ネッツはGMとヘッドコーチのCAA体制が敷かれることになり、今後確実にあるカイリー・アーヴィンの契約延長/フリーエージェンシー/トレードなどの去就についてのナレティブづくりにWojが絡んできそうです。そのためWojからの情報はどうしてもネッツ寄りになるので今後注意が必要です。

現在ネッツはウドーカの調査の最終段階に入っていて、彼のヘッドコーチ就任は間も無くと見られています。ただ、マーク・ステインによると、カイリーの反ユダヤ主義騒動の後で、問題のあったコーチを雇う事は辞めた方がいいとオーナーのジョー・サイに強くプッシュする声もあるそうで、ネッツはウドーカに躊躇っているというレポートも出てきています。

いずれにしろ、このネッツの新ヘッドコーチが誰になっても、どのようにチームが改善(改悪)するのか、チームの構造的問題をラインアップでどう克服して行くか、どのような守備のスキームを導入し、どのようなオフェンスにするのか、はたしてトレードはあるのか等を見ていくのは楽しいに違いありません。これでトランジションやアイソの数字が変わらなければ、それはヘッドコーチが問題ではなくて、選手たち、特にKDとカイリーの問題になります。そうなった場合、球団はどうするのでしょうか?残された手段はGMを変えるか、選手のトレードしかありません。ヘッドコーチが変わってもドラマはまだまだ続いて行きそうです。


サムネイル画像:Photo by Dustin Satloff/Getty Images